【ポッドキャスト #69】警察広報は、誰と何のあいだに立っているのか

ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』をきっかけに、警視庁広報課の仕事を考える回です。
報道機関との折衝や記者クラブとの関係、被害者・加害者・社会のあいだで何を守り、何を伝えるのか。
企業広報とも重なる、広報の本質的な難しさに迫ります。
音声(番組)は以下より聴取できます。
・ポッドキャスト:#69
・Spotify:#69
以下、テキスト版です。ぜひご一読ください。
濱口
先日、荒木さんが話していたドラマ『東京P.D.』のことを、改めて聞いてみたいと思っていました。広報が主役になるドラマ自体が珍しいですし、しかも今回は警察の広報が舞台なんですよね。
荒木
そうなんです。民放で広報を前面に出したドラマはかなり珍しいですね。しかも今回は警視庁広報課、それも報道対応を担う2係が舞台になっている。そこがまず面白いんです。
◆刑事ドラマが省いてきたもの
荒木
これまでの刑事ドラマでも、事件後の記者会見は描かれてきました。でも、その前に広報が何を整理し、何を調整し、どう報道機関と向き合っていたのかは、ほとんど描かれてこなかったんですよね。
濱口
たしかに、会見は見ても、その背後にいる広報課の動きまでは意識していませんでした。
荒木
今回はそこを丁寧に描いている。だから、私たちが普段見ているニュースの前に、こういうやり取りや判断があるんだなと見えてくる。しかも原案者が警視庁の記者クラブにいた記者だったので、かなり生々しいんです。
◆企業広報との違い
濱口
一般企業の広報とは、やはりかなり違うんでしょうか。
荒木
違う部分は大きいですね。企業広報も利害関係者を見ますが、警察広報の場合は、報道機関だけではなく、被害者、加害者、加害者家族、被害者家族、そして社会全体を見ながら動かないといけない。そこが非常に特徴的です。
濱口
必要な情報が、誰かを守ることにも、逆に傷つけることにもなり得るわけですね。
荒木
そうなんです。だから単純に「出す・出さない」では済まない。捜査への影響もあるし、社会の知る権利もある。そのせめぎ合いの中に広報が立っているんですよね。
◆広報は「皮膚」のような仕事
荒木
広報って、よく皮膚のような存在だと言われることがあります。組織の内と外が触れ合う場所にいて、どこまで開き、どこで守るかを判断する。
濱口
それが警察だと、より強く出そうですね。
荒木
そうですね。しかも警察は国家機関で、報道機関もまた公共的使命を持っている。その両者のあいだで広報が判断しているわけです。そこが、このドラマのいちばん考えさせられるところでした。
◆広報の本質は企業にも通じる
濱口
でも、その難しさって企業にも通じますよね。事故や不祥事が起きたとき、誰を守るのか、どこまで話すのかって、やっぱり悩みますし。
荒木
その通りです。警察広報は特殊ではあるけれど、広報の根っこにある問いは同じです。
誰のために、何を、どこまで伝えるのか。
そして、その判断をどう引き受けるのか。
『東京P.D.』は、その本質を見せてくれるドラマだと思いました。

