初級講座「Ⅱ.組織能力編」 みる・きく①事実情報を整える

こんにちは。荒木洋二です。

前回から初級講座「Ⅱ.組織能力編」の解説を始めました。8回にわたる講座で、今回はその第2回です。前回は「Ⅰ.理論・基礎知識編」と「Ⅲ.実務能力編」とのつながり、「Ⅱ.組織能力編」の全体像を解説しました。

今回から「組織能力編」における「みる・きく」の講座を、次のスライドに記載の3項目を3回にわたり、解説します。

今回は「1、事実情報を整える」です。

1、事実情報を整える

企業・組織は、さまざまな関係者に常に取り巻かれています。これら取り巻く関係者のことを「利害関係者(ステークホルダー)」といいます。利害関係者との関わりなくして、企業・組織は成長も存続もできません。企業・組織においては、それらの関わりの中でいつも多くの事実(ファクト)にあふれ、囲まれています。

企業・組織の経営として、行うべきことがあります。それは自らの周りにあふれ、自らを囲む事実を洗い出し、棚卸しすることです。洗い出しとは調査であり、ヒアリングのことです。棚卸しとは洗い出した事実を評価し、分析することです。評価・分析後に事実情報を分類します。この一連の流れが「事実情報を整える」ということです。

洗い出しや棚卸し、分類は広報部だけ、広報担当者だけではできません。なぜならば、企業・組織において利害関係者と実際に日常的に関わっているのは、各部署だからです。それぞれの部署が窓口となり、日々さまざまな関係者たちと関わっています。
例えば、次のスライドに記載しているとおりです。

これらの部署と連携して、広報担当者を中心に洗い出しと棚卸しを進めます。ですから、各部署の協力なくしては行えません。広報担当者は、各部署がそれぞれの利害関係者たちに対してどういう活動をしているのか、どんなコミュニケーションをしているのか。どんな関係を築いているのか、という活動実態を一つ一つ把握します。まず、現状を把握することが決定的に重要です。課題など現状が分かれば、当然それぞれの課題への対策が立てられます。まず、実態を明らかにするのです。

洗い出しと棚卸しができたら、次のスライドに記載のとおり、経営資源ごとに事実情報を分類します。

経営資源とは価値の源泉です。別の講座で利害関係者こそ経営資源であるという話をしました。スライドに記載した六つの項目は、国際統合報告評議会(IIRC)で示された六つの資本のことです。ここでは詳しく説明しませんので、そういう分類があることだけ覚えておいてください。資本とは、すなわち経営資源ともいえます。

分類の仕方はさまざまな考え方があるでしょう。本講座では、ぞれぞれの経営資源とひも付けて事実情報を分類してみましょう、という一つの提案です。
そうすることで「Ⅲ.実務能力編」で学ぶ「広報基本4媒体」を作る際に役立つからこその提案です。

今までの内容をまとめますと、次のスライドに記載のとおりです。

広報担当者が各部署が洗い出した事実情報を評価・分析(棚卸し)して、経営資源ごと、資本ごとに分類します。
それぞれの資本、経営資源に当たる情報はどんな情報でしょうか。次のスライドにまとめましたのでご覧ください。

このように事実情報を分類していくと、広報基本4媒体である「ファクトブック」や「アニュアルレポート」の作成にも役立ちます。

次回は「2、利害関係者と向き合う」を解説します。

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