初級講座 Ⅰ.理論・基礎知識 生活者はどう情報を選ぶのか? はじめに/生活者とは?

こんにちは。荒木洋二です。

今回から「生活者は情報をどう選ぶのか?」というテーマの解説を始めます。

前回まで解説してきた「そもそも広報PRとは」の講座の中で、(「選ばれ続けるをひもとく」という内容に触れ)「選ぶ理由」「選ばれる方法」を一つずつ細かく見ていきました。今回からは、生活者は情報をどうやって選ぶのか、ということを調査結果データから明らかにしていきます。

次の三つの機関の調査結果を紹介します。
·経済広報センター  : 経団連(経済団体連合会)の外郭団体です。
·企業広報戦略研究所   : 電通PRが運営する研究所です。
·メディア環境研究所 : 博報堂 DY メディアパートナーズが運営する研究所です。

「生活者は情報をどう選ぶのか?」の講座は五つの項目で構成されています。
1、生活者とは?
2、自ら魅力を伝える
3、情報との3つの向き合い方
4、4つの情報源
5、生活者に対するコミュニケーション

今回の講座では、1番目の「生活者とは?」について解説します。経済広報センター、広報戦略研究所、メディア環境研究所、それぞれの調査における共通項があります。それは何でしょうか。全ての調査対象が生活者ということです。以前は「消費者」と総称されていましたが、今は「生活者」と言います。では、生活者とは誰なのか、ということを見ていきましょう。

生活者とは、いろんな側面を持っています。同じ個人であっても、いろいろな顔を持っています。皆さんもそうですし、私もそうです。まず、生活者とは消費者でもあります。間違いなく日々何かを消費していますね。食事や生活必需品などを消費しながら生活しています。成人になれば有権者でもあります。そして、もちろん、全員日本国民です。求職者という立場の人もいるでしょう。日頃、企業や組織で働いてれば、組織人という顔もあります。これらを全て含めて「生活者」と言います。

これから生活者に関する調査データの結果を見ていきます。

生活者といっても、先ほど挙げた組織人がどう情報を選ぶのか、というと個人の立場と完全に同じ判断を下すでしょうか。そうとも言い切れません。組織にいる中で、組織人として判断し、情報を選んでいくという側面もあるでしょう。ただ、多くの点で似通っているし、そんなに大きな差はないのでは、と考えています。

ここではあえて「生活者」と「組織人」を対比させて、それぞれの立場や判断を確認してみます。

「生活者」に当てはまるのは、企業の社員、あるいは組織のスタッフ、それらを目指す求職者たちです。生活者の情報を選ぶ判断とほぼ同じでしょう。「B to C 企業」の顧客、非営利組織(もしくはそれに準ずる組織)、個人を対象にした組織などの会員も、個人として生活していますので、「生活者」といって相違ないと思います。

続いて「組織人」です。

企業や法人·組織に所属している人たちです。「B to C 企業」の場合、顧客と社員以外の利害関係者は全て「組織人」です。「B to B 企業」も社員以外で関わっている人は、ほとんどが企業対企業の取り引きですから「組織人」といえます。非営利組織でも法人を対象とした組織であれば、会員も「組織人」という立場で情報を選ぶことになります。

ただし、「組織人」は、組織内でどんな役職なのか、という立場や、どういう組織文化で生きているのかによって、下す判断、情報をどう選ぶかという行為に影響を及ぼすでしょう。これから紹介する調査結果とは、選ぶ基準も変わる可能性があります。ですから日頃の生活の中で、調査結果と照らし合わせて注視し、より深い分析が必要になるでしょう。

最後に今回の講座を振り返り。まとめます。
·どうすれば選ばれるのか 「選ぶ理由」や「選ぶ方法」をひもとく
·「生活者は情報をどう選ぶのか」を調査結果データから明らかにする
·生活者とは消費者であり、有権者であり、住民であり、求職者である
·生活者と組織人は情報をどう選ぶのか
·組織内の立場や組織文化で選ぶ基準は変わるのか
·注視やより深い分析が必要 

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