【過去の人気コラム】#4 「ブランディング」って何だろう?


2019年年末から始めた「荒木洋二のPRコラム」と「聴くコラム」ですが、おかげさまで85回の配信を重ねて参りました。
2022年7月から2022年9月までは、筆者が出版に向けた執筆活動に集中させていただきたく、新規のコラムはお休みとさせていただきます。そこで再開するまでの間、過去の配信の中から人気のあったコラムを再送させていただきます。


2020年2月10日配信

■企業社会に氾濫するカタカナ用語

企業社会では、なぜか外来語のビジネス用語、カタカナ用語が氾濫しています。「氾濫とは何事か!」と、お叱りを受けるかもしれませんが、どう考えても「氾濫」としかいえない現状を目の当たりにする機会が多くあります。

例えば、私が気になる用語でいえば、マーケティング、PR(ピーアール)、ブランド、ブランディング、、オウンドメディア、レピュテーションなどが挙げれられます。    欧米文化を追随するのが楽なのか。「先端を走っている」感を醸し出したいのか。「後れを取ってはいけない」という焦りがそうさせるのか。理由は個々人によって、さまざまなのでしょう。

もちろん、その分野の専門家であれば、たいていの人は学習と研究を重ね、十分な知識・知見を持っています。しかし、企業の現場には専門家はそう多くはいません。    何となくの感覚で、意味を十分に吟味することもなく、カタカナ用語を使っている人が大半ではないでしょうか。ある程度、自分なりに理解していたとしても、その理解がコミュニケーションしている相手と一致しているかどうか、確認しないまま対話をしています。これで仕事が進むのか、甚だ疑問です。

昨年もある小規模のセミナーで講師を務めました。参加者は経営者やコンサルタントに属する人たちが大半だったのですが、「オウンドメディア」を日本語で説明していください、と問うたところ、誰一人、説明ができませんでした。

■企業社会で市民権を得た「ブランド」と「ブランディング」

ここ数年で「ブランド」や「ブランディング」は、皮肉っぽくいえば、企業社会で「市民権」を得ました。大企業・上場企業だけでなく、スタートアップや中小企業でも、日常的によく使われていると実感しています。

今回のコラムでは、「ブランディング」を取り上げます。「ブランディング」を日本語で説明できますか。具体的には何をすることなのでしょうか。

「ブランディング」をGoogle Alertにキーワード登録すると、毎日、ネットでのニュースや企業のプレスリリース情報がメールで届きます。「採用ブランディング」「リブランディング」「サステナブル・ブランディング」「パーパス・ブランディング」など、使い方はさまざまです。    ブランディングについて、丁寧に説明している情報も時折見かけますが、何の説明もない情報がほとんどで、読み進めてみると「デザイン」や「広報」と同じ意味合いで使っています。これらの言葉に置き換えても十分通じます。

ブランドの語源は、自らの家畜を識別するための「焼き印」であることはよく知られています。この焼き印からの流れで、企業や商品のロゴを作ることが、CI(=コーポレート・アイデンティティ)やブランドであるかのような認識が広まった時期もありました。

■選ばれ続けるための営みや行為

当社はPR会社ですが、自らの提供する、あるいは顧客自身に行ってもらう実務を「何のため」に行うかを明確にするために、何でも日本語で表現し、説明する努力を続けてきました。迷走を繰り返しつつ、絶えず問い続け、探求し続けてきました。

3年ほど前でしょうか、一つの当社なりの答えを出すに至りました。企業にしろ、商品にしろ、「ブランド」と呼ばれるものは、長い間、あるいは多くの人から選ばれ続けています。選ばれ続けている商品が「ブランド」です。選ばれ続けている企業は、「企業ブランド」が確立されているのです。

であれば、ブランドに「ing」を付けた「ブランディング」とは、「選ばれ続ける」ための営みや行為、その全てであるという答えです。これが唯一の正解だとは思っていません。    ただ、耳触りのいい言葉に惑わされず、日本語に置き換えて、目的を明らかにし、何をすべきなのか、一つ一つを「腹落ち」し、実践しなければ、何の成果も上げられませんし、成長にもつながりません。 選ばれ続けるためには、どんなことをすればいいのか。詳しくは別の機会を設け、解説したいと考えています。

今一度、日々、当たり前のように使っているビジネス用語を点検してみてはいかがでしょうか。

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