業務提携記念対談「アイドマホールディングス × AGENCY ONE」

在宅主婦を広報人材として育成し、全国からリモートで企業を支援する仕組みの構築を目指す

2021年6月24日、当社は、在宅ワーク特化型求人サイト「ママワークス」を運営する、株式会社アイドマ・ホールディングスとの業務提携を発表しました。約26万人の在宅主婦を擁する同社と業務提携することにより、在宅主婦を広報人材として育成します。彼女たちを中小企業・スタートアップへ「リモート広報スタッフ」として、支援できる仕組みの構築を目指します。広報のノウハウは、eラーニングやオンラインでのワークショップを開講し、無償で提供します。

本提携を記念し、同社のクラウド・メンバーズ事業部 事業部長 奥澤裕人氏と当社代表・荒木が同年6月17日、オンラインで対談し、在宅主婦が広報のスキルを習得し、全国からリモートによる企業支援を目指す取り組みについて語り合いました。


荒木:今回、当社と貴社、株式会社アイドマホールディングスが、在宅主婦をリモート広報スタッフとして育成していくことで合意し、業務提携しました。まず、アイドマホールディングスさんがどんな会社なのかということを奥澤さんからご説明いただけますでしょうか。

奥澤氏(以下、敬称略)現在150人前後の社員がいまして、在宅として働いているスタッフが1,500人ぐらいです。細かい数字は時期によって変わってきます。

当社売り上げの約8割は、法人向けのテストマーケティングを中心とした営業支援です。残りの2割が、僕が担当させてもらっている(法人向け)クラウドワーカーの活用支援です。大きく二つの事業を運営しています。その中で必要なシステムの開発や提供も行っています。

■自分たちが使うための求人媒体として立ち上げた「ママワークス」

荒木:当社業務提携するに至った「ママワークス」という事業があります。奥澤さんが責任者として立ち上げるに至った経緯や狙いなど、お話いただけますでしょうか。

奥澤 裕人 氏

奥澤:池袋にコールセンターを構え、アルバイトのスタッフさんたちに本業である営業支援をしてもらっていたんです。事業を拡大していく過程で池袋に出勤できる人材の限界に直面しました。お客さまからのご要望も増え、毎月100人採用しないと間に合わないような状態になりました。ありとあらゆる求人媒体に載せても、池袋に出勤できる人材は50人ぐらいが採用の限界でした。100人集めようとすると採用基準を下げたり、増床も考えたりしなければなりません。沖縄にコールセンターを作るという話も出たのですが、固定費が増えてしまい、「企業に提案する金額を上げないといけない」という課題に直面しました。

その時に当社で以前から活躍されていた主婦のかたが妊娠されて、出勤ができなくなったんですね。非常に能力も高く、本人自身も働き続ける意思がありました。そのかたから「私、在宅で働いていいですか」という相談があったんですよ。僕らも働いてほしかったので、在宅でコールセンター業務を行える環境整備に取り組みました。そして、もう出勤する必要性がないんじゃないか、と思えるレベルのコールセンターシステムができました。

在宅で働きたいという主婦は、もっと大勢いるはずだから、そういった人たちを集めて在宅のコールセンターを作れば、固定費も増えません。料金を上げなくても済むし、働きたい人たちにも喜ばれます。そこで、求人媒体を探すことになったんです。それが2015年、6年前の出来事ですね。当時は、そういう求人媒体が一切存在しておらず、自分たちが使うために求人媒体として立ち上げたのが「ママワークス」です。

荒木 洋二

荒木:現在は在宅ワーカーを活用した組織構築や経営サポートを行っていますが、もともとは、求人媒体としての「ママワークス」だったんですね。

奥澤:ただ、当社しか載せてない求人媒体に人が集まるわけもなく、にぎわいも必要なので、いろいろな企業へお声掛けするところから始まりました。

荒木:現在では、1,500人の在宅ワーカーを擁し、貴社自身が一番のユーザーですね。そんな形で立ち上がった「ママワークス」の現状や実態など教えていただければと思います。例えば、在宅主婦のかたを含めた登録者数や利用企業数、どんな内容やどんな形で利用する会社が多いかなど、現状を教えていただけますか。

