Weekly Digest 先週を振り返る
参政党は、全国47度道府県に支部を設立しました。ボランティアで街頭演説やタウンミーティング開催を支援する人たちが全国にあふれていました。この「参政党現象」の底流にあった草の根と言える活動が広がった理由や要因を、今回は探ります。
ボランテイアたちによる草の根活動を「地上戦」と名付けます。ネットを駆使した動画配信などを「空中戦」と名付けます。テレビを中心としたマスメディアの報道も「空中戦」といえますが、参政党の場合、ほとんど報道されなかったので「参政党現象」を巻き起こす要因とはなり得ません。ここでは除外して考察して問題ないでしょう。
先の参議院選挙において、参政党で「ゴレンジャー」と呼ばれていた5人の比例代表の得票数(NHK「参議院選2022開票速報」)と、ユーチューブチャンネルの登録者数、視聴数、開設時期をまとめてみました。
氏 名(敬称略) | 得票数 | ユーチューブチャンネル 名称 | 登録者数 | 視聴数 | 開設時期 |
神谷 宗幣 | 159,433 | ChGrandStrategy | 31.2万人 | 1億272万1,560 回 | 2013/4/20 |
武田 邦彦 | 128,257 | 武田邦彦 テレビじゃ言えないホントの話! | 非公表 | 1億360万9,294 回 | 2017/10/26 |
松田 学 | 73,672 | 松田政策研究所チャンネル | 25.9万人 | 4,271万8,188 回 | 2018/02/14 |
吉野 敏明 | 25,463 | よしりんとチョーさんの人生健康サロンch | 7.7万人 | 720万9,008 回 | 2021/08/26 |
赤尾 由美 | 11,344 | Channel AJER | 4.68万人 | 678万5,041 回 | 2013/02/10 |
「地上戦」を全国展開できたのは、もともと5人がユーチューブで動画を配信し続けた「空中戦」の積み重ねがあったからだと見ています。
得票数と登録者数を比較してみると(吉野氏と赤尾氏は本人単独のチャンネルではないため、単純に比較できませんが)、神谷氏は登録者数の半数、それ以外の人たちは約3分の1前後を得票しています。重複もあるでしょうし、登録していない人の得票もあったに違いありませんから、誤差はそれなりにはあるでしょう。ただ、5人のチャンネルは、いずれも政治・経済・社会課題などを扱う非常に「硬派」なチャンネルばかりです。にもかかわらず、いずれも万を超える登録者数を抱えています。五つのチャンネルの総視聴数は3億回を超えています。
「空中戦」というと派手に感じられるし、苦なく広がったように思われる人も少なくないかもしれません。しかし、実際は非常に地味で地道な活動の積み重ねがあったことはいうまでもありません。同党の党首となった松田氏のチャンネル運営を担っているのは、筆者と非常に近しい人物です。彼がチャンネル開設から苦労する姿をずっと見聞きしてきました。開設当初の視聴数は1,000回を超えるのがやっとでしたし、登録者数もなかなか増えず、相当苦心していました。
しかし、結果的にはわずか4年で、しかもこんなにも硬派な番組内容で20万人を超える登録者数を獲得したのです。対談相手を探し、時事のテーマを探り、ほぼ毎日のように動画撮影を続けていました。松田氏は毎週月曜日にメールマガジンを配信するほか、フェイスブックにも熱心に投稿していました。文章を書くのも、動画を撮影・編集するのも非常に地味で地道な作業です。情報があふれるネット空間の中で、台頭するまでの一つ一つの取り組みは(扱っているのは動画ですが)「地上戦」そのものです。
神谷氏は10年近くチャンネルを運営してきていますし、武田氏もほぼ毎日配信していました。松田氏同様に周りのスタッフたちも時間を割き、相当努力し、労を惜しまず黙々と活動を続けてきたに違いないことは容易に想像できます。
選挙でボランティアたちが「地上戦」を全国で繰り広げるに至った、その土台として実は堅実で丁寧なもう一つの「地上戦」があったことを忘れてはならないでしょう。
先週、NewsRoomに投稿した記事をまとめてご紹介します。
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