【ポッドキャスト #01】 PR会社って何? 広報・PRの意味や広告代理店との違いを徹底解説!

当カテゴリーは、公式ラジオ番組『広報オタ倶楽部』のテキスト版です。配信1週間後に投稿します。

『広報オタ俱楽部』記念すべき第1回では、「PR会社」をテーマにお話ししていきます!
兵庫県知事選挙後、公職選挙法違反に絡む報道をきっかけに一躍有名(?)になった「PR会社」。広報、PRを取り巻く現実や本来の役割とのギャップにも触れながら「PR会社と広告代理店との違い」について解説していきます。
そこかしこに「オタク」度を発揮しながら語っていくラジオ。始まります!

「広告」と「広報」の明らかな違いは付き合っているマスメディアの窓口 
PR会社の窓口は記者や編集者、広告代理店の窓口は広告営業担当者

荒木:おはようございます。

濱口:おはようございます。

荒木:『広報オタ倶楽部』。今回は第2回。じゃないね、前回の配信は「#0」だったからね。

濱口:そうです! 今日が1回目ですね。

荒木:今日が記念すべき第1回です。

濱口:今日が記念すべき日ですね。おめでとうございます。

荒木:ありがとうございます、わくわくしますね。ラジオ番組って、メインMCとサブMCがいて、ゲストを招いて、という感じが多いよね。だから、さすがに僕がオタクといえども、ブツブツ独りで20分間もしゃべるのは、ちょっと変だよなって思うよね。

濱口:さすがの「オタクの極まれり!」な荒木さんでさえ、やっぱり一人では厳しいでしょうか。

荒木:単なる独り言になっちゃうからね。濱口さんがいてくれて、丁度いい感じに話が進みますね。

濱口:いや・・・独り言は辛すぎますね。そう言ってもらえてうれしいです。ありがとうございます。「♯0」の配信後に「荒木さんは突っ込まなければダメだ!」とご指摘を頂いたんです。なので、私の今日からの課題は、突っ込みを入れることですね。

荒木:そうそう! 突っ込んで、若干ディスってもらった方がいいね。

濱口:突っ込みを入れないと「荒木さんが生きない」となると、私は、そっちの方を頑張らせていただきます。

PRとアピールとプロモーション、全部意味が違う

荒木:この番組では、いろいろな視点から話をしていけたらと思っているんだよね。この1カ月ぐらいは、かつてないほどに「PR会社」という言葉がメディアで飛び交っていたから、そのことを恐らく濱口さんも気になっているのではないかと思ってね。

濱口:そうですね、今ずいぶん飛び交っていますね~。

荒木:当社(株式会社AGENCY ONE)も、2006年に起業したPR会社なんだよね。最近ようやく下火になってきたけど、これだけテレビやネットで「PR会社」という言葉が飛び交っていたから、「PR会社ってなんだろう?」と思っている人もいるんじゃないかなと思うんですよ。

濱口(兵庫県の)斎藤元彦知事の、あの件ですね。

荒木:そう! 公職選挙法に違反しているんじゃないか、と指摘が出ていたね。(兵庫県の)PR会社の代表(女性社長)が投稿した内容が元になって、兵庫県知事選挙が終わってからは毎日のように報道され、「PR会社」という言葉を多く耳にしましたね。
私が、いろいろな経営者交流会に参加するとき、「企業の広報活動を支援しています」「広報に関するコンサルをしています」と伝えるんですよ。そうすると、時折「あー、広告代理店ですね」と言われます。

濱口:分かります! 私も交流会に行って「広報PRです」と事前に提示していても「広告PRの濱口さんですね」と言われますね。「いやいや、広報って書いていますよ!」と思うことは、よくありますね。

荒木:だいぶ昔とは変わってきたと思うんだけど、いまだに広告と広報は同じ意味合いだと思われいてね。特に広報の方が理解されていないよね。

濱口:そうですね、もう耳になじまない言葉になってきていますね。

荒木:PRの話を続けると、私の(仕事上の)相棒と私それぞれが、いろいろな交流会に参加した時によく質問することがあって、「PRとアピールとプロモーション、全部意味が違いますよね? 違いが分かりますか?」という感じに。少し意地悪でね。

濱口:うわっ、意地悪ですね!

