Weekly Essay 情報開示こそ、企業の社会的責任
5日(土)、中古車販売大手のビッグモーターが広報部を設置したことを、共同通信や時事通信などが一斉に報じました。同ニュースはネット上でもかなり発信されていましたので、目にした人も多いでしょう。
未上場企業とはいえ、6,000人の従業員を抱え、年商3,000億円ともいわれる大企業に広報部が設置されていないとは、前代未聞のことです。報道関係者や広報PR業界に携わる者たちにとっては、にわかに信じ難い事実です。報道によると、情報開示を行うために設置し、メールだけでなく電話でも報道関係者からの問い合わせに対応するとしています。
ビッグモーターのウェブサイトで企業情報が掲載されているページを訪ねてみました。「ニュースリリース」コーナーで掲載されている情報は、なんとわずか三つだけです。発信の日付を見ると、今回の不祥事を機に初めて情報開示に取り組んだことが分かります。ただ、広報部設置に関しては何も掲載されていません。報道関係者向けだけに情報を配信したためでしょう。
近年、企業社会ではSDGs(持続可能な開発目標)が流行です。SDGsの根底にある考え方が、CSR(企業の社会的責任)であることは案外見過ごされがちです。企業の社会的責任の一丁目一番地とは何でしょうか。それは情報開示と説明責任です。情報開示とは隠さないことです。隠さず正直に伝えることです。説明責任とは相手が分かるように伝えることです。伝わるように伝えることです。
ビッグモーターのブラック企業ぶりが、元従業員や顧客などへのインタビューやネットの書き込みで次から次へと明らかになっています。自社の商品・サービスの認知を獲得するために情報を発信するだけでは十分ではありません。大切なことは発信だけではなく、開示することであり、自社を取り巻く関係者たちと常に情報を共有することです。私たちは、ビッグモーターにおける不祥事を他山の石として、上場なのか未上場なのかを問わず、情報開示、そして情報共有に努める必要があるのではないでしょうか。
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