奥澤:現在、利用登録者数は延べ26万人を突破しました。1年くらい前が約16万人で、この1年間で約10万人が増えました。そこにはコロナの影響があってのことと思います。今年も約10万人ペースで利用登録者自体は増えていっています。それに伴って登録企業の数も増えてきました。6年前までは、「在宅勤務?」というような在宅ワークの「ざ」の字もない時代でしたが、コロナが発生して、企業もZOOMなどのオンラインでのミーティングや、社員へ一時的な在宅勤務の経験が増えました。(そのことが追い風となり)現在、登録企業数は延べ1,600社を超えました。年間では500社前後の企業にご利用いただいています。

荒木:首都圏に集中しているのか、地方に多いのか、それとももまんべんなく全国に広がっているのか、どんな感じでしょうか。

奥澤:ご利用企業は、まんべんなく全国に広がっていまして、地方の企業の方が多い状況です。地方の経営者たちからすると、地元で自社に出勤できる範囲で、優秀な人材を探すと、人がいないエリアがあったり、優秀な人材が東京、大阪など首都圏に行ってしまったりという問題に直面している事例が多いですね。

■広報文化を広めるため、人材育成としての「eラーニング」と最小コストで採算性を上げる「ニュースルーム」 二つのシステムを提供

荒木:当社も実は昨年(2020年)9月から貴社のサービスを利用させてもらっています。まず、貴社との出合いをお話します。私どもの会社はPR会社でして設立してから15年目を迎えています。日本では大企業は広報を当たり前のように行っています。一方、中小・中堅企業やベンチャーには広報部がないし、広報の人材を置いていない、あるいは未経験者しかいないという状況が多いです。当社が起業したときに、日本の企業社会に広報が当たり前になっていない現状に対して、危機感を持ちました。日本の企業社会に広報文化を広げたい。広報を当たり前したい。そういう思いを持って起業したんですね。起業後は中小企業の経営者たちに、広報というものは何かを理解してもらって、その上で広報部の業務を全部受託しました。プレスリリースを書き、それを記者クラブへ投函したり、社内報やお客さま向けの情報誌を作ったりしました。あるいは取材をセットしたり、記者を集めて記者発表会を開いたりするなど、全ての広報業務を担ってきました。

十数年を経て、2、3年ぐらい前から(これまでを振り返ると)「広報文化が広まってないな」と感じました。業務委託を20社ほど受けると、それで手一杯になり身動きできなくなってしまうんです。私どもの会社はベテランのスタッフが多いので、1社1社の満足度が高いです。このビジネスモデルでやる限りは相当人数を増やして、大きくしていかなければならない。そうなったとしても中小企業全体に見合う価格帯、料金体系で広報を支援するには、今のビジネスモデル、業務委託では続けていけません。ビジネスモデルを転換しなくてはならないと思いました。

3年前から持っていた構想理想は、当社のファクトブックに記してあります。内容は、広報をできる人材が少ないので、主婦の人たちや学生などに広報のノウハウを提供して、学んでもらい、育成した彼らを広報人材として中小企業へ提供し、マッチングさせたいというものです。中小企業に対して広報担当者を育成するための取り組みをします。同時に足りないところは育成された主婦や学生たちがうまく補完して支援できればいいなという思いがあったんです。なので、まずは広報人材を育成しようと考えました。広報のノウハウを全て提供し、教えていくこと。広報を最小のコストで採算性が上げられるように、印刷媒体、紙媒体ではなく、インターネットを利用した「ニュースルーム」(広報PR専用ウェブサイト)に全ての公式情報を集約するシステムを各企業が利用できるようにすること。これらができれば、中小・中堅企業にも広報が広がると分かりました。「ニュースルーム」は日本でもトヨタさんなどを中心に運用が始まっています。