荒木:そう、意地悪なんですよ。みんな、なかなか答えられないんだよ。マスメディアってね、正しい言葉を遣うことが大前提にあるんだけど、マスメディアでさえ今や「自己PR」とか「観光PR」のような使い方が当たり前になっているからね。
「PRもアピールもプロモーションも変わらないよね」という感じで理解している人が多いんじゃないかな、と思うんだ。

濱口:めちゃくちゃ多いですよ。言葉の概念がなくなってきていますし、それぞれの解釈で言葉を使っていますよね。

■PR自体が本来の言葉の通りに理解されていない

荒木:私が高校時代、倫理社会の授業中に先生が話した内容で、今でも覚えていることがあるんだよね。当時(40年くらい前)、先生はプロパガンダについて、「PRというのは、プロパガンダの略です」と。そう聞いて、当時の私は「そうなんだ」と理解していた。
でもプロパガンダって本来、政治的な主張や特定の思想を情報操作に近いような宣伝活動のことを指す、若干悪い意味合いで使うんだよ。
28年前にPR業界に足を突っ込んだときに、ふと先生の話を思い出していたら、プロパガンダと広報PRって違うんだ、と初めて知ることになった。

だからアピール、プロモーション、PR、って何が違うんだろうって、なりがちだよなと思う。

濱口:でも、その言葉を覚えているってことは、その時から何かしら広報PRとつながるものがあったのかもしれないですね。

荒木:何かあったのかもね・・・。だって、授業中はたいがい寝ていたのに、その先生の言葉は覚えているからね。授業中は寝ていたんだけど、私は暗記が得意だった。それで、中間・期末試験の時は毎回、ほぼ徹夜(約3日間)で暗記してクリアしていたね。
高校2年生の時の話で、私が自宅謹慎処分(8日間くらい)になったことがあってね。謹慎が解けてからも、やっぱり授業中は寝ていたんだよね。でも先生は謹慎にした理由が理由だから、こいつに触っちゃいけないと思ったみたいで、起こされもせず。
それなのに試験で、めちゃめちゃ点数が良かったの。だから、先生は他の生徒たちに「お前たち、授業中に寝てるやつに負けちゃいけないぞ!」と、強調して言われたね。

濱口:もう、先生からすると、大迷惑な生徒ですよ~。

荒木:そんな高校時代だったのに、なぜかプロパガンダという言葉は、ずっと頭の片隅に残っていたんだろうね。
自分がPR会社入った時に「なんだ、プロパガンダじゃないじゃん」と、気づいて、「自己PRとか観光PRって、本来はアピールだな」って理解できたよ。アピールって訴求する、訴える、というようなことだからね。PR自体が本来の言葉の通りに理解されていない。

濱口:私もアピールのことをPRという、と思っていました。同じ意味合いだと。

荒木:具体的には、「観光業がこんなことやってますよ」と積極的にアピールしていて、就職活動の際も「私は、こういう人です」と自己アピールしている。
マスメディアが「観光PR」「自己PR」と表現するから、アピールとPRの意味合いは同じだと思っている人も、多いのかなと思うんだよね。

濱口:メディアの中も、ほぼほぼそういう認識ですよね。

荒木:メディアがそう言っているから、聞いている方も、そう認識しているんじゃないかなと思う。

荒木:プロモーションという言葉って、よく「セールスプロモーション」というように「販売促進」のことを指して使う。企業の中で「プロモーション」って言った場合は、だいたいセールスプロモーションのことを指す。
「プロモーション」だけだと、「促進する」ということだからね、ちょっと違った意味合いがあるんだよ。なんか、どれも同じような感じに思われているなって、そんな思いもあって、意地悪な質問をね、よくしているんだよね。

濱口:すごく嫌ですね・・・私も、その質問をされたくないですもんね。荒木さん、なんかうれしそうに聞くわけですね?

