【広報人材育成のための広報人講座】初級講座 Ⅰ.理論・基礎知識 「そもそも企業・組織とは何のために存在するのか」

こんにちは荒木洋二です。

今回は「そもそも企業・組織とは」の3番目、「何のために存在するのか」について解説します。

前回までの講座で企業・組織と社会の関わりについて触れました。企業・組織、法人は社会との関わりの中で生きており、社会を構成する主体であり、一員であるがゆえに社会に対して何らかの役割を担っているという話をしました。

法のもとに人格を認めた存在である法人は、企業であれば「企業の人格」があり、組織であればその「組織の人格」があります。これは代表者個人とは別です。

どんな企業も組織も全て社会に対して、主体としての何らかの役割を担っています。何のために存在するのか、存在目的は何なのか、といった場合、社会全体の中でどういう存在価値があるのか、ということと同じ意味合いです。存在目的と存在価値を明らかにしていく必要があります。

存在価値、つまり企業も組織も何らかの価値を社会に提供するために、存在しているということです。何らかの価値を提供することで初めて存在できるということです。価値を提供できなくなったらどうなるのか。

例えば、企業で見てみますとあるデータによると創業10年の企業生存率はわずか6%です。最近、企業寿命は30年ともいわれています。人間よりもはるかに短いのです。何らかの価値を提供できなくなったときに企業も組織も社会に存在できなくなってしまうということです。

あらゆる企業・組織は自ら価値を生み出し、価値を提供する。社会に対してそれができなければ、成長もできないし存続もできない、存在することができなくなってしまう。それが企業・組織という存在です。

「存続」とはなんでしょうか。これは「存在価値の継続」といえます。価値を社会に対して提供し続けられるのか。価値を生み出し続けられるのか。そこに存在価値が継続できるかどうかが懸かっています。

ここでもう一つ重要な視点があります。人、人間は一人では生きられません。企業も組織も自らだけでは存立し得ません。

その組織を取り巻いている関係者との関わりの中でしか存在できません。組織を取り巻く関係者のことを経営用語でいうと「利害関係者」といいます。是非覚えておいてください。利害関係者とは「ステークホルダー」の日本語訳です。一時期、特に米国で「企業、会社は誰のものだ」という議論がありました。「企業は株主のもの」という論調が長く続きました。株主のことを英語では「ストックホルダー」といいます。「ストックホルダー」と対比させる形で、「ステークホルダー」という言葉が生まれました。企業は株主のものだけではない、利害関係者のものだという流れになりました。

企業や組織の経営では利害関係者という用語がよく使われるようになっています。利害関係者は、企業・組織とお互いに影響を及ぼし合っています。大なり小なり、さまざまな利益や損害を共有している、それが利害関係者です。お互いに無関係ではいられません。

企業や組織は何のために存在するのか。今回の講座を最後にもう一度振り返ります。

・企業も組織も何らかの価値を社会に提供できて初めて存在できます。

・価値を生み出さなければ、成長できないし存続もできません。

・存続とはすなわち存在価値の継続です

・組織は自らだけでは存立し得ません、存在が成り立ちません。

・取り巻く関係者との関わりの中でしか存在できません。

・組織を取り巻く関係者のことを「利害関係者」といいます。

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