セミナーレポート 6月18日開催、現役大学生を対象とした職能セミナー「広報とPR。ホントの、現場の話。」(CheerCareer主催)

2021年6月18日(金)17時〜19時、「【職能セミナー】広報とPR。ホントの、現場の話。/広報PR歴24年≪広報・PR職≫分析セミナー」(主催:CheerCareer)が開催された。「CheerCareer」とは、ベンチャー ・成長企業からスカウトがもらえる就活サイト。「CheerCareer」を運営するのは、株式会社Cheer(本社:東京都新宿区、代表取締役:平塚ひかる)。当社代表・荒木洋二が講師として登壇した。今回は3回シリーズの第2回、「メディア・リレーションズを知る」がテーマだった。
司会の鈴木瑞己さん(Cheer社スタッフ)が当セミナーの主旨や留意事項を丁寧に学生に説明した。講師プロフィール紹介後、荒木の講座が始まった。

第2回プログラム

◆12の問い掛け

前回同様に一つ一つの言葉がそもそもどういう意味なのか。短時間だが学生たちに考えてもらいたいという趣旨で、セミナー全体を通して、12個の問い掛けをした。次のとおりだ。

・問い1 :メディアとは?
・問い2 :マスメディアとは?
・問い3 :マスメディアの役割とは?
・問い4 :メディア環境は?
・問い5 :日本全体の広告費は?
・問い6 :広報PRとは?
・問い7 :メディア・リレーションズとは?
・問い8 :パブリシティとは?
・問い9 :どうやってメディアと接点を持ち、関係を築くのか?
・問い10:広報と広告の違いとは?

・問い11:オウンドメディアとは?
・問い12:広報PR業界のこれからは?

◆マスメディアが持つ二つの側面:報道と広告

メディアとは、送り手と受け手の間に立つ情報伝達の手段だ。マスメディアはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌という4媒体で成り立ってきた。インターネットがあまねく広がることで、「デジタル」が新たに加わった。報道という側面を持たず、広告で成り立っているのが屋外広告に代表される「アウトドアメディア」だ。マスメディアは基本的には報道と広告という二つの役割・機能を持っている(国営放送を除く)。報道は国民の知る権利に応える責務がある。広告は認知を獲得するために行う。

六つのメディア

メディアの現在を概観するために二つの資料を提示した。一つはメディア環境研究所(博報堂DYメディアパートナーズ)の最新調査結果である「メディア定点調査 2021」だ。メディア総接触時間(1日当たり/週平均)は450.9分と過去最高を記録した。携帯電話・スマートフォンとの接触は139.2分と第2位で第1位のテレビ(150.0分)に肉迫している。
もう一つは「2020年 日本の広告費」(電通)だ。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で日本の総広告費は6兆1,594億円(前年比88.8%)だった。インターネットが占める割合が36.2%とマス4媒体合計の36.6%に迫るほどだ。長らく媒体別でトップを守ってきたテレビ広告は、2019年にその座をインターネット広告に奪取された。

◆メディア・リレーションズのための四つの手法

前回の復習として二つのことを確認した。一つは広報とPRが同意語、同義語であることだ。もう一つは、PRとはパブリック・リレーションズの略であり、意訳すると利害関係者との良好な関係構築という概念であることだ。利害関係者とは具体的には経営者・社員に始まり、顧客、取引先、株主・金融機関、地域社会、報道機関だ。報道機関との良好な関係を構築するための活動をメディア・リレーションズという。企業・組織がプレスリリースなどの報道用資料をメディアに送り、その情報をもとに読者・視聴者に対してニュースや記事を報道するという、一連の流れをパブリシティという。現在の日本における企業社会では、広報といえばパブリシティを意味するものとして定着している。残念なことだが、本質からいえば偏っているといわざるを得ない。

パブリシティとは

メディア・リレーションズには主に四つの代表的な手法がある。詳しくは下図をご覧いただきたい。プレスリリースについては第3回で作り方や使い方を詳説する。そのほかの三つも簡潔に内容を解説した。

大前提として、良好な関係を築くためにはメディア研究が欠かせない。報道関係者の行動パターンを把握することも重要だ。
続いて、企業とメディアの関係をそれぞれの部門ごとの関わり方から紹介した。企業の広報部門と付き合うのが、PR会社やメディアの報道・編集部門である。同じく広告・宣伝部門が広告代理店やメディア側の広告部門だ。

そのことを明らかにしたうえで、広報と広告の違いを7点示した。うち5点はパブリシティにおける違いだ。残り2点は本来の広報における違いだ。ただし、5番目に挙げた情報内容の基準はパブリシティと本来の広報、いずれにも共通することだ。詳しくは当ニュースルームの「荒木洋二のPRコラム」(10〜12回)をご覧いただきたい。企業社会で最近流行のオウンドメディアについても触れた。

最後に広報PR業界の将来について、四つの潮流が訪れるつつあることを予測して、講座を締めくくった。

◆参加した学生の感想

「元々広告に興味があったが、広報に目を向けたことはなかったので、良い機会になった。」

「最も印象に残ったことは広報と広告の相違点です。言われてみれば、でしたが全く意識せずに触れてきていた部分でした。また、メディア・リレーションズにおいて重要なこと(媒体研究や関係者の行動パターンなど)を知っていることは、どの業界に入るとしても生かせると感じました。将来のキャリアを通して心がけていこうと思います。」

「今回の講座を通して広報や広告の内容を混同して認識していたことに気づいた。業界の将来についてまで広く話してくださり多くの学びが得られた。」

「時間をあっという間に感じるほど情報量が多く、また前回の内容も補填する形での講義で、とてもひきこまれました。」

「私は申し込みをしたときは、あまり広報や広告に対しての関心があったわけではなく、メディアやインターネットを介した営業に関して少しでも何か情報になればよいと思っていたのですが、今回のセミナーで広告と広報の違いや、これからの広告手法などについて学んだことで、広報業界にもとても大きな関心を持ちました。これからもこのようなセミナーやインターンシップがありましたら、参加したいと思います。」

「広告と広報についての企業と広告代理店の受け取り方の違いがとても参考になりました。私も、これから新聞などを読むときには、広告であるのか広報であるのかを注意して見てみようと思います。」

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