初級講座 Ⅰ.理論・基礎知識「稼ぎ続ける」

こんにちは荒木洋二です。

今回は「そもそも企業・組織とは」の最後、「稼ぎ続ける」について解説します。

前回までに企業・組織とは社会を構成する主体であり、社会に価値を提供する、価値を生み出すことでしか存在できない、存在価値の継続ができないという話をしました。そして、組織は自らだけで存在することも価値を生み出すこともできません。利害関係者と呼ばれる組織を取り巻く関係者と共に価値をつくること、提供することで存続できます。さらにはその共に価値を生み出す仲間たちから、利害関係者たちから選ばれ続けることによってしか存続できまないという話をしました。

あらゆる企業と組織は自らだけでは存在もできませんし、存続もできません。取り巻く関係者、つまり利害関係者たちと共同して価値を生み出しています。価値を共創しているんです。共に価値を生み出すことで初めて存続できるんです。企業寄りの話をしますと、事業を営んでいる場合、存続するには利益は絶対に欠かせません。では利益はどうやって生み出されるでしょうか。利益を生み出していないということは価値を生み出していないということです。

ここで利益はどうやって生み出されるのかということを一つずつひも解いていきましょう。

顧客、社員、取引先、株主などの利害関係者がいます(下図参照)。

下から見ていくと、株主が投資する、あるいは金融機関が融資するからこそ資金があるんです。経営するには設備資金や運転資金が必要です。それを元にして取引先から部品や原材料などを供給してもらう、つまり購入します。そして(完成品を)流通に乗せて、販売します。社員はどうかというと、製造業だったら製品を開発するし、営業もします。あるいは財務・総務などの管理部門も社員が担当しています。このような力が合わさって、それぞれの利害関係者の関わり合いがあって、最終的に顧客が製品・サービスを購入・利用できるようになります。

次に利益という視点で見てみましょう。

売上高は何かというと、顧客が製品・サービスを購入・利用した代金、その全てが売上高です。その中で株主に配当したり、(借入金があれば)金融機関に返済したりしなければなりません。取引先など供給網に支払ったお金は売上原価になります。販売する代理店に払うお金、社員の給料などは販売・一般管理費、いわゆる販管費が引かれるんです。売上高から、これら全てが引かれたものが利益です。

この利益についてもう少し見てみましょう。

ただ、利益を生み出せばいい、利益を上げればいいという話ではないんです。顧客にとって製品・サービスの代金・利用料は適正価格なのかということです。価格に見合う価値が提供されているのかということです。社員の給料は十分なのか、共に価値を生み出している社員の給料が十分なのか、働き甲斐を感じているのかが問われます。取引先でいえば、原材料を取引して関わって一緒に仕事をする中で、取引先もちゃんと利益を生み出せているのかどうか、不当な扱いを受けていないのかどうかも大事な視点です。株主であれば、リターンを期待していますのでリターンはあるのか。共に歩んできて金融機関は期待して融資してくれましたが、ちゃんと返済されているのか。

こういったことを一つ一つ注視していく必要があります。

企業と利害関係者の間において全ての取引は等価交換です。上下も貴賤もありません。社員は会社の奴隷でもありません。価値を共に生み出していく仲間です。全ての関係者が適正な利益を享受できているのか。誰かが不当に損をしていないかということです。適正な利益を上げ続けることがとても重要なんです。この適正な利益をずっと上げ続けられるかどうかです。利益を上げて、企業市民として納税もする、給料をちゃんと払う。このような適正な利益、長期利益、持続的利益を上げ続けていくことが存続の基盤となります。長期利益、持続的利益を上げることができなければ存続できません。つまり長期利益、持続的利益を生み出し続ける、もっとはっきり言えば、稼ぎ続けるということです。当たり前のことですが、企業は稼ぎ続けることによって存在できる、存続できるんです。

では、稼ぎ続けるということはどういうことでしょうか。もう一度最初に戻りますが、それは存在価値を関係者と共に生み出し続けるんです。そうすることによって、稼げるから長く存続できるということです。

最後に今回の「稼ぎ続ける」の講座をもう一度振り返りましょう。

・存続するには利益は欠かせません。
・利益を生み出せないのは価値を生み出していないからです。
・全ての取引は等価交換ですので、取引先、顧客、社員の間には上下も貴賤もありません。
・全ての関係者が適正な利益を享受しているのか、誰かが損をしていないのか。共に価値を生み出す仲間として、本当にしっかりとお互いのことを思ってお互いが利益を得られるようになっているのか。
・長期利益、持続的利益こそ存続の基盤です。
・稼ぎ続けなければ存続できません
・ゆえに企業・組織は存在価値を関係者と共に生み出し続けるしか道がありません。それは宿命ともいえます。
・社会を構成する主体として、一員として長く生き続けることができる。

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