初級講座「Ⅲ.実務能力編」 プレスリリースの作り方 プレスリリースを構成する各項目の作り方⑤

こんにちは、荒木洋二です。

今回は「プレスリリースの作り方」第12回、「プレスリリースを構成する各項目の作り方」の5回目です。

毎回繰り返し確認しておきましょう。プレスリリースに欠かせない基本要素は「5W3H・YTT」です。文章の基本構造は結論を先に述べる、「結起承転」の流れです。

前回まで3回にわたり、本文の書き方を解説してきました。今回の講座では、中見出しについて詳しく説明します。

中見出しは案外軽く考えられがちですが、とても大事です。本文中に中見出しを入れると、文章が読みやすくなります。プレスリリースの印刷媒体の場合、1ページ目はタイトル、写真でスペースが取られますから、最低でも一つ、2ページ目には二つをめどにするといいでしょう。

■中見出しの悪い事例

次のスライドに記載してある中見出しは悪い例です。

何が悪いのか。大企業や有名企業であれば、問題ありません。プレスリリースとは報道関係者向け発表資料です。資料ですから、「背景」や「製品(サービス)概要」と記載して何ら問題ありません。大企業の広報担当者は、多くの報道関係者と日頃からコミュニケーションしています。大企業は社員だけでなく、関連会社、顧客、取引先、株主など実に多くの利害関係者と関わっています。大企業の行うことはこれら利害関係者に影響を与えます。幅広く影響を及ぼします。利害関係者の関心も高いでしょう。ですから、報道関係者は積極的に自ら進んでプレスリリースに目を通します。何とかニュースにしようとします。
少々嫌味な言い方をすれば、大企業の広報担当者は中見出しには気を使いませんし、報道関係者側も気に留めません。「背景」や「製品(サービス)概要」と書いても何ら問題ありません。

■中小・中堅企業、スタートアップにおける中見出し

では、中小・中堅企業、スタートアップはどうすればいいのか、ということです。

中見出しに続く、文章中で強調したい部分を抜き出すのです。報道関係者、記者たちがそうしています。記事を読者にしっかり読んでほしいので、特集記事など長い文章であれば、必ず中見出しをいくつも入れています。記者たちにプレスリリースに目を通してほしいのであれば、同じようにすればいいのです。プレスリリースは発表資料なのですが、中見出しは記事を書く体にするのです。

背景・経緯・理由を記した文章の場合、どうすればいいのか。背景と書かず、その文章の中で記者の注目を引く数字、市場の特徴的な事象を抜き出して、中見出しにするのです。

次に、テーマを解説した文章であれば、どんな中見出しにすればいいのか。
記者の注意を引く数字などを記載します。例えば、製品であれば、特徴的な事柄や数字を記せばいいのです。機能の特徴を業界標準の「●倍の速さ」、コストであれば、市場平均の「●分の1」というような表現です。

ただ、注意しなければいけないのは、タイトルやサブタイトルで際立つ点を明らかにしていますから、重複させないことです。タイトルやサブタイトルで伝えきれなかったことを、プラスアルファで伝えたいことを、中見出しに記載します。

もう一点、中見出しは目立つように工夫する必要があります。本文と文字サイズを変えます。1ポイントか2ポイント大きくして、太文字にします。下線を引いてもいいでしょう。タイトル、サブタイトル以外でも記者の注意を引けるよう、目立つように工夫する必要があるのです。

最後にまとめましたので、次のスライドで確認してください。

次回から2回にわたり、「最終チェックリスト」について解説します。

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