荒木:意地悪いな~って思いながらもね、うれしそうに「分かりますか?」ってね。なんか嫌味だよね。

■業種選択の選択肢に「広報」の項目がない

荒木:あの件(斎藤元彦知事の公職選挙法に関する報道)でPR会社という言葉は世間に知れ渡ったんだけど、記事だけ読むと「PR会社=SNSの発信をする人なんだ」と思えちゃう。報道を見ていてもね。

濱口:実際そういう会社が、今は多いですからね。

荒木:確かに多いんだよね。PR会社という言葉は、こんなイメージだったのか・・・と思いながらも、実際は何の会社だと思われているのかなって思う。
ネット上で個人情報を登録したり申し込んだりする時に、業種を選択することがあるよね。あそこにね、広告・宣伝とかはあるんだけど、広報という選択肢はないから、私は毎回「その他」を選ぶ。
最近は、人材育成的なこともメインでやっているから、そういう意味で教育みたいな選択肢があったら、そっちを選ぼうかなって迷うんだよね。広報って、なかなか日本ではメジャーになっていないからね。

濱口:そうですね、私もあれは迷いますね。私は、もう面倒だから広告の方をピッと選びますもん。

荒木:「全国統一資格」っていう入札に入る権利があるんだよね。そこでも、広報業務はないからね。だから1番上の分類でいくと「広告宣伝」を選ぶしかないみたいなことになるよね。

濱口:行政の中に広報部って作っているくせに、ないんですね。

荒木:そうなのよ。面白いことに、各自治体には必ず広報課とか広報部がある。私の出身は静岡県の下田市(ペリーが来航した開国の街)で、僕が小学校の時(45年くらい前)は3万人突破して市になったんだけど、今や2万切る勢い。でも、そんな小さな市にも「広報下田」というのが、昔も今もずっと全世帯に配布されていて、自治体では「広報」という言葉は当たり前になっている。
それが、企業の中には当てはまらない。あるいは、濱口さんがさっき言ったように、分類の中に入っていないということだね。

濱口:うーん・・・そうですよね。 悲しいかな。

荒木:濱口さん、『中小企業白書』って読んだことある?

濱口:見たことはあります。

荒木:一時期、「中小企業の課題ってなんだろう」と思って、調査結果とかを確認していたんだよね。けど、「中小企業の課題は?」という質問項目の中に「広報」はないんだよ。

濱口:悲しいかな・・・。

荒木:そう、悲しいかな。それなのに、中小企業白書の1番最後に「中小企業庁としてやるべきこと」みたいな項目があって、そこには「調査と広報」と書いてあるわけよ。中小企業への質問項目には「広報」っていう言葉がないのにね。

濱口:むちゃくちゃじゃないですか!

荒木:だから広報とPRが同じ意味だということも理解されない、というところがあるんだと思う。

濱口:うーん、私も全然分かっていなかったですもん。

荒木:だから、きっとPR会社という言葉がたくさん出ているけど、みんなよく分からずに聞いているんじゃないか、という気がする。

濱口:みんな、それぞれの「PRとは?」という「PR論」みたいなものを持っていますよね。

■PR会社はメディアとの関わり、パブリシティを担う外注部隊

荒木:今から、PR会社って何かということを、対マスメディアということで、これらとどう違うのかを説明したいと思っているんだよね。まず、マスコミ4媒体といわれるテレビ、新聞、雑誌、ラジオ、これらをマスメディアというんだよ。
私が(マスコミ4媒体との違いで)分かりやすいと思うところは、マスメディアって、広告を司る部署と報道をする部署と両方に分かれているんだよね(NHKは含まない)。当然、購読料と、広告料の両方で成り立っている。
テレビは、無料の場合、広告料だけで成り立っていて、だけど報道もするわけじゃない? 大まかに分けると、広告と報道の両方がある。

広告代理店は、広告の枠やスペースを買ってくる。時間にしろ、スペースにしろ、買ってくるのが広告代理店の役割。
そして、PR会社が何をやっているかというと、お客さんの発信する情報、ニュースリリースとかプレスリリースっていうんだけど、そういった情報をマスメディアのかたがたに発信して、それをマスメディア(報道関係者)のかたがたが「これはうちの読者や視聴者に必要だな」と思えば、ニュースとして記事にして報道してくれる。
付き合っているマスメディア側の窓口が、PR会社の場合は記者や編集者たち。広告代理店の場合は、広告担当(広告営業担当)が窓口なっている。単純に言うと、明らかに付き合っている部署(マスメディア側の窓口)が違ういうこと。

濱口:なるほど~、これは面白いですね。これ、なかなか知っている人いないんじゃないですか?

荒木:言われてみれば当たり前のことなんだけど、よく区別ができていないのかもしれないね。
特に今まで広告とか広報をやったことがない企業に所属している場合、あるいは、大きな企業に所属していても、自分が違う部署にいれば、お互いが何をやっているかってよく分からない、みたいなことになりかねないよね。

そこで、PR会社の人たちは何をやっているか、というと「パブリシティ」といって企業がプレスリリース、ニュースリリース、あるいはそれに、準ずるような報道向け資料を作って、それを記者クラブとか、さまざまな方法で記者に渡す(「投函する」「配信する」ともいう)。
そして、それを受け取った記者たちが、見て、読んで、「これは、うちの読者に必要だな」 「うちの視聴者に必要だな」と思ったら、自分たちの言葉でニュースとして発信する。この一連の流れをパブリシティというんだよね。

でも、これ(パブリシティ)が広報、みたいになっちゃっているし、これがPRと思っている人がほとんどだなと思う。

濱口:確かに、メディアを通して発信するみたいな。メディア戦略のように思っている人は多いですよね。

荒木:ほとんどそうだと思う。大企業には広報部があるんだけど、短期間のうちにマスメディアにいっぱい報道してほしいと思っているから、そういう場合に人海戦術としてPR会社に頼む。あるいは、広報部にないアイデアが欲しい場合や、メディアとの関係で細かい部分を担ってもらうためにPR会社に発注するケースがあります。

他にも大手の会社だと、広告代理店に広告を出す。その代理店の広告費用の中で、この製品や商品(の広報)に手が回らないから広告予算を割いてPR会社に「この部分だけやってほしい」「こういうメディアに出してほしい」みたいなことで、PR会社にお願いすることが多い。
ほぼ全てのPR会社は、このメディアとの関わり、さっき言ったパブリシティをするための部隊、外注部隊がPR会社ということになる。ほどんどの(PR)会社は、そこを担っている。
大手の会社の場合は、中小と比べて予算もあるし、広告する場合は相当な広告費を投下するので、そこで(広告代理店から)仕事を取るPR会社は多いかな。

濱口:多いですよね。

荒木:濱口さんが言ったように、今はSNSもすごく広がってきているから、SNSの運用代行のようなこともPR会社の業務の一環としているところも増えてきているよね。あるいは、PR会社と言わないで「SNS運用ですよ」みたいな言い方をしている会社も増えてきている。
そんな感じで、かつてなくPR会社という言葉が飛び交ってうれしい反面、正しく理解されていないだろうなって思うんだよね。

濱口:いや~全く正しい理解なんて、もはやないですよ、今の世の中。この前のニュースによって、なんかPR会社って悪い業界なのかな・・・と、そんなイメージになりましたよね。

荒木:それから、PR会社は黒子でなければいけない、みたいな話もある。それは、私からすると意味が分からない、果たしてそうかな、と思う部分がある。
これもひとえに、PR会社の努力不足だと思うんだよね。まだ、なかなか企業社会では、理解されていないなと感じている。これについて話してしまうと、また長くなってしまうので・・・。

濱口:そうですね。今日だけでも聞き慣れない単語も色々出てきて、一気に話が広がった感じがしますからね。

荒木:そうなの、1回目にして。なので、今日はこの辺にしとかないとね。また20分ぐらいしゃべりそうなので。

濱口:1回の放送が2、3時間ぐらいかかっちゃいそうです。

荒木:それじゃ、誰も聞いてくれないからね。

濱口:こんなに豊富な知識を誰も聞かない番組にしてしまう、荒木さんの語り・・・。とんでもないことですよ。

荒木:ダメだね、ちゃんと気をつけないとね。

濱口:小出しに、小出しにしましょう。

荒木:それでは、来週も『広報オタ俱楽部』、また少しずつ「オタク」度を出していければなと思っています。

濱口:荒木さん、もう、たいがいギアかかっていますけどね。

荒木:もうちょっと、ライトな感じがいいと思うんだよね。

濱口:荒木さんの課題はそこですね! ちょっとずつ、ちょっとずつですね。

荒木:うん、もうちょっとライトにしようかな。でも、お酒を飲んでいてもこんな感じになっちゃうから。まあまあ、そんな感じで、今週はここまでで、また来週! ありがとうございました。

濱口:ありがとうございます。

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