【ポッドキャスト #75】話題になったのに、なぜ採用できなかったのか

介護施設が「インスタグラマーおばあちゃん」で話題化し、1年で3万人超のフォロワーを獲得。
それでも採用問い合わせはゼロ、入居も2件、費用は1000万円超でした。
今回は、認知と採用の間にある大きな溝と、設計不足が生んだズレを考えます。

音声(番組)は以下より聴取できます。
・ポッドキャスト:#75
・Spotify:#75

以下、テキスト版です。ぜひご一読ください。

濱口
以前、ある介護施設の採用定着の相談を受けたことがありました。従業員数も多い会社さんで、採用にかなり困っていたんです。そこでその会社は、少し前にInstagramとTikTokで「インスタグラマーおばあちゃん」のような企画を打っていました。

荒木
なるほど。

濱口
結果としてはかなりバズったんです。1年でフォロワーは3万人規模まで増えて、認知は相当広がった。でも、採用問い合わせはゼロ。入居希望も2件くらいで、費用は1000万円を超えていたそうなんです。かなり疲弊されていました。

◆認知は、たしかに取れていた

荒木
この事例、すごく象徴的ですね。まずはっきり言えるのは、認知は取れていたということです。3万人フォロワーがいるという時点で、それ自体は成功なんですよね。

濱口
そうなんです。知られなければ選ばれないわけですから、最初の段階は間違っていなかったと思うんです。

荒木
その通りです。ただ、認知が取れたことと、採用や入居につながることは別問題なんです。そこにかなり大きな溝があった。

◆なぜ「働きたい」まで動かなかったのか

濱口
あれだけ話題になっても、なぜ応募までつながらなかったんでしょうか。

荒木
一つは、仕事理解まで届いていなかったことだと思います。
おばあちゃんの魅力は伝わっていたし、介護施設も案外楽しそうだな、くらいまでは伝わっていたかもしれない。でも、そこで働く仕事のリアルや、自分がここで働く姿までは見えてこなかった。

濱口
たしかに、「面白いおばあちゃんがいる」と「ここで働いてみたい」は全然違いますね。

荒木
違いますね。人はそんなに単純じゃないので、認知しただけでは応募しないんです。仕事理解、会社理解、信頼、その先の動線まで設計されていないと、採用にはつながりにくい。

◆対象と媒体のズレもあった

荒木
もう一つは、そもそも見ていた人たちが、本当に採用対象だったのかという問題です。

濱口
そこもありますね。

荒木
若い人向けの採用を狙ってInstagramやTikTokを使ったのだと思いますが、その中身は採用コンテンツというより、おばあちゃんの人気コンテンツになっていた。しかも入居希望者の年代とも媒体の相性が必ずしも良くなかった。
だから、認知は取れた。でも採用にも入居にもつながりきらなかった。そこにズレがあったんだと思います。

◆ただし、完全な失敗ではない

濱口
でも、全部が無駄だったとも言い切れないですよね。

荒木
そこが大事です。完全失敗ではないんです。介護施設に対する暗いイメージや抵抗感をやわらげる効果はあったはずですし、会社名や施設名の認知も広がった。
問題は、そこから先の設計がなかったことなんですよね。

濱口
反省の仕方を間違えると、「SNSは意味がない」で終わってしまいますね。

荒木
そうなんです。認知までは取れた。じゃあ次に何を足せば、理解や応募につながるのか。その設計に意識が向けば、この事例は学びの多い実例になると思います。

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