初級講座「Ⅲ.実務能力編」 ファクトブックの作り方 2.ファクトブックとは?
こんにちは、荒木洋二です。
前回は「ファクトブックの作り方」の全体像、目次を示しました。今回は「2.ファクトブックとは?」と題して説明します。そもそもファクトブックとは何か、という内容です。答えは次のスライドに記載のとおりです。
広報の実務で最も重要なことは何か。自らの価値や魅力を、取り巻く大切な関係者たちに分かりやすく伝えることです。そのためには「ありのままの姿」を正しく伝える、つまり「等身大」で伝えるということが極めて重要なのです。
言葉を分解して、説明します。
「今」とは何かというと、現在、現時点の情報ということです。
「ありのままの姿」とは、つまり事実(ファクト)のことです。ファクトブックには、事実しか記載できません。結果として現れている事実ということですから、つまり主に「表舞台」の情報を扱います。
まとめますと、組織が自らのありのままの姿、つまり事実に基づいた「表舞台」の情報を取り巻く関係者たちに分かりやすく伝えるための資料、それがファクトブックだ、ということです。
どんなタイミングで発行するのか。これは年1回、期初に更新するのが望ましいです。なぜかといえば、企業・組織を取り巻く社会や環境は常に変化しています。当然、変化にさらされて組織の実態も変化せざるを得なくなります。よって年1回、情報を更新することが大切です。ありのままの、今の姿を伝えるのですから。
ここで「アニュアルレポート」との違いを簡潔に述べます。
アニュアルレポートとは(直訳すると)年次報告書です。組織の1年間の歩みを伝える報告書です。1年間、どんな事業を営み、どんな取り組みをしてきたのか。現在の事実に至るまでの過程や経緯、背景といった情報も扱いますので、主に「舞台裏」の情報を掲載します。
アニュアルレポートは1年間の歩みだけではなく、組織として取り巻く関係者に対して「これからの約束」を示すものです。「これからの約束」とは、つまり「中長期経営計画」のことです。将来に関しても記載するのが、アニュアルレポートです。
次回から2回にわたり、「3.ファクトブックの基本構成」について解説します。