Weekly Digest 先週の記事まとめ

先月から少しずつ読み進めている書籍があります。購入したのは実は11、12年前です。『輿論と世論 日本的民意の系譜学』(佐藤卓己著、新潮社刊)です。購入当時も読もうとしたのですが、お恥ずかしながら20ページほどで挫折しました。著者の佐藤卓己氏は、広島市生まれの京都大学大学院教育学研究科教授です。

なぜ、今、再び読み進めているのか。理由があります。

オミクロン株やウクライナ侵攻などの報道に接し、危機感を抱いていることが関係しています。新型コロナウイルス感染症がまん延し始めた2年前から、報道のあり方に疑問を抱くことが増えたからです。同時に報道の影響を受けた国民の行動や、日本独特であろう同調圧力を見聞するにつけ、不安を感じてもいるからです。

現在、筆者のコラムでは「パブリシティの未来」と題して、報道機関(=マスメディア)やマス・コミュニケーションに関することを連載しています。同連載では、発信主体としての企業・組織からの視点で筆者自身が危惧していることを伝えています。

前述した危機感は生活者の視点でのものです。国際政治、あるいは国内政治の文脈での話でもあります。かつて輿論(ヨロン=公的意見=pubric opinon)と世論(セロン=世間の空気=popular sentiments)は別物でした。今の日本には意見より空気(同調圧力)がまん延しています。同書の帯で慶應義塾大学教授の渡辺靖氏は「『世論』と『輿論』の本質的な差異が忘れ去られたこと、そして、そこに起因する混同や混乱が戦後日本の言説=政治空間をいかに歪めてきたかを時代別に辿りながら鮮やかに描き出す。(中略)緻密な検証が浮き彫りにするのは、極めてユニークな戦後史であり、秀逸な日米関係史である」と評しています。同書ではプロパガンダ、宣伝の延長線上にマス・コミュニケーション、あるいは広報が語られています。広報の歴史書にも著されていたのと同じく、GHQ(連合国最高司令官総司令部)とのかかわりも詳細に記されています。筆者にも多くの示唆を与えてくれますし、視座を変えることでより深い理解が得られるのでは、と期待しています。

同書を少しずつ読み進め、読破した暁には、書評を載せたいと思います。

先週、NewsRoomに投稿した記事をまとめてご紹介します。


4月4日(月) 荒木洋二のPRコラム
広報PRコラム#71 パブリシティの未来(5)


4月6日(水) 荒木洋二のPRコラム
聴聴くコラム パブリシティの未来(5)


4月8日(金) 図解と文字で学ぶ! 超解説「広報人 eラーニング」
初級講座「Ⅲ.実務能力編」 広報基本4媒体の作り方と使い方 広報媒体とは?


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