Weekly Digest 先週の記事まとめ
ウクライナへのロシアによる軍事侵攻の報道が熱を帯びています。一連の報道に触れて、20年前に出合った書籍を思い出しました。
その書籍とは『ドキュメント 戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争』(講談社文庫刊)です。皆さん、ご存じでしょうか。著者は、現・NHK国際放送プロデューサーの高木徹氏です。同書は高木氏がディレクターとして手掛けた番組、NHKスペシャル「民族浄化~ユーゴ・情報戦の内幕」(2000年10月29日放送)をもとに執筆されています。出版された2002年に講談社ノンフィクション賞・新潮ドキュメント賞をダブル受賞しました。
1990年代後半、ボスニア紛争の報道で「民族浄化」という煽情的な言葉が世界中を駆け巡りました。「民族浄化」の名の下にセルビア人がボスニア人を虐殺しました。当時、セルビア人が加害者、ボスニア人が被害者という勧善懲悪の物語、善悪二元論という単純な構造で報道が繰り返されていました。しかし、実態はそんな単純な話ではありませんでした。ボスニア政府の背後でPR会社が動き、国際社会を巻き込んだ情報戦を仕掛けていました。詳しくは次の二つの記事を参照いただきたい。
『現代ビジネス』の記事は、伊藤剛氏による『ドキュメント 戦争広告代理店』の著者である高木氏へのインタビュー記事です。「戦争広告代理店」というタイトルは、編集側が付けたもので実際はPR会社が動いていたのです。
今回のロシアとウクライナの問題も複雑な要素が絡み合っています。PR会社が動いているという意味ではありませんが、情報戦が繰り広げられていることは間違いがありません。西側諸国側が発信する情報だけが事実(ファクト)ではありません。先週の当コーナーでも紹介した危機管理コンサルタントの丸谷元人氏。YouTube番組『松田政策研究所チャンネル』に丸谷氏が出演し、語っている側面があることも事実です。
新型コロナウイルスに関する報道も含め、マスメディアの報道のみを盲信することは危険です。陰謀論やフェイクニュースというレッテルを貼り、一掃することができない確かな事実であったとしても意図的に報道されないことがあるのです。私たち一人一人がメディアリテラシーを身に付けなければなりません。
先週、NewsRoomに投稿した記事をまとめてご紹介します。
2月28日(月) 荒木洋二のPRコラム
広報PRコラム#67 パブリシティの未来(1)
3月2日(水) 荒木洋二のPRコラム
聴くコラム パブリシティの未来(1)
3月4日(金) 図解と文字で学ぶ! 超解説「広報人 eラーニング」
中級講座 Ⅰ.理論・基礎知識 経営と広報 CSRの基礎 〜CSRの今〜