初級講座 Ⅰ.理論・基礎知識 生活者はどう情報を選ぶのか? 情報との三つの向き合い方  

こんにちは。荒木洋二です。

今回も「生活者は情報どう選ぶのか?」について、引き続き解説します。前回は、経済広報センター企業広報戦略研究所の調査結果から、自ら魅力を伝える、自ら舞台裏を伝えることが非常に重要である、ということについて説明しました。今回は3番目、「情報との三つの向き合い方」です。

では、メディア環境研究所が生活者を対象に行った調査の結果を明らかにしていきます。この調査は「メディア定点調査2018」(2017年1~2月実施)といいまして、『メディアガイド2018』(博報堂DYメディアパートナーズ編/宣伝会議刊)から引用しています。同書は年1回、だいたい5月ころに出版されています。メディアについて非常に詳しい内容が載っています。博報堂は広告代理店でナンバー2だからこそ、ここまで詳細な情報を公開できたのではないでしょうか。メディアの実態がよく分かる書籍です。広報に関わる人にとって必要な知識や情報が満載です。

毎年、同書の中で「メディア定点調査」の結果を分析して載せています。同書には非常に示唆に富む内容が掲載されていましたので、この場で要点を紹介します。今、現在でも参考になるし、当てはまる内容であると判断して、最新のデータ分析ではありませんが、あえて講座で紹介します。

同調査で明らかになったのは、生活者を取り巻く情報環境が混沌としているということです。代表的な現状を二つ挙げてみます。

・フェイクニュースとポストトゥルース
ちょうど調査のあった2017年ころから、現在も続いていますが、インターネットを中心にフェイクニュース、虚偽のニュースが全世界を駆け巡りました。国内でも、同様の事態がたくさん発生しました。つまり、ポストトゥルース、直訳すると「脱・真実」です。真実の客観的報道よりも、個人の感想だったり、虚偽の情報だったりが一気に広がってしまう。そういう混沌とした環境を私たちは生きています。正確さよりも、真実かどうか分からないが、共感優先で世論が形成されてしまう状況に置かれています。真実であるかどうかを確かめないまま、共感できるかどうかで世論が形成されています。

・急速なモバイルシフトとSNSの進展
情報端末は急速にモバイルにシフトしています。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)も次から次へと新ししツールが生み出され、形態を変えながら、サービス自体は続いています。この変化によって、個人自らが簡単に情報を発信できるようになりました。情報を受信した側もワンクリックや簡単な操作で情報を一気に拡散できるようになりました。インターネットがあまねく普及することで、情報量は年々増加し続けています。ゆえに、生活者を取り巻く情報環境は2017年も今も変わらず混沌としています。同書では、情報が混沌とした環境下における、生活者の情報戦略を明らかにしました。ポイントは三つあります。

三つのポイントとは次のとおりです。
①自分なりの確かさで雑音は排除
②確かさを確保するための四つの情報源
③四つの情報源を自分なりに組み合わせ

一つずつ説明します。

①自分なりの確かさで雑音は排除
あまりにも情報量が多いので、自分なりに不確かだと判断した情報は雑音として排除してしまいます。自分なりの確かさで判断しています。情報の出元や内容が怪しい情報、自分に関係ないと判断した情報は瞬時に雑音と判断して、排除してしまいます。あるいは情報が多過ぎて選べない、ということでも排除します。

②確かさを確保するための四つの情報源
では、自分なりの確かさをどうやって確保するのか。そのために四つの情報源を用います。
1、公からの発表
2、みんなの意見
3、当事者の見解
4、専門家の知識

四つの情報源については次回で詳説します。

③四つの情報源を自分なりに組み合わせ
四つの情報源を自分なりに組み合わせて確かさを確保する、そうやって情報を選んでいる、ということが調査結果から明らかなりました。自分に必要な情報についての賛否や、表裏を徹底的に調べる傾向があります。決してメディアが発信する情報を盲目的に受け入れたりはしません。あらゆる角度から調べ尽くす傾向があることが分かりました。

今回の講座を最後に、もう一度振り返ります。
・生活者を取り巻く情報環境は混沌としている。
・生活者の情報戦略における要点は三つある。
①自分なりの確かさで雑音は排除
②自分なりの確かさを確保するための四つの情報源
 1,公からの発表
  2,みんなの意見
  3,当事者の見解
  4,専門家の知識
③四つの情報源を自分なりに組み合わせ

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