【ポッドキャスト #62】感情が資産になる瞬間──医師と患者の関係から学ぶ

今回は、濱口さんが体験した「1時間かけても通いたくなる皮膚科医」のエピソードをもとに、感情がどのように信頼を生み、口コミや関係を広げていくのかを考えます。
感情が消費ではなく資産へと変わる瞬間とは何か。広報の本質に迫ります。

音声(番組)は以下より聴取できます。
・ポッドキャスト:#62
・Spotify:#62

以下、テキスト版です。ぜひご一読ください。

荒木
昨日が3月11日でした。まずは東日本大震災で亡くなられたかたがたへ哀悼の意を表したいと思います。

濱口
本当にあっという間の15年でしたね。

荒木
そうですね。ただ、被災されたかたがたにとっては長い年月だったと思います。日本はどこでも地震が起こりうる国ですから、自然の怖さを忘れずにいたいですね。

◆感情の話をもう一度

荒木
さて、前回まで感情の話を続けてきました。
濱口さんが面白いエピソードがあるそうなので、そこから感情について考えてみたいと思います。

濱口
鹿児島の皮膚科の先生のお話なんです。とても丁寧に診察される先生で、一人の患者に10分以上かけるんです。

◆患者に向き合う医師

荒木
それは今のクリニックでは珍しいですね。

濱口
私が猫に引っかかれて足が腫れたときに診てもらったんです。その際、抗生物質を出すだけでなく「猫ひっかき病」という病気について、とても詳しく説明してくださったんです。

荒木
猫ひっかき病、私は初めて聞きました。

濱口
感染してから2〜3カ月後に症状が出ることもあるらしくて。
だからもし発熱や湿疹が出たら、必ず猫に引っかかれたことを医師に伝えるように、と。

荒木
その説明にかなり時間をかけているわけですね。

濱口
はい。そして先生自身が、過去にその病気の診断で苦い経験をされた話もしてくださったんです。

荒木
そこがとても重要ですね。
その先生の中には「失敗した経験」が感情として残っている。

そしてそれを患者に語り続けている。

濱口
だからこそ、その先生の話はすごく真剣に聞けるんですよね。

荒木
感情が消費されず、積み上がっている証拠ですね。

◆感情が資産になる瞬間

荒木
その結果、濱口さんは1時間かけてその病院に通っているわけでしょう。

濱口
そうなんです。待ち時間も長いんですが、それでも行きたいと思うんですよね。

荒木
それはもう感情資産ですね。

機能だけなら近くの病院でもいい。でもその先生との関係があるから通う。

◆口コミが生まれる構造

荒木
さらに面白いのは、その体験を濱口さんが人に話すことです。

濱口
はい、つい紹介してしまいます。

荒木
それが口コミです。企業でいうと「エバンジェリスト」、伝道者ですね。


自然と広がっていくんですね。

荒木
そう。戦略的に作った口コミより、自然に生まれる口コミの方が強い。

つまり何が起きているかというと、目の前の患者との関係(内循環)、その体験が外に広がる(外循環)、という流れです。

濱口
なるほど。

荒木
広報も同じです。
まずは目の前の人との関係を大切にすること。そこで生まれた感情が、外へと広がっていく。効率だけでは生まれない価値があります。

感情が積み上がると、それは信頼となり、関係となり、資産になります。

濱口
まさにその先生のクリニックがそうですね。

荒木
そうですね。
感情が資産に変わる瞬間を、非常に分かりやすく見せてくれる事例だと思います。

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