Weekly Essay 元社員もステークホルダーなのか
企業を取り巻く関係者のことを利害関係者、英語ではステークホルダーといいます。ステークホルダーとしっかり向き合い、良好な関係を築くことがどれほど経営にとって重要なのか。当ニュースルームの「荒木洋二のPRコラム」で繰り返し述べてきました。
金銭のみ、あるいは機能面のみの評価でつながるのではなく、「価値を共に生み出す仲間たち」といえるほどの信頼関係を築けるのか。社員はもちろんのこと、提携先、顧問として関わる士業の先生たちともそんな関係になれたならば、非常に心強く感じることでしょう。一般的には「社外」とくくられる顧客・利用者、取引先などとも「仲間」になれることも目指したいものです。
最近、「アルムナイ」という制度が日本の企業社会でも注目を浴びているようです。調べてみると、アルムナイとは「卒業生」「同窓生」を意味することが分かります。企業にとっては退職者がアルムナイ、ということです。今、大企業を中心にどんなことが起こっているのか、『日経ビジネス』(日経BP社)のオンライン記事(2023年6月23日付)が詳しく報じています。
従来、退職者は裏切り者扱いが一般的でした。その元社員を再雇用したり、外部スタッフやパートナーとして業務を委託したりする企業が現れ、重要な戦力として活躍しているといいます。日本でも終身雇用制度が崩れるなか、転職に対する理解も深まり、人材の流動化が進んだことが背景にあるのでしょう。
そうなると、会社にネガティブな感情を持っていなくても転職する人は必然的に増えていきます。自分自身のキャリアを考えて、会社に対してはポジティブな感情を抱いたままで新たな会社に転職するのです。一方、会社もそれこそ「卒業」という意識で喜んで送り出します。
つまり良好な関係のまま、転職していくのです。そんな元社員とつながるコミュニティを設け、継続して良好な関係を維持する取り組みを「アルムナイネットワーク」というそうです。元社員もステークホルダーということです。これからの企業広報の最前線では、社内報やニュースルームでも「卒業生」「OB」の立場で元社員が登場する、そんなことが当たり前になるかもしれません。
1月22日(月) 荒木洋二のPRコラム
広報PRコラム#107 リスク情報と向き合う(2)
1月25日(木) ニュースリリース
【ニュースリリース】『選ばれるブランディング・選ばれないブランディング〜企業ブランド力向上の鍵を握る「舞台裏」』