人材育成に向けた取り組みを模索しながら失敗を繰り返して、ようやく私が24年間培ってきた広報のノウハウをeラーニングにまとめ、形になりました。これを初級講座と中級講座に分け、理論基礎知識編・組織能力編・実務能力編の三つで構成しています。全部で245講座あり、1講座は約5分から15分で完結し、合計34時間ほどです。さらに、ニュースルームのCMS(コンテンツ・マネジメントシステム)も 一般的に出回っているWordPressをベースとして、使用できるようになりました。両方が完成し、中小企業へ提供しようとしたときに、今までの仕事形態では、自社で営業やマーケティングの経験がない。チームで業務を遂行していたので人材も少ない。そういう状況の中、ママワークスさんから電話営業という形で連絡がありました。その後の面談で、奥澤さんから、在宅主婦の人たちに業務を委託し、営業支援をしてもらうという提案を受け、貴社のサービスを利用させてもらいました。まずは自分たちが全国の在宅主婦の人たちとオンラインなどを利用しながら、業務を進めました。現在、滞りなく業務が遂行しており、大変助かっています。eラーニングのチェックや既存のクライアントさんのニュースルームの更新などは全て彼女たちが行っています。これからも、そういう経験を積み重ねながら、在宅主婦の人たちに協力してもらって仕事を進めていこうと思っています。当社は昨年(2020年)に4人、今年(2021)年6月に、さらに3人業務委託を行い、合計7人になりました。

奥澤さんから話を伺う中で、20万人を超える在宅主婦を擁している組織があるならば、自分が構想していた、在宅主婦の人たちを広報人材として育成し、中小企業の広報を手伝ってもらう、という形ができるのではないか、という期待を抱きました。当社でも実際に在宅主婦の人たちと、仕事を遂行した経験から、うまく連携できていると自信や実感がありました。そこで、自分が持っていた構想理想を含めて、業務提携の意向を伝えたんです。そこから貴社からの合意を得て話が進んでいきました。自分たちで20万もの人を集めることは不可能だったので、良いタイミングで貴社と出合いました。非常にありがたく、ご縁を感じています。

■業務提携により広報の知見やノウハウを26万人の在宅主婦へ無償で提供し、人材を育成

荒木:ここからは貴社との提携内容を簡単に説明させていただきます。貴社では「ママワークス」の会員ページで教育支援として4種、147のオンライン講座を提供していると伺いました。そこで、当社の持つ広報のノウハウと eラーニングのコンテンツを、貴社に所属する在宅主婦の人たちへ無償で提供できればと考えました。プレスリリースの作成や、文章の校正などのノウハウやスキルを持った主婦の人たちを多く育成することで、在宅リモート広報スタッフとして中小企業で広報の仕事を支援できます。

中小企業が、一般的にPR会社へ依頼すると月額60万円ほどの費用がかかります。人を雇うとしても専任で配置するのは難しい場合もあります。人材育成のために担当者を一人配置したとしても一人では対応しきれないこともあります。プレスリリースを書いたり、ニュースルーム利用していればニュースルームに記事をアップしたり、録音した対談を文章に書き起こし編集したりといった場合には人手が必要な事態に直面します。そういうときにスポットで広報のスキルを持った在宅主婦の人たちに仕事を発注できたら、中小企業にとっての費用対効果は高まり、成果が生まれると考えます。

主婦の人たちにしてみると広報の文章を書いたり、校正したりという仕事は、在宅でも可能です。オンラインで対談もでき、対談に立会うことや取材の音声を書き起こすこともできます。

オンライン講座ダイジェスト

中小企業の仕事を全国どこからでも支援できる仕組みづくりとして、広報講座を無償で提供し人材を育成していく取り組みを進めています。当講座は、全12回で1講座15分、計3時間です。全国の在宅主婦の人たちに受講していただいて、さらに広報に関心を持たれたかたには次のステップを考えていますので、貴社と共に新しい仕事を創出していきたいです。

