【ポッドキャスト #60】広報とリスクの交差点 ~感情のヒヤリハットを見逃すな~

SNSでの「炎上」は突然起きません。
リスクマネジメントの世界で知られる「1:29:300の法則」。重大事故の前には、必ず軽微な事故やヒヤリハットがある。
炎上も同じです。感情のヒヤリハットを見逃してはなりません。
音声(番組)は以下より聴取できます。
・ポッドキャスト:#60
・Spotify:#60
以下、テキスト版です。ぜひご一読ください。
荒木
前回は「感情」に注目しました。
今日はそこから一歩進めて、感情とリスクマネジメントの関係を話したいと思います。
濱口
前回も印象的でしたけど、「感情知能が高い企業ほど利益が出ている」という話は、ちょっと意外でした。
荒木
そうですよね。
感情を大事にしている企業ほど、結果として長期的な財務成果が出ている。
これは偶然ではないと思っています。
◆ハインリッヒの法則
荒木
リスクマネジメントの世界に有名な法則があります。
「1:29:300の法則」、ハインリッヒの法則です。
重大事故1件の前には29件の軽微な事故、300件のヒヤリハットがある。
濱口
いきなり大事故が起きるわけではない、ということですね。
荒木
そう。必ず兆しがある。
小さな違和感や軽微な出来事を見逃すと、やがて大きな事故につながる。
◆事故の前には「感情」がある
濱口
でも、それが感情とどうつながるんですか?
荒木
事故の前には行動があります。
そして行動の前には、必ず感情がある。
感情が揺れると、行動が変わる。
その積み重ねが結果として事故や炎上になる。
濱口
なるほど。
つまり、感情の揺れが「最初のヒヤリハット」なんですね。
荒木
そうです。
私はこれを「日常会話のヒヤリハット」と呼んでいます。
◆日常会話に潜む兆し
荒木
例えば、経営者が何気なく発した言葉。「結局は数字だよ」といった一言。
社員はどう感じるか。
濱口
理念と言っていることと違う、と感じるかもしれませんね。
荒木
そう。その小さな違和感。それが積み重なると、離職や炎上につながる。
濱口
確かに、炎上対策って「投稿テクニック」の話になりがちですが、本質はもっと手前にあるのかもしれませんね。
荒木
まさにそこです。
SNSの炎上は突然ではない。日常会話の積み重ねです。
◆感情を可視化するということ
濱口
じゃあ、どうすればいいんでしょう?
荒木
まず、自分の感情を曖昧にしないこと。
話す。書く。振り返る。
濱口
確かに、話すだけで整理されることってありますよね。
荒木
言葉にすると、一度自分から離れる。
それを客観的に見ることで、整理が始まる。
濱口
企業でも同じことが言えそうですね。
荒木
そう。企業も人格を持つ存在です。
企業の中にある感情を言葉にしないと、歪みは見えない。
◆ニュースルームの本質
濱口
ここでニュースルームの話につながりますか?
荒木
つながります。
ニュースルームは単なる情報保管庫ではない。
企業が何に悩み、何を感じ、どう判断してきたのか。
その感情の履歴を残す場所です。
濱口
会社概要だけでは見えない部分ですね。
荒木
そう。
感情が見えなければ、企業の人格は伝わらない。
戦略は大事です。
数字も大事です。
でも、それを動かしているのは人間。
そして人間は感情で動く。
感情のヒヤリハットを見逃さないこと。
それが広報の重要な役割だと思います。

