【ポッドキャスト #33】広報部って、どうやってつくるの!?(その2)

前回の続きです。
広報「だけ」で売上高が上がる。そんな幻想を抱くのはやめましょう。

広報は、評判を高め、価値を生み出す「原因」(=源泉)をつくることを担っています。
広報部をどうやってつくるのか? その道標を示します。

音声(番組)は以下より聴取できます。
・ポッドキャスト:#33
・Spotify:#33

以下のとおり、要約しました。

◆前回の振り返り

・経営者の正しい広報理解が出発点
・日本広報学会の定義・概念を参照
・担当者に必要なスキル(能力)とは?
 コミュニケーション力、インタビュー(ヒアリング)力、ライティング力
 自社に埋もれる「もったいない」を発見する感性
・組織づくりの要諦
 担当者1人では機能しない
 各部署に広報(ブランディング)委員を配置
 ステークホルダーとの接点を可視化
 部署間を超えた連携

◆レピュテーション(評判)と財務実績

・米国チャールズ・J・フォンブラン教授らの研究が示唆に富む
 『コーポレート・レピュテーション』(2005年4月、東洋経済新報社刊)
・因果関係を解明(評判が先か、財務実績が先か)
 評判の高さが取引・採用・顧客獲得などのコストを低減し、利益率を高める
・評判を構築する5原則
 ①目立つこと(顕示性/広告を含むメディアなどでの露出)
 ②際立つこと(独自性/技術・価値の差別化=コア・コンピタンス)
 ③誠実であること(真実性)
 ④隠さないこと(透明性)
 ⑤ブレないこと(一貫性)

・相手に5つの要素が伝わって、初めて効力を発揮する
・能力面と姿勢面(内面・精神面)の統合
 機能的側面の情報:顕示性(発信力)・独自性(技術力)=能力
 感情的側面の情報:真実性・透明性・一貫性=人柄・組織文化
・クライシス対応の示唆
 事故・不祥事などの危機発生時の迅速でオープンな開示が評判を左右
・失敗事例を反面教師とする(他山の石)
 売上高偏重、人柄不透明な発信は長期的にコスト増・信頼毀損を招く

◆広報は「経営の基礎体力」

・経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)とステークホルダー
 経営資源の4要素は、いずれもステークホルダーとの関係からもたらされる
・基礎体力の4視点(ステークホルダーとの関係性に対応)
 ①強さ  :関係の強固さ
 ②長さ  :関係の持続性
 ③柔軟性 :情報流通と相互理解に基づく機動的な対応
 ④バランス:社会・社員・取引先・顧客・株主間の調整(偏らない)
・広報の役割
 情報を介した関係構築・維持により売上高の土台を形成
・「プレスリリース=即売上高の増加」思考の是正
 原因とプロセスを整えることが成果に先行

◆広報実践における原則:等身大の発信とチャネル適合

・等身大=ありのままの発信
・流行のテンプレを模倣するよりも自社の実像・実態を言語化し継続発信
・徹底したヒアリングを起点
 経営者への深掘り取材でコアメッセージを抽出
・チャネル選定の妥当性
 ステークホルダーの接触実態に合わせてSNSや媒体を選定
 適していないチャネルは、提案段階で見直す、断るという判断も必要

◆広報組織の設計と運用

・経営者主導の委員会体制を設立
・経営者が責任者・旗振り役となり、全社への浸透を牽引
・各部署に責任者を配置
 現場のステークホルダー接点を常時吸い上げ、横連携
・社内定着のプロセス
 トップ主導で方針と優先順位を明確化し、実務は委員会で分担・改善を回す

◆負の連鎖が発生する要因

・売上高偏重と短期志向(「バズる」ことを目的化)
・一過性の露出は関係性が築けず、コスト増・信頼低下につながる
・広告偏重(イメージ重視)で「人柄」が見えない発信
・誠実性・透明性・一貫性の不足は評判要素の5分の3(半分以上)が欠落
・社員任せ・現場丸投げ
 経営関与の不在は意思統一と優先順位付けがあいまい
 結果的に機能不全に陥る

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