【ポッドキャスト #37】プレスリリースはどこに送ればいいの? 記者クラブって何? (その2)
記者にプレスリリースを届ける方法は主に3つ。
①記者クラブ投函②一斉配信事業者によるネット配信③自社リスト配信(自社サイト掲載)
それぞれに利点、弱点があります。自社のリソースと照らし合わせ、適宜組み合わせることが大切です。
音声(番組)は以下より聴取できます。
・ポッドキャスト:#37
・Spotify:#37
以下のとおり、要約しました。
全体概要
◆テーマは「ニュースリリース配信の最適な優先順位と配布チャネル選定」
前回の「どこへ届けるか」に続き、今回は各チャネルの利点・欠点と、限られた予算内での実務的な優先度設計を整理。
◆結論の骨子:
・最低限の必須対応
自社サイト掲載 + 記者クラブ投函 + 「みんなの経済新聞」への投稿
+ 自前メディアリストへの適切なセグメント配信
・予算がある場合の加点対応
配信サービス(特にPR TIMES)活用。
ただし「報道」と「転載」の違いを正しく理解し、過大評価しない。
常に実施すべきこと
◆自社ウェブサイトへの掲載
・理由
記者が企業調査時に最初に確認する基本情報源。
過去の発信履歴がない企業は「隠蔽体質という疑い=不誠実」と見なさされやすい。
・期待効果
信頼性・透明性の担保、取材検討の土台形成。
◆記者クラブへの投函(持参・郵送)
・理由
記者の業務フローに自然に溶け込む導線で心理的障壁が低い。
紙で配布され、物理的に目に留まりやすい。
・実務ポイント
県・市・商工会議所内の記者クラブを事前調査(設置有無は地域差あり)。
低コスト(印刷・郵送費のみ)で毎回対応可能。
中央省庁は複数クラブが存在。
(例: 厚生労働省=厚生労働記者会、日比谷クラブ、労政記者クラブ)
テーマ適合性で投函先を選ぶ。
◆「みんなの経済新聞」への投稿(登録)
・理由
地元ニュースへの関心が高く、取材の可能性がある。
・位置付け
コスト効率のよい露出チャネルとして毎回実施推奨。
◆自社(自前)メディアリストへの配信(セグメント必須)
・実務ポイント
記者の担当分野とニューステーマの適合性で送付先を絞る。
名刺交換歴のみで無差別送信は逆効果(不信感・スパム認定のリスク)。
配信サービスの活用整理(予算次第で追加実施)
◆一斉配信サービスの全体像と課題
・メリット
多数サイトへの転載により可視性・外部リンクが増える。
SEOやソーシャル拡散の下支えに。
日経テレコンで「ニュースリリース」フィルタ検索に拾われやすい。
記者のテーマ検索でヒットする可能性。
・デメリット・留意点
記者の受信量過多で埋没しやすい。個別リレーションの代替にはならない。
「転載」は「報道」ではない。メディア掲載と誤認すると評価毀損。
◆PR TIMESの特徴
・強み
地方紙・業界紙のウェブと連携し、地域・業界のリリースが自動掲出されやすい。
認知・資本力で実質的な優位(独り勝ち傾向)。
・活用指針
予算に余裕、またはキャンペーン・特典適用時に選択肢として検討。
目的は「認知拡大・SEO対策・副次効果」。報道獲得の主軸ではない。
◆@Press(アットプレス)などの所感
・強み
校正・誤字チェックが丁寧で品質担保に寄与。
・現状
市場パワーはPR TIMESに劣後。目的・条件が合致する場合に選択。
テーマ別の投函先・セグメント設計の例
◆中央省庁(例: 厚労省)
・厚生労働記者会
テレビ・全国紙・通信社・記者+論説委員。
働き方改革、医療・福祉、労働・人権テーマ向け。
・日比谷クラブ
医療・福祉・介護の業界紙、専門誌。
・労政記者クラブ
人事・労務・労働制度の専門媒体向け。
◆中央省庁(例: 国土交通省)
・建設専門記者会(業界紙中心、日刊紙多数)
建設・住宅な関連どの業界紙、専門誌。
◆地域(地方)・商工会議所
・県・市・商工会議所内の記者クラブ
企業の地域性が強いトピック(本社移転、雇用、地域連携)に適合。
利用目的別のチャネル使い分け
◆報道・取材誘致を狙う
・記者クラブ投函(紙)
・自社サイトのアーカイブ整備(信頼の土台)
・適合メディアへのセグメント配信(個別関係性の強化)
・地元特化の「みんなの経済新聞」
◆認知拡大・SEO対策・副次効果
・配信サービス(PR TIMES優先検討)
・副次効果:
地方紙、業界紙のウェブサイト転載。
日経テレコンでの検索ヒット、SNS拡散支援オプション。
リスク
◆無差別配信(担当外への大量送付)で信頼低下
◆「転載」を「報道」と誤表現して実績誇張(記者評価の毀損)
◆自社サイト未掲載のまま外部配信のみ実施(基本の欠落)
まとめ(優先順位の指針)
◆まずやること(毎回・低コスト・高実効性)
・自社サイト掲載
・記者クラブ投函(県・市・商工会議所、テーマにより中央省庁選定)
・「みんなの経済新聞」投稿・登録
・自社(自前)メディアリストへのテーマ適合セグメント配信
◆余力があるときに追加
・配信サービス(PR TIMES中心に比較検討。@Pressの校正品質も一考)
・SNSや外部露出の同時展開で視認性強化
◆判断基準
・予算、ニュースの重要度、地域・業界適合性、期待成果(報道か認知拡大か)でチャネル組み合わせを決定
以上

