Backstage #9 『ダイヤモンド・プレミアム』 有料会員数が3万5千超え
新聞、雑誌など紙媒体の発行部数は、減少に歯止めがかかりません。日本新聞協会の発表(2022年12月20日)によると、2022年10月現在で3084万6631部と前年比6.6%減だった、といいます。2012年で4777万7913部でしたから、10年間で約1700万部も減少しています。ビジネス誌『プレジデント』元編集長(『ZAITEN』2022年5月号)によれば、近年の雑誌カテゴリーの販売額は毎年500億円減少している、といいます。
新聞、雑誌いずれもデジタルへの移行、つまりDX(デジタルトランスフォーメーション)化が遅れていることもよく知られています。そんな状況下で老舗ビジネス出版社のダイヤモンド社が新たな挑戦で気を吐いているようです。ダイヤモンド編集部の元編集長だった山口圭介氏をインタビューした、先月16日の『朝日新聞デジタル』の記事が示唆に富んでいます。
同社は、4年前に定額制(サブスクリプション)の『ダイヤモンド・プレミアム』を立ち上げました。月額1980円、月150本程度の有料経済記事が配信される、といいます。現在、有料会員数が3万5千を超えています。山口氏はインタビューで「強い独自性を打ち出すことができれば、読者は課金の壁を越えます。デジタル化以降、ストレートニュースではなく、忖度(そんたく)なしで業界の最深部に迫る独自のコンテンツづくりに一層こだわっています」と述べています。しかも表現方法も文字、テキストにこだわらず、動画、データ、音声も積極的に活用しているようです。
慣習にとらわれず、「読者ファースト」の姿勢を打ち出しました。さまざまな背景を持った読者たちの状態や状況に合わせて、あらゆる表現方法を駆使するという挑戦だ、と私は評価しています。ほかの出版社がどこまで挑戦できるのか。マスメディアの存亡を賭けた戦いは、デジタル化を軸により一層激しくなりそうです。