われわれの方から業務提携の提案を差し上げ、貴社としてはどのようなお気持ちで、この提案を前向きにお引き受けいただいたのですか。

奥澤:荒木社長の未来構想と、僕たちが提案していきたいものが合致し、非常にありがたいですね。僕たちの事業は人材を提供するという観点、人材の提供を受け活用できる登録企業を増やすという観点、人材を育成するという観点を持ち、進めています。スキルや経験を生かして働くことは、今でも実現できています。これから在宅で学習して、新たなスキルや経験を積みたいかたや、新しい仕事に挑戦したいかたへ、社会貢献の一環としても就職や学習の場を提供していきたいと考えています。ですが、当社に広報の専門家はいません。 ウェブマーケティングの専門家もいません。ですから当社は、直接教えることができません。どのように人材育成をしていこうかと考えていたところ、荒木社長から、20数年培ってきた広報のノウハウをeラーニングでまとめ、形になっていることを伺いました。その実績から、当社がゼロから広報の勉強をしても間に合わないと痛感しました。それで、貴社からは広報の知見やノウハウを提供いただき、当社からは26万人の人材を提供することで、当社の持つビジョンが実現できると確信しました。当社も自社だけでの実現は難しいと感じており、荒木社長の思いと全く同じでした。

荒木ありがとうございます。お互いにないものを補完し合うということですよね。

当社は、昨年の秋から毎週、水曜日の午後1時から5時までオンライン(ZOOM)で無償のワークショップを開催しています。内容は、プレスリリースやニュースレターの書き方などです。中小企業では広報の必要性を感じている人たちは、そう多くはありません。ですが、そのワークショップは、告知費用をかけていない割に多くの広報担当者の参加があります。一人広報担当者とか、未経験者が多く、当社が持つノウハウを次々提供しても、一人じゃ足りない部分があり、在宅主婦のリモート広報スタッフが必要だと感じます。

経営者からの話では、広報の必要性は感じているが、広報を担う社員はいない、探すことも大変という課題が見えてきました。そこで、構想していた「在宅リモート広報スタッフ」の話をすると、そういう人たちがいれば手伝ってほしいという声が複数上がっています。思った以上に「在宅リモート広報スタッフ」への意識や関心を持つ人たちは多く、市場があると実感しました。簡単なことではないですが、市場を開拓していきます。

われわれを通じて、情報発信に困っている多くの中小企業やスタートアップ企業へ、広報のスキルを身に付けた全国の在宅主婦の人たちが最適配分され、支援できる仕組みづくりを目指しています。当社としても理念やビジョンを実現させるために欠くことのできない、「リモート広報スタッフ」育成の構想です。困難な道のりが待っているかもしれませんが、ぜひ協力し合って進めていきたいです。

■在宅勤務、在宅正社員という形態が当たり前という文化づくりを目指す

荒木奥澤さんから、今後期待することも含めて、このプロジェクトに関して何かあれば教えていただけますでしょうか。

奥澤:当社としては「リモート広報スタッフ」の業務形態をスポットとしての業務委託と、そこを超えて、企業の理念やビジョン、方向性を理解しているならば在宅で正社員として、その会社の広報になるということも問題なくできるのではないでしょうか。

そこに至るまで在宅勤務という業務形態や広報の必要性を理解してもらうこと、さらに在宅勤務の正社員というのも「あり」なんだという意識付けが重要です。世の中にまだ存在していない考え方やマーケットになるので、それを発信して可能性に気付いてもらえるように働きかけていきたいです。企業側と働きたいという在宅主婦の人たちが共にハッピーになっていくような仕組みをつくっていきたいですね。

荒木ありがとうございます。在宅勤務、在宅正社員という形態が当たり前という文化をつくっていくためにも、在宅の広報スタッフが企業を支援し、中小企業に広報を広めることが必要です。そのような人材を何人育成できるかというところを目指していきたいです。

奥澤:各企業に広報の在宅正社員がいて、その下に在宅のスポットで働く人たちもいて、チームがあるという形態が各企業にあるようしたいです。

荒木それは良いですね。貴社も、そのような形態で在宅ワーカーの人たちがリーダーとして、仕事を進めているので、われわれはそれを広報部門で中小企業のお客さんに対して、実現できるように努めていきます。6月24日にプレスリリースをするところから始まりますので、ぜひ協力関係を深めて市場を開拓いたしましょう。

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