【ポッドキャスト #67】ゼロリスクはない──運送事故と企業の姿勢

新名神高速道路で起きた痛ましい事故をきっかけに、企業が事故後にどんな姿勢を見せるべきかを考える回です。
会社に落ち度があるかどうかだけでなく、ふだんから自分たちが何者かを発信しているかが問われます。
物流業界の構造や、ホームページを持つ意味にも話が広がりました。

音声(番組)は以下より聴取できます。
・ポッドキャスト:#67
・Spotify:#67

以下、テキスト版です。ぜひご一読ください。

◆事故の後、会社は何を語るべきか

濱口
新名神高速道路のトラック事故について、いろいろ考えさせられました。報道を見る限り、事故を起こした女性ドライバーは勤務態度も良く、あいさつもきちんとする人だったそうで、周囲からも「まさかあの人が」という声が出ていたんですよね。

荒木
本当に痛ましい事故でした。亡くなられたかたがたには心から哀悼の意を表したいですし、ご家族にもお悔やみを申し上げたいです。

濱口
現時点では、運転中にスマホを見ていたことが直接的な原因ではないかと言われています。ただ、それだけで片付けられないものも感じるんです。

◆事故の背景にあるもの

荒木
事故そのものは前方不注意だったとしても、物流業界全体の構造や、現場にかかる負荷の問題は見ていく必要がありますよね。

濱口
そうなんです。これまで物流や輸送の事故って、過重労働や管理体制の甘さが背景にあったケースも多いじゃないですか。

荒木
ありますね。バス業界でも運送業界でも、厳しいスケジュールや無理な働かせ方が問題になったことは何度もありました。

濱口
ただ今回のケースは、そこがまだはっきりしていない。だからこそ、この会社が普段どういう管理をしていたのかが気になるんです。

◆社長が顔を出して答えた意味

濱口
今回、私が印象的だったのは、会社の社長さんが顔を出してインタビューに答えていたことです。運送事故の後って、経営者が出てこないケースも多いので、珍しいなと思いました。

荒木
私もそう感じました。憔悴した様子はありましたけれど、逃げようとせず、ちゃんと向き合おうとしていた。あの姿勢は大きいですよね。

濱口
事故が起きると、会社側の管理責任も当然問われますし、処分によっては会社の存続にも関わります。そういう中で、前に出ていたのは印象的でした。

荒木
企業にとって危機のときほど、「自分たちはどういう会社なのか」が問われます。だからこそ、何も起きていない平時から、自分たちの姿勢をきちんと残しておくことが大事なんですよね。

◆ホームページを持つ意味

濱口
今回その会社のホームページを探したんですが、見つからなかったんです。もともと持っていなかったのか、今回閉じたのかは分かりませんが。

荒木
運送業界はBtoCではなく、下請けや既存取引で回っている会社も多いですから、ホームページがない企業も十分ありえます。

濱口
ただ、何かが起きたときに、自分たちが何者かを示す場所がないのは大きいですよね。

荒木
その通りです。何も残っていないと、人は臆測で判断してしまいます。実際には真面目にやっていた会社かもしれないのに、噂や想像で語られてしまう。

濱口
それは会社にとってかなり不利ですよね。

荒木
だから、小さくてもいいから、自分たちの言葉で自分たちを説明しておく場所が必要なんです。ニュースルームでもホームページでもいい。要は、平時から企業の姿勢を刻んでおくことが大事なんですよね。

◆ゼロリスクはない

荒木
人間がやる以上、ゼロリスクはありえません。だから事故や問題が起きたときに、どう向き合うのか。そのための土台を平時から持っておく必要がある。

濱口
物流は生活に欠かせないものですし、その恩恵を受けている私たち自身も、業界全体のことを考えないといけないんでしょうね。

荒木
便利さを求めるのは私たちですからね。その一方で、現場の負荷やコストの問題を見ないままではいられない。そういう意味でも、今回の事故は個人だけの問題ではなく、構造の問題としても考える必要があると思います。

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