【過去の人気コラム】#12 広報と広告って何が違うの?(2)


2019年年末から始めた「荒木洋二のPRコラム」と「聴くコラム」ですが、おかげさまで85回の配信を重ねて参りました。
2022年7月から2022年9月までは、筆者が出版に向けた執筆活動に集中させていただきたく、新規のコラムはお休みとさせていただきます。そこで再開するまでの間、過去の配信の中から人気のあったコラムを再送させていただきます。


2021年1月20日配信

こんにちは、荒木洋二です。

広報関連の書籍では「広報と広告の違い」について、よく言及しています。そこでは狭義の意味での「広報=パブリシティ」と広告を比較しています。狭義というより、パブリック・リレーションズの対象の一つである、メディアに限定したという方が正しいでしょう。メディア・リレーションズの現場での実務の観点から、四つの違いがあります。

「広報と広告って何が違うの? (1)」の記事はこちらから

(3)情報の選択・決定権

ニュースや記事をいつ、どこに載せるのか、あるいは載せないのか。企業・組織側は決められません。どう報道するのかという編集権はメディア側にあります。広報の場合はメディア側、報道機関側に情報の選択権、決定権があります。広告は広告主(企業・組織)側にあります。公序良俗に反しない限り、いつ、どの媒体に何回載せるのかを広告主が決めます。(空き状況に左右されますが)予算の範囲内で決められたスペースや時間を確保し、何度も出稿できます。

(4)情報発信の主体

ニュースや記事の著作権はメディア側にあります。ニュースの情報源は企業・組織なのですが、情報発信の主体はあくまでも報道機関なのです。広告は広告主(企業・組織)側にあります。デザインを含めて自らの組織で制作しているのであれば、同じコンテンツはいつでもどこでも何度でも自由に使用できます。

◆本来の広報における実務

対象をメディアに限定し、しかも現場での実務に焦点を当てた場合、四つの違いがあることをここまでで明らかにしました。次に同じく現場での実務に焦点を当てますが、本来の広報の観点から見てみましょう。ここでも四つの違いがあります。

(1)情報内容の基準

広報は事実のみを扱います。ありのままの姿を等身大で伝えるのが広報です。舞台裏の情報までも積極的に明かします。広告で伝えるのは、原則として事実に立脚した印象、イメージです。自らの主張を伝えます。商品広告であれば、広報と比べ視覚表現が重視されたり、イメージ重視ですからタレントを使ったりします。ただ、事実とかけ離れると誇大広告となりますし、虚偽の広告であれば、生活者を惑わすことにつながります。そのような行動は厳に慎まなければなりません。

最近、広告でも事実を全面に打ち出す事例が見受けられます。例えば、冷凍食品で有名なマルハ二チロのテレビCMがそうです。同社は2018年にブランドリニューアルをしました。その際にCMも一新しました。ベーリング海峡でスケトウダラ漁を操業する、同社の加工船上で実際に働いている甲板員を撮影し、その映像がCMで流れました。サプライチェーン(供給網)の舞台裏を撮影した映像を広告で使ったのです。時代は変化しています。動いています。

(「広報と広告って何が違うの? (3)」に続く)

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