【ポッドキャスト #02】 マスメディアの報道って信用できる? メディアリテラシーの重要性を考える!
当カテゴリーは、公式ラジオ番組『広報オタ倶楽部』のテキスト版です。配信1週間後に投稿します。
(今回は年末年始を挟んでいたので、2週間後の掲載です。)
群馬の町長裁判を題材に、メディア報道の偏向性や問題点にも触れています。
後半では、新型コロナウイルスを巡る報道から考えさせられるメディアリテラシーの重要性や、ネット時代における信頼構築のための広報戦略についても語っています。
インターネット時代はありのまま(等身大)を発信しないと信頼されない
荒木: おはようございます。
濱口: おはようございます。
荒木: 『広報オタ倶楽部』第3回です。
濱口: 荒木さん、今日は2回目です。初回が第0回なので、前回は第1回ですよ。
荒木: そうか、第2回ですね、失礼。今年、最後の『広報オタ倶楽部』ですね。
たぶん皆さんは、明日(12月27日)が最終日(仕事納め)のかたも、多いんじゃないかな(28日が土曜日のため)。1年が、あっという間でしたね。
濱口: あっという間ですね。早過ぎますよ。
荒木: 本当早い。私の(仕事上の)相棒が、毎朝9時から30分間(無料)、ゆるい朝会(みんなのHomeRoom:2023年6月19日開始)の中で、9月ぐらいに、「皆さん10月に入ったらもう年末ですよ、11月や12月は、ないですよ」と話すんだ。そんな話をしていたら、もう年末で、本当にそんな感覚。早い。
濱口: 確かに、それはうまいこと言いますね。確かに10月に入ってから異様に早いですよね。
荒木: 年のせいかもしれないけど、異様に早いね。ほぼ秋がなくて、もう冬という感じでしょ。鹿児島もそう?
濱口: 鹿児島も寒いですよ。1月には、雪が降りますしね。
荒木: そうなんだ、鹿児島にも雪が降るんだ。
濱口: 意外と降るんですよ。
荒木: 確かに、九州に住んでいる人が、「われわれが見ている普通の日本地図だと九州は、ずいぶん南(緯度)に見えるけど、そうでもないよ」と言っていたね。
濱口さんは、この1年を振り返ってみて、どうでしたか? 私は、振り返りではないんだけど、ちょっと気になっていることがあって。前回の話しの続きになっちゃうんだけど、少し話していいかな?
濱口: はい。
荒木: 「マスメディアの報道の在り方ってどうなのかな」と、ここ数年ずっと思っている。前回、話題にした兵庫県知事(斎藤元彦氏)の件も含めてね。なんなんだろう、これは。
濱口: 良いですね。2回目から、そこに切り込むって、「これぞ、オタク荒木洋二」ですよ。
荒木: これって報道としてどうなのかな。結局、私から見ると過激だと映る人たちが、斎藤知事を応援したことがあったんだろうし、(兵庫県の)PR会社の支援もあったのかもしれないけど、もう一回当選したわけじゃないですか。
いろいろと見ていると言われていることは、「選挙で20億円かかった」ということ。その時、県議会の全議員も斎藤知事に対して、NOを突きつけた。だけど、実際に何があったのか、どこまでパワハラがあったのか、そこまでは報道されない。功と罪があるはずなのに、功績の方は一切語らず、その1点(罪)を突いて報道する。言い方は悪いけど、分かりやすく言うと、犯人と決め付けて、みんなで袋叩きにする。ある意味、極悪人のように。そういう言葉は使われていないけれど、人格を否定するがごとくの報道も多いなと思う。
濱口: それはそうですね。全くそうです。
荒木: 結局、百条委員会(兵庫県議会の調査特別委員会)の明確な答えも出ていないような状況じゃないですか。だから、「これって、何なんだろう」と強く感じていたんだよね。そんな中、気になる記事を目にしたんだ。
それは、群馬県の草津町(温泉地として有名)の町長、黒岩信忠氏が元草津町議の女性から、セクハラで訴えられた事件。でも、それが虚偽の告発だったという内容。
黒岩氏(町長)は、名誉が損なわれたとして損害の賠償を求めた。その裁判で、女性議員の方が虚偽だったと認められて勝ったんです。女性議員の告発にはうそが含まれていたということだよね。
濱口: うーん。
荒木: 当時の報道を、よく覚えているんだけど、どの(情報)番組も「とんでもない町長がいる」というような、報道を繰り返していた。
その件に対して、群馬県の知事、山本一太氏(元自由民主党に所属し、国会議員時代はテレビなどにも出演)が「メディアの責任は重いよ」とコメントしていた。
あの時の報道は、ほとんど犯人扱いをしていたからね・・・。その件があったから、今回の斎藤知事の件も重なってしまう。まだ真偽は、明らかになっていない部分があるのに、インターネット上の情報と報道、良くない意味での相乗効果で、袋叩きにしている印象だね。
濱口: いやあ、あれは良くないですよね。
荒木: なんか怖くない?
濱口: 怖いですよね。もう、「裁判で無罪です」って言われたとしても、「あそこの議員って良くないよね、市長って良くないよね」という、イメージが付いてしまうと、事実はどうでもよくなってしまうので。
荒木: そう。虚偽の告発で名誉が損なわれたことが認められたけど、その事実をどこまでちゃんと、マスメディアのかたがたが同じくらいの時間(セクハラで訴えられたことに対する報道)を割いて報道して、私たちはなぜ、あのような報道をしてしまったんだろうと、検証してほしいと思う。
私の知る限りでは、報道(無罪であるという事実)してはいるけれど、あの時(訴えられたこと)ほどは、繰り返し報道していない印象。なんか、よく言われ「魔女狩り」のような、誰かいけにえを見つけて、先導するイメージが付いてしまっている。視聴率が欲しいこともあるだろうし、うそは言っていないのかもしれないけど、やっぱり偏り過ぎているなと思う。言わないこと(報道しないこと)が多すぎるんじゃないかなと感じるね。
濱口: 感じますね。だから、事実が何かということが、見ていても分からなくなりますもんね。
荒木: 真面目くさい話になるんだけど、メディアリテラシーとか、情報リテラシーというように(リテラシー:読んだり書いたりする能力)ちゃんと情報の真偽を見極めること。一次情報に当たって、ちゃんと事実かどうかを確認すること、これが実は面倒くさいけども、大切なことだよね。
本来マスメディアは、それやることが使命で、彼らが、われわれに変わってやるべきことなんだけど、そうできていない。
そして、すごく優秀だなと感じる人(私から見て、さまざまな情報を収集しているように見える人)でも、案外、自分で確認せずに、自分が信頼している人の言ったことに関しては無批判に受け入れていること事がある。自戒も込めて言うけれど、自分でちゃんと事実を示すデータを確認しないで判断するのは怖い。確認できないことも多いから、どのマスメディア・情報発信者を、どれほど信用するかということになるよね。
憶測が飛び交って、事実として認定されていないことも事実かのようになっていると、怖いなと思う。
濱口: いやあ、怖いですよ。だって、自分の知らない所で、自分とは別の人格をメディアがつくっていくということじゃないですか。怖過ぎますよ! 自分がやっていないことを「やっている!」と言われるんですよ。
荒木: でも、いずれうそは暴かれるじゃない? だから怖いのは、インターネット上では、表面上取り繕って、すごくいい人・いい会社・いい団体に振る舞っていても、その現場でいろいろな経験をした人たちは、事実とは違ということは分かるじゃない。
その人たちが不平不満を持って、いろいろな発信をすることによって、うそはバレやすい。
どんなに、きれいで格好よく発信しても、「実際は違うよね」と分かっている人が、今の時代は発信できちゃうからね。そういう意味で、うそはつけない反面、うそも広がってしまう。インターネット時代の良い面と悪い面があるよね。
濱口: その事実に対して、絶対に人の主観が入るじゃないですか。本人が思っていることと違う意図で伝わってしまったり、発信者側もうそを発信しているつもりはないけれど、結果として事実とは違うことが広まってしまったりすることはありますよね。
荒木: 確かにね。だから、兵庫県知事の件が最近あったから例として話したけど、今までも同じような報道が何度もあった。なるべく、いろいろな意見や情報を取るように努力はしていると思うんだけどね。
それから、私が危険だと思っていることは、「オールドメディアは駄目で、インターネットはすごい」というような、よく分からない分け方をしてしまうこと。他にも、何でも「陰謀論」というのも、どうなのかなと思う。実際に、フェイク情報もあるんだろうけどね。
それぞれ個人が情報を見極める力を養っていかないと怖いよね。思い込みで、本当はそうじゃないことを「そうだ」と、思い込んだまま生きてしまうのは嫌だなと思う。
■マスメディアの偏向的な報道に対する向き合い方とメディアリテラシーの重要性
荒木: この話をすると長くなるから嫌なんだけど・・・。
濱口: そういいながら、話すんですよね。
荒木: 私は、2020年の新型コロナウイルス感染症が流行した頃から、「マスメディアの情報ってどうなのかな」と思っていてね。インターネットでは、陰謀論だという。限られた時間の中で報道するから、当然いろいろな立場の専門家がコメンテーターとして(情報番組などに)出ているけど、割と偏っている印象を受ける。
よく言われることに、理想論で話すと中立だから、「両論の対立する意見を発信しましょう」ということがあって、活字(文字)メディア(新聞など)は、(意識的に)やっているかもしれないけど、テレビはそうじゃないケースも多いなと思う。右とか左とかあるから、単純にステレオタイプで分けてはいけないけどね。新聞、テレビ、それぞれにバイアス、偏見、偏りがあって、どちらかに寄っているなと、そういう部分が分かった上で、情報を見ていくのならいいと思う。けれど、その知識がないと、受け止め方が怖いなと感じるね。
私は、新型コロナウイルス感染症が流行したときもインターネットでいろいろな医師(大学教授)や、研究者の人たちの発信を聞くようにしていた。その人たち(専門家)の中には、テレビに出ている人の意見とは全く違うことを言っている人もいた。私は、そういう情報も知っていたから世間の受け止め方とは違っていて、ずいぶん、ずれていたね。
ラジオだから誰が聞いているか分からないけど、私はワクチンを1回も打っていない。何でも批判する気はないけど、ちゃんと情報を見極める力は欲しいなと思う。
濱口: 私もワクチン打っていないです。非国民扱いされるから言えなかったですもん。
荒木: そうだよね、それも極端だよね。自由と言いながらも、そうじゃないから。
私の両親が医者だったこともあって、インフルエンザの予防接種は大人になってからも、正月帰省した時に必ず父親(内科医)が打ってくれた。みんな、大人になったら打たない人も多いのに、私は、そういう状況だったから打っていたね。
コロナが騒がれる前に、一つ上の兄(医者)から、「ワクチン(予防接種)は、かからないためじゃなくて、かかった時に重症化しないためにあるんだよ」という話を聞いた。だから私は、みんな勘違いしているけど、あれは予防接種と言っているけど、重症化しないためにするんだからね。
濱口: そうなんですか!
荒木: とくに、コロナが騒がれるようになって、「重症化を防ぐ」ではなくて、「かからない」という意識で受けている人が多いように感じたね。あるいは、PCR検査が「陽性」ということを、報道で「感染者」と言っていたじゃない? 自治体のウェブサイトには、「陽性者」何名と発表しているのに、マスメディアはなぜか、「感染者」という言い方をしている。陽性者と感染者はイコールではないのにね。
マスメディアは、正しい言葉を使わなきゃいけないのに、なぜ、「陽性」と言わないんだろう。自分で、そのあたりを見極めていかないと知らぬ間に、あらぬ方向に誘導されていることも、ないとはいえないよね。
濱口: ありますよね。もう、メディアの言っていることなんて、だいたいが「うそっぱち」だろうって、思うようになっちゃいますもんね。
荒木: 実際、記者に会うと、すごく真剣だし、ちゃんと何が違うのかとか、それは本当なのか、追求する人たちは多い。そういう人たちも多いんだけど・・・。世間からは「マスゴミ」とか「オールドメディア」とか言われてマスメディアの価値が落ちてきている印象も受ける。
あるいは、「最近のマスメディアはどうしたんだ?」「このままでいいの? 違うんじゃない?」と、叱咤激励として、いい意味合いでも受け取れるから、いい傾向でもあるんだろうけどね。
濱口: そうですよね。ちゃんと事実を報道しようとしている記者さんがいる中で、そういう情報(事実と異なる情報)は、やっぱり目立ちますもんね。
荒木: 報道する内容を最終決定する人は、現場の記者とは当然違う人だろうからね。
だから、いわゆるジャーナリストというより、サラリーマの立場にあれば、会社の方針に従わざるを得ない。そんな、いろいろな面があると思うけれど、最近のマスメディアについては、コロナの報道あたりから、気になり始めた。それで、PCR検査がどういうものなのか、いろいろな教授の話を聞いて、一生懸命勉強したんだ。
濱口: もはや、医者じゃないですか!
荒木: その分野に詳しい人に話すと、「さすが医者の家系ですね!」って言われることがあったよ。関係ないとは思うけど、勉強したときは頭に入ってきやすいとも感じたから、そういう遺伝子があるのかもしれないな、と思ったことはあった。
■混迷を極める情報発信の領域にも明るい兆し
荒木: 今、(インターネットが普及した時代)いい面として、うそがつけないことがあるね。企業広報の面でいうと、ありのまま(等身大)を発信した方が、かえって人に信頼されるんじゃないかな。
濱口: 間違いないですね。
荒木: そっちの(自社のありのままの姿を発信する)方向に向かっているんじゃないかなと思っています。
私が読んだ本に、「これからは中身を発信しないと信頼されませんよ」「広告の時代(もちろん、きれいなものも、格好いい情報発信をすることも大事だけど)というよりは、普段何をしているのか、どんな会社なのか、という情報を積極的に発信していかないと、なかなか信頼されない」という話があった。その著者は、もともと電通にいて、そこから独立して、自分でSNSを運用・発信している人なんだよね。
私は今の情報発信の在り方が、どっち側に転ぶか。(情報発信が)混迷を極めていると、感じながらも、そんな中で明るい兆しも見えていると思える。そんな今日このごろです。
濱口: これは本当に明るい兆しですよね。これからマスメディアや広報は、「事実を発信する」という本質が、より出てくるのかなと思います。
荒木: もちろんマスメディアの役割は、これからも続くと思うけど、個人も企業も、それぞれが自分で情報発信できるツール(武器)を手にしているので、それを正しく使って、自分の等身大(ありのまま)の発信を心がけていくと企業広報も変わっていくのではないか、という思いで今年を締めたいと思います。
濱口さん、今年もお世話になりました。
濱口: 今年も1年、ありがとうございました。
荒木: 来年の第1週は、皆さん休みでしょうから、次回の放送は1月の第2週、9日が最初になると思います。9日が第3回かな?
濱口: 1月9日が第3回になりますね。もう第2回から、「これぞオタク」という内容になってきて、いい感じですね。
荒木: また来年も頑張って『広報オタ倶楽部』を発信していきます。
濱口: 「オタク」度、増し増しでいきましょう。楽しみです。
荒木: 増し増しで、やっていきたいと思います!
じゃあ皆さん、良い年末年始をお過ごしください。
濱口: 良いお年を、お過ごしください。