エシカルとはみんながそれぞれ思うものでいいし、全てが正解

第2回  広報人インタビュー
子どもの感動体験を生み出す 福山優太さん

□ エシカルな考えを持った人たちのコミュニティ運営を目指す

荒木:福山さんは、どんな相談に乗ってくれますか。どんな課題を解決してくれるのでしょうか。

福山:今取り組んでいるのは、エシカル(倫理的な:一般的には、法的な縛りはないが、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的規範)についてなんです。環境問題、健康、子育て、動物愛護の問題など、問題はたくさんあります。そういったことに取り組んでみたいなと思った人が、情報の迷子になってることが多いなと感じているんですね。そんな人たちを支援できればと考えています。

実は、僕自身も迷子になっている時期がありました。そんな時にコロナ禍がやってきたので、家では食べ物、つまり口にする物から健康にしていこうと思いました。僕は看護師なので、ワクチンやマスクのことなどの健康問題ももちろんのこと、それ以外に環境のことは「知りたい、何か活動したい」と思っても、一人で動くのは難しいのが現状でした。そこで、みんなで手をつなぎ合いながら情報交換して、自分たちが生きやすい社会にするために「一緒に活動していこうぜ!」っていうところにフォーカスを当てています。そんなコミュニティーを作ろうとしています。

荒木:何かを提供するというよりは、エシカルな考えを持った人たちのコミュニティー運営を目指しているんですね。 今はどんな名称でどんな活形で活動しているんですか。

福山:今は直接個人とつながっている形でオープンチャットでやり取りさせてもらっています。外部講師を招いたりしながら勉強会を開いています。課題解決ができたりすると思っています。

荒木:それが「ROOT」(ルーツ)という活動ですか。

福山:はい。「ROOT」は「根っこ」という意味があるのですが、ここでは「みんなで手をつなぎ合いながら課題解決していこう」という意味で捉えています。

□ 「もっともっと」から「ありがとう」へ

荒木:現状は、任意団体として活動しているんですか。

福山:そうです。同じ思いの人が集まる場所にしつつ、今後は法人化を目標に動いています。

荒木:正にそのルーツとして、毎週月曜日にイベントなどを行っているんですね。

福山:そうですね。やり始めて一番面白いなと思ったのは、僕の家族がより温かくなり、円満になったんです。何でかなと考えたら、僕もそうなんですが、「もっともっと」という思いが結構あると思うんですよ。

例えば、もっといい服やカバン(が欲しい)とか。それって手に入った瞬間に、またもっと欲しくなっちゃうんですよね。でも、エシカルのような考えを持ったというのは、今あるものに対してどう捉えるのかを考えることになります。今ある環境だったり、家庭だったり、食べ物だったりにフォーカスを当てるので感謝することが多く、「ありがとう」と思えることが増えました。

荒木:そういう機会が増えることもあるんですね。

福山:「もっともっと」から、今あることに感謝ができるようになりました。「もっともっと」だと短期的には幸福度が大きいんですけど、持続性がありませんよね。

ただ、エシカルな考え持っている人は、今あることに感謝するので長期的な幸福感を持てます。家族や身近な人に対しての感謝があって、温かい人が多く集まっています。入ってくる人もそういった温かさを感じて入っているのかなと感じています。

「身近なところから考え方を変えれば、世界が変わる」

荒木:エシカルな考え方を広げていきたいんですね。

福山:僕自身がエシカルな考え方をするようになって、「もっともっと」から身近にある物を大切にするようになり、家族とも一つの物を大切にする楽しみを共感することが増えたんですよね。それも本当にコロナ禍のおかげかなと僕は思っています。

例えば、健康になることで、食べ物を無添加に変えていくことで何が変わったかというと、一つは医療費がかなり減りました。病院に行かなくなったんです。それから、妻との共通の話題ができたので、家族円満になったというのも一つの貴重な経験ですね。

荒木:そのご自身の体験に基づいて、共感の輪を広げようということは、つまり同じような体験をする人を増やしたいということですか。

福山:そうですね。エシカルとか環境問題とかいうと、ちょっと難しくなるんですが、決して特別なことではありません。身近なところから考え方を変えれば、世界が変わると思っています。見方をちょっとだけ変えてあげられれば、いいのかなと。

荒木:「エシカル」とは、福山さんの中では日本語でどう訳しますか。意味を調べると「倫理的」とされていますよね。

福山:僕の考えですが、数日前にも同じような話をしたんですが、特にこれと決めなくていいのではないでしょうか。みんながそれぞれに思うもので、それが全て正解なんです。全部が正解で、それを認め合いながら一緒に生活や活動をしていきたいんです。だから「道徳的」とか「倫理的」とか難しくしないで、ちょっとだけ「良いこと」ができればいいし、できることからできる人がやればいいと考えています。

荒木:確かにエシカルという言葉を私たちはキャッチーな言葉と考えてしまいがちです。福山さんが言われるように理解していくと、「みんな違うからいい」と捉えると興味深いですね。

福山:はい。誰が、どんなエシカルを持っているのか。これを聞くのも面白いですよね。

子どもたちの「第三の居場所」をつくる

荒木:今、取り組んでいる「ROOT」の目標はありますか。

福山:僕は、子どもたちの未来がワクワクする、ということを一つのテーマにもしています。まずは、大人たちが集まっていろんな情報を交換するところから始めたいですね。年内(2022年)に、仲間を50人まで集める計画です。そこから子どもたちがワクワクしながら、大人も夢中になれるようなイベントを展開していきたいです。

オンラインのイベントでは外部講師を招こうと考えています。僕の知っている人だと、世界中を回りながら気候変動のことを話してくれる人や、ネパールの人で35人(の孤児)の父親をしている20代の男性、沖縄で珊瑚を守る活動をする人などがいます。そういった人たちを招いて、日本だけでなく、海外でも「こんなことが起きてるよ!」という事実を伝え、それが参加者にとっての(エシカルとは何かを考える)きっかけになればいいなと思っています。「講師の話を聞いたから、これをしなさい」というのは違うのではないでしょうか。結局、考えて行動に移すも移さないも、本人の自由です。

参加者にとってきっかけになればいいですね。オンとオフ両方のイベントを開催する計画です。

将来的には、子どもたちの「第三の居場所」をつくりたいですね。僕が子どもの頃は、近所のおじちゃんやおばちゃんの家が居場所だったので、親の顔が見たくない時にそういう場所があったんです。僕の息子を見ていると、そういった場所をつくってあげたいなと思うんですよね。

子どもたちが接する大人たちが楽しく暮らしていれば、子どもたちはこんな大人になりたいと自然に思います。そういった場所をROOTに集まった人たちとコラボしていけば、みんなが一つ一つ新しいもの作らなくていいですし、みんなの魅力を掛け算していけば、もっと面白くなるのではないでしょうか。そんな展開を目指しています。

荒木:よく分かりました。今後の活動に期待しています。ありがとうございました。

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