中級講座 Ⅰ.理論・基礎知識 広報・PRの歴史 日本の広報・PR業界:広報主要3団体

こんにちは。荒木洋二です。

今回も広報・PRの歴史についての解説です。

前回の講座で「2 日本における誕生と歴史」が終わりました。今回からは「3 日本の広報・PR業界」です。

日本の広報・PRの歴史と同様に、今回も五つに項目を分けています。
※下図参照

今回の講座では、「①広報主要3団体」について説明します。主要な団体は次の三つがあります。

・日本広報学会
・公益社団法人日本パブリック・リレーションズ協会
・一般社団法人経済広報センター

業界の現状を知ることは、とても大切です。

・日本広報学会

三つの団体のうち、まず日本広報学会から紹介します。
以下のURLに実際にアクセスしていただければ、より詳しい内容が確認できます。

http://jsccs.jp/

関心のある人はぜひこのURLに直接アクセスして、閲覧してみてください。
日本広報学会は、1995年の設立です。

経営体の広報およびコミュニケーション活動全般について、学術的および実践的な研究を行い、研究成果を発表しつつ、理論としての体系化を目指すことなどを目的としている団体です。


どんな活動をしているのかを紹介します。

学会誌『広報研究』を発行

広報・コミュニケーションに関する学術的・実務的研究の発展及び普及のために、会員の研究成果を年1回発行しています。

研究発表大会を年1回開催

毎回、統一論題を設けて、1日目には、統一論題に関してゲストスピーカーを招いて基調講演をします。2日目には、会員の応募者から自由論題を含めて発表してもらって、意見交換を行うようにしています。
毎年、地方を含む全国のさまざまな都市で開催されています(コロナ禍以前)。そうすると、全国から広報学会の会員が集まってきます。広報を研究している、企業の広報担当者、PR会社や広告代理店、大学の学者たちも参加して、研究発表大会を行っています。

調査研究活動

コーポレート・コミュニケーションに関する分野について、会員から広く研究企画を募って、会員であれば誰でも参加できる研究会を設けています。

私は日本広報学会の会員です。数年前、レピュテーション研究会を親しいメンバーたち立ち上げて、2年間、毎月1回集まり、研究を続けました。発表大会で発表したこともあります。

公開シンポジウム

年1回程度開催しています。

広報塾

講演とディスカッションを行う場を定期的に設けています。会員による会員のための相互研鑽の場です。

日本広報学会賞

以上、主に六つの活動をしているのが日本広報学会です。

・公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会

1980年の設立です。
以下のURLに実際にアクセスしていただければ、より詳しい内容が確認できます。

http://prsj.or.jp/

企業・団体の広報担当者とPR業が会員という特徴を活かして、互いのPRに関する知識やノウハウを共有して、実際の広報・PR活動に役立てるとともに、広報・PRパーソンの教育や倫理の徹底を行っています。

企業とPR会社が共に切磋琢磨する場

繰り返しになりますが、会員は企業とPR関連業で構成されています。時代が求めるPRとは何か、PRが持つ課題とは何か、などをお互いの立場から意見や知恵を出し合って、協力し合うことが、これからのPRの発展に大きな意味を持つと考えています。

実務担当者による、実務に即した活動

実際に広報・PRに携わるPRパーソンだけで構成されています。教育研修も、調査も、交流も、情報発信も、全て現場で役立つことを前提にPRパーソンによって企画・運営されています。

参加型の組織だからできる、ギブ・アンドテイクの関係

会員一人一人が参加して活動を活性化していく、ボトムアップ型の組織です。積極的な参加によって、マスメディアのキーパーソンなど招いての講演会やったり、あるいは定例研究会、懇親会などの行事を通じて、メディア・リレーションズの現場で役立つ人脈を作ることができます。

・一般財団法人経済広報センター

1978年の設立です。以下のURLに実際にアクセスしていただければ、より詳しい内容が確認できます。

https://www.kkc.or.jp/

経済団体連合会(経団連)の外郭団体です。「社会と経済界とのコミュニケーション」をキーワードに、経済界の考え方や企業活動について国内外に広く発信するとともに、社会の声を経済界や企業にフィードバックすることに努めています。

主要な活動を紹介します。

企業の姿を社会へ

企業の活動や考えを広く社会に伝えるため、研修や講師派遣、見学会や懇談会、各種情報発信などを行っています。

社会の声を企業へ

企業と社会とのネットワークを築くため、さまざまな広聴活動を通して、広く社会の声を聴き、それを企業に伝えています。「広聴」とは広く聴く活動ということです。広報と広聴でパブリック・リレーションズが成り立ちます。リレーション、つまり関係を築くためには相互のコミュニケーションが欠かせません。

経済界が抱える課題についての広報 
海外との対話 
広報支援活動

企業広報の重要テーマについて、小冊子を発行したり、講座、フォーラム、講演会、シンポジウムなどを開催したりしています。優れた企業広報を実践している企業や個人を表彰する事業を実施しています。
3年ごとに広報活動に関する意識実態調査も実施しています。

最後に、

出版・情報提供

月刊で『経済広報』を発行しています。大手企業の広報に関する取り組みなどを丁寧に記事として紹介しています。示唆に富んだ内容が多く掲載されています。

初級講座の「生活者は情報をどう選ぶのか」でも解説しました。経済広報センターは、毎年「生活者の企業観に関する調査」を実施しています。非常に参考になる調査結果ですので、同センターのウェブサイトにアクセスすれば、全ての調査結果がPDFとしてダウンロードできます。

ぜひ、毎年欠かさず、チェックしてください。

今回の講座では、広報主要3団体について説明、紹介しました。

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