Weekly Digest 先週を振り返る

12日、製菓大手の三幸製菓(新潟県新潟市)が新発田工場と新崎工場での生産を6月下旬に再開する、と報道各社が報じました。同社経営幹部が遺族に同日伝えたようです。火災があった荒川工場の再開は決まっていないとしています。
先週当コーナーでは、5月31日に開かれた同社の記者会見に触れ、公式発表資料にもリンクをはり、紹介しました。同資料を読む中で腑に落ちない点、疑問点がいくつかありました。

まず、松原美之教授(東京理科大学)を委員長とする「荒川工場火災事故調査委員会」の構成メンバーが公表されていません。一体誰が調査を担当したのかを明らかにしていません。極めて不十分な情報開示と言わざるを得ません。
次に「三幸製菓による再発防止策の実施及び計画内容について」の「再発防止策概要」の中で、火災の発生原因(想定原因)として、「高熱・高湿で老朽化した電気配線から発火」を挙げています。もし老朽化していたとしたら、同社は安全に関する投資を怠っていたことになります。通常、どの程度で老朽化するのか、筆者は知識を持ち合わせていません。しかし、想定できることに対策を講じていなかったことは重大な問題です。
続いて、「再発防止策」の具体策として「難燃性断熱材の撤去」を挙げていますが、撤去することでのリスクには触れていません。そもそも何のために今まで断熱材を設置していたのか、そのこと自体も問われます。ここでは何ら言及していません。
さらに「停電時においても使用可能な発電機を導入して電源を確保する方針で整備」を進めるとしていますが、つまり非常用発電機をそもそも設置していなかったということを明らかにしました。ここでも安全投資に関する意識の欠如があらわになりました。
最後に今回の再発防止対策での投資額を明記していません。安全確保のための設備と人員にどの程度の資金を投じるのか、その投資により商品価格を今後値上げするのかも一切触れていません。
三幸製菓の火災事故は、われわれにリスクマネジメントにおける多くの教訓を示してくれています。

先週、NewsRoomに投稿した記事をまとめてご紹介します。


6月6日(月) 荒木洋二のPRコラム
広報PRコラム#80 ステークホルダー考(1)


6月8日(水) 聴くPRコラム
聴くコラム ステークホルダー考(1)


6月10日(金) 図解と文字で学ぶ! 超解説「広報人 eラーニング」
初級講座「Ⅲ.実務能力編」 ファクトブックの作り方 4.ファクトブックの各項目の作り方  ②第2部 どんな事業を営んでいるのか?


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