【ポッドキャスト #88】AIが書ける時代に、広報担当者は何をするのか


文章作成や要約、議事録まで担えるようになったAI。では、広報担当者には何が残るのでしょうか。「見る、聞く、考える、伝える」に沿って、人間が担うべき問い、選択、判断と、AIを広報の力に変える使い方を考えます。

音声(番組)は以下より聴取できます。
・ポッドキャスト:#88
・Spotify:#88

以下、テキスト版です。ぜひご一読ください。

荒木
今回のテーマはAI(人工知能)です。

濱口さんは、仕事で使っていますか。

濱口
かなり使っています。

私が取り組んでいる「声の社内報」では、録音した内容をAIで文字起こしし、要約してもらいます。

そこから私が内容を確認し、必要な修正をして企業へ納品しています。

荒木
私も会議の文字起こしや議事録、対談記事の整理などにはかなり使っています。

文章も作れる。SNSの投稿も作れる。

そうなると、広報担当者は何をする人になるんでしょうね。

◆「作業」はAIに任せられる

濱口
作業という意味では、かなりAIに任せられると思います。

文字起こし、要約、文章化、企画案を出すところまでできます。

ただ、その企画の中で誰に話を聞くのか、どの人のどんな思いを中心にするのか。

そこは人が必要だと思います。

荒木
確かに。

「広報誌の企画を考えて」と聞けば、AIは候補をいくつも出してくれます。

でも、その中から何を選ぶか。

誰にインタビューするか。

今、この会社で何を取り上げる意味があるのか。

そこは人間が考えていますよね。

◆「見る、聞く、考える」の前段がある

荒木
私は以前から、広報は、

「見る、聞く、考える、伝える」

だと話してきました。

どうしても広報というと「伝える」に意識が向きます。

でも、その前に何を見るのか。誰の声を聞くのか。そこから何を考えるのかがあります。

AIは「伝える」部分をかなり助けてくれます。

ただ、現場へ行って誰の話を聞くかを決めたり、その人の表情や感情を見ながら、もう一歩踏み込んで聞いたりするのは、今のところ人間の役割が大きいと思います。

濱口
インタビューをしていると、「ここが面白い」「もう少し聞きたい」と感じる瞬間があります。

不安そうだったり、言葉にしづらそうだったり、その人の心の動きを感じながら聞くこともあります。

荒木
そうですね。

用意された質問をするだけでは拾えