【ポッドキャスト #36】プレスリリースはどこに送ればいいの? 記者クラブって何? (その1)

プレスリリースを作成した後、どうやって報道関係者に届けたらいいのか?
現在は一斉配信事業者が提供するサービスがいくつか存在します。しかし、ネット普及以前はどうしていたのか? 
大手企業の常識が「記者クラブ」を利用すること。2回にわたり、解説します。

音声(番組)は以下より聴取できます。
・ポッドキャスト:#36
・Spotify:#36

以下のとおり、要約しました。

要約

プレスリリース配信における現状整理と、記者クラブの基本構造・使い分けを再確認。
インターネット普及以降に増えた一斉配信サービス(例:PR TIMES)の影響と、従来チャネル(記者クラブ、個別記者リスト)の併用方針を共有。
次回は各チャネルのメリット・デメリットを比較検討。

記者クラブとは

◆役割・背景
・日本(および韓国)特有の制度。
 始まりは1890年頃、行政・議会への情報公開を求める記者側の動きに端を発する。
 国民の「知る権利」に応えるための取材拠点として機能している。

・行政・政治の監視と情報公開の最前線として、各所に常駐記者が詰めている。

◆主な類型(3分類)
・中央省庁内の記者クラブ
 企業側は、自社の発信テーマが所管に近い省庁を選定して持ち込む。

・自治体(県政・市政)記者クラブ
 本社・拠点がある地元での発信に適している。
 知事・市長の定例会見のほか、地元企業・団体のニュースも受け付ける。

・商工会議所・業界団体内の記者クラブ
 地元企業情報や業界固有のトピックと親和性が高い(例:自動車、製薬など)。

◆実務運用
・提出手段は「投げ込み(投函)」「郵送」、近年はメール可のクラブも増加。
 ただしアナログ運用が依然多い。

・クラブによってはボックス投函方式や部数指定などのルールあり。
 兜倶楽部(証券専門クラブ)などの例も。

◆活用の要点
・業界・テーマ・所在地に応じて対象クラブを選定して持ち込む。
・地域・行政系ニュースとの親和性が高く、地元露出の起点として有効。

記者への情報流通チャネル

◆記者クラブへの持ち込み
・自社の業界・テーマ・地域に合わせて対象クラブを選ぶ。
 投げ込み・郵送・メールで配布。

◆配信会社の活用(ネット一斉配信)
・主なサービス:
 共同通信PRワイヤー(国内外媒体へ配信、媒体名は明示されるが記者個人は非開示)
 PR TIMES(現在は事実上の「一人勝ち」状態)
 @Press、バリュープレス、プレスウォーカー(無料枠含む)など

・仕組みと特性:
 記者個人宛ではなく、媒体・担当者宛配信が中心。提携ニュースサイト多数と連携。
 原文のプレスリリースをそのまま各サイトの「プレスリリース欄」に掲載(編集記事ではない)。
 掲載数の目安は20〜60媒体程度になるケースも。
 注意点:ユーザーが「記事」と誤認しやすい。

・自社メディアリスト(個別送付)
 自社で構築した記者・媒体リスト(記者個人や部署宛て)にメール中心で配信。

 大企業は日常的な個別関係構築が一般的。

・自社サイト掲載(必須)
 自社ウェブサイトの「ニュースリリース」欄への掲載は標準運用(検索・参照のハブ)。

『みんなの経済新聞』ネットワーク

・みんなの経済新聞ネットワークの活用
 地域経済ニュースのローカルメディア・プラットフォーム。
 (例:天神経済新聞、高円寺経済新聞など多数)。

・各ローカル版の投稿フォームからプレスリリース提供が可能。編集側が採否を判断。

・Yahoo!ニュースと連動しており、地域枠での露出獲得に有効。

まとめ

◆企業の標準運用は、以下の併用が王道:
・記者クラブ(業界/テーマ/地域で選定)
・配信会社(PR TIMES、共同通信PRワイヤー、@Pressなど)
・自社メディアリスト(個別送付)
・併せて自社サイト掲載を徹底

◆記者クラブは依然として有効なチャネルであり、適切に活用すべき。

◆次回、各チャネルのメリット、デメリットを比較し、最適な使い分けを整理する。

以上

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