【ポッドキャスト #38】記者クラブって何? 「番外編 (その3)」 どうやって投函先を選ぶの?
あなた(会社)が、プレスリリースを記者クラブに投函することを決めた。いざ、実践!
調べてみると東京には数多くの記者クラブがある。さて、どうやって選べばいいのか?
実例を挙げつつ、選び方のポイントを解説します。
音声(番組)は以下より聴取できます。
・ポッドキャスト:#38
・Spotify:#38
以下のとおり、要約しました。
全体概要
今回のテーマは、プレスリリース配信先としての「記者クラブ」の選び方と使い方の整理。特に地方と東京の違い。中央省庁・業界団体内の記者クラブの活用(事業領域・発信テーマ)を再確認する。実例を交えて実務的な選定基準を明確化した。次回は「みんなの経済新聞」について補足予定。
記者クラブの構造を理解する(地方・東京)
◆地方(例:鹿児島)
・基本
市政記者クラブ・県政記者クラブ・商工会(議所)記者クラブ
・実務上のポイント
多くの記者が兼務しているため、内容によっては配布先を絞る
例)県政のみ/市政のみなど
メディア数が限られるため、配布はシンプルだが重複配布も有効
◆東京
・数が多い理由
中央省庁に複数の記者クラブが存在
省庁ごと、さらに全国紙・テレビ・通信社向けと業界紙・専門誌向けで分化
業界団体内にも記者クラブが存在
・自治体関連
都庁に記者クラブあり
23区の「区」単位では基本的に記者クラブはない(市で設置される場合はあり)
配布先選定の3軸フレーム
(1)所在地
・地元(県・市・商工会議所)には原則配布
(2)事業(業界)
・自社の属する業界
該当する中央省庁内の専門記者クラブ、または業界団体内の記者クラブへ
・例
農業・水産:農林水産省内の農業系、水産系記者クラブ
>日本農業新聞・水産経済新聞などが想定
建設:国土交通省内の「建設専門記者会」
>建築・建設分野の業界紙
エネルギー:経団連内「エネルギー記者会」
>大手エネルギー領域向け
鉄鋼:業界団体の日本鉄鋼連盟内に「重工業研究会」
>鉄鋼、化学など
自動車:自動車産業記者会
上場企業:東京証券取引所内「兜倶楽部」
>証券・市況専門メディアが所属)
(3)発信テーマ
・業界横断でテーマに適合する省庁クラブへ
働き方・雇用・福利厚生:厚生労働記者会
例)定年延長、育児制度拡充
環境・サステナビリティ:環境省内の「環境省記者クラブ」「環境専門記者会」
文化・芸術・スポーツ・教育:文部科学省内の「文部科学記者会」
実務ノウハウ(調査・持ち込み・運用)
◆情報源の使い分け
・検索エンジンでの「記者クラブ」検索
・日本パブリックリレーションズ協会発行の『広報・マスコミハンドブック(通称PR手帳)』の活用
>ただし、網羅性に限界があるため、最終的には各クラブへの電話確認が有効
◆省庁クラブの構成理解
・最低2系統が存在するケースが多い
>全国紙・テレビ・通信社向け
>専門誌・業界紙向け
◆商工会議所の取り扱い
・多くは会員企業のみ投函可
東京商工会議所は企業数が多く、事務局経由の週1メール配信が基本
理事会承認を得れば、記者クラブへの直接投函が可能になる運用あり
◆実地の確認行動
・該当しそうな記者クラブへ事前電話で可否を確認
事例で学ぶ適合判断
◆社会福祉法人(神奈川):介護施設・保育園を運営
・ルーティン配布
地元(神奈川県・施設所在市)
厚生労働省内の医療・福祉系専門記者クラブ「日比谷クラブ」:専門誌が多数所属
・テーマ起点での配布
定年制度の拡充(70歳上限撤廃、希望者は80歳まで就労可)
>厚生労働記者会(全国紙・テレビ・通信社)へ持ち込み
毎日新聞の特集取材・報道(1月3日3面)に発展
◆地域プロジェクト(静岡/下田・南伊豆)
・市政記者クラブへの持ち込み
>複数テレビ局の地方ニュース、地元紙(伊豆新聞など)で相次ぎ報道
◆プロジェクト運用(還暦花火の日)
・記者クラブ経由
記者の目に留まり、1週間程度のタイムラグで各社タイミングに応じ取材打診・記事化
・掲載保証はないが、記者の実閲読・選択が働くためヒットの質が高い
まとめ(優先順位の指針)
・記者クラブ選定は「所在地・事業(業界)・発信テーマ」の3軸で毎回判断する運用を継続
・地元配布は原則必須とし、加えて業界団体・中央省庁を適切に組み合わせる
・東京の過剰な選択肢は「中央省庁」「業界団体」に集約して考えることでシンプルに整理する
・次回は『みんなの経済新聞』ネットワークの活用ポイントを深掘りする
以上

