Weekly Digest 先週を振り返る

EBPMとは、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングの略で日本語では「証拠に基づく政策立案」と訳されます。独立行政法人経済産業研究所上席研究員・関沢洋一氏の説明によると、内閣府では2018年(平成30年)度から、その取り組みについて議論されていたようです。恥ずかしながら、筆者がEBPMという用語を知ったのは今年に入ってから、いや確か3〜4カ月くらい前のことです。

きっかけは、米国イェール大学助教授の成田悠輔氏の講演動画をユーチューブで視聴したことです。それまで一切聞いたことがなく、自らの不見識をふがいなく感じました。成田氏は半熟仮想株式会社の代表も務めています。筆者の個人的印象では、昨年後半からネットで注目を浴び、今春以降は地上波テレビの出演が急激に増えた新時代の論客です。本人によれば、専門は、データ・アルゴリズム・数学・ポエムを使ったビジネスと公共政策(特に教育)の想像とデザインとのことです。

EBPMとは、「政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすること」と内閣府では説明しています。さらに「政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計等のデータを活用したEBPMの推進は、政策の有効性を高め、国民の行政への信頼確保に資する」と意義を強調しています。どうやら欧米諸国ではEBPMの取り組みが進んできたのと比較して、日本では、「統計や業務データが十分に活用されず、往々にしてエピソードベースでの政策立案が行われているとの指摘」されてきたと厚生労働省も述べています。
成田氏に言わせると、コロナ対策で使われた膨大な公的資金によりどんな効果、成果があったのかは一切検証されていない、というのです。驚愕するというか、唖然としてしまいます。

エビデンスに基づくという考えは、もともとは医療の世界で生まれた考え方だと、統計家の西内啓(にしうち・ひろむ)氏は述べています。西内氏によると、「経験と勘とロジカルシンキングですべてを決めようという従来の医療の考え方に加えて、ちゃんとデータを取る、そしてそれを適切に分析した結果に基づいて意思決定をするということがより正しい判断に繋がる、というような考え方」(原文のママ)だといいます。
データの重要性もさることながら、そのデータをどう取得し、どう活用するのかが、あらゆる組織に求められているのではないでしょうか。

先週、NewsRoomに投稿した記事をまとめてご紹介します。


8月15日(月) 荒木洋二のPRコラム
【過去の人気コラム】#10 広報とPRって何が違うの?(2)


8月17日(水) 聴くPRコラム
【過去の人気コラム】聴くコラム ブランディングの鍵は「舞台裏」にあり(2)


8月19日(金) 図解と文字で学ぶ! 超解説「広報人 eラーニング」
初級講座「Ⅲ.実務能力編」 プレスリリースの作り方 プレスリリースを作る準備④


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