第9回 広報とPRって何が違うの? (1)

こんにちは、荒木洋二です。

日本社会では「広報」と「PR」、どちらの言葉もある程度浸透しています。「自己PR」や「観光PR」のように、PRの方がより普及し市民権を得ているのではないでしょうか。企業社会でもPRの方に軍配が上がるでしょう。

◆PRとは何の略?

では、PRとはそもそも何を略したものであり、どんな意味なのか。皆さん、ご存じでしょうか。当社が属する業界ではよく知られたことですが、一般的にはあまり知られていません。

PRとは、「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」の略です。企業・組織などを主語とする用語です。直訳すると、「公共関係」あるいは「公衆関係」となります。企業・組織にとって、パブリックを構成するのは誰なのか。それは自らを取り巻く関係者たちです。企業であれば、最も身近な存在として、経営者や社員・スタッフが挙げられます。顧客や取引先、株主・金融機関もそうです。本社や事務所、工場・店舗などを構える地域社会も関係先に当たります。まとめて「利害関係者(ステークホルダー)」といいます。PRを意訳すると、企業・組織などが利害関係者と良好な関係を築くことといえます。

少々脱線しますが、ステークホルダーについて説明します。米国では株主を「ストックホルダー」といい、リーマン・ショック前までは、会社は株主のものである、とする「株主至上主義」が市場を席巻していました。世界金融危機以降、極端な行き過ぎた株主重視を反省し、株主以外の関係者を重視する考え方が広がりました。そこでステークホルダーという言葉が生まれ、注目され、日本の企業社会にも訳語として「利害関係者」という用語が広がっていったのです。

◆アピールとプロモーション

PRとは、企業・組織などが利害関係者と良好な関係を築くことです。

そう理解したところで疑問が生まれます。ふだん当たり前のように使い、報道もされる「自己PR」と「観光PR」とは、そもそもどんな意味なのか。自己PRは主に就職の際に、観光PRは観光客を誘致する際に頻繁に使われます。使われ方からすぐ気付くのが、これらはPRではなく、アピール(=訴求)の意味合いで使われており、そう考えると納得できます。

私の高校時代の倫理・社会の担当教師は「PRとはプロモーションの頭2文字をとったもので、宣伝ということだ」と説明されたのを今も覚えています。「プロモーション」もよく使われるビジネス用語です。日本語では「促進」の意味なので、販売促進で「セールス・プロモーション」となるわけです。

報道機関にまで、自己PRや観光PRと使ってしまわれている「PR」の置かれた現状を私自身が憂えていますし、業界の社会的影響の非力さを反省してもいます。

次回「広報とPRって何が違うの? (2)」に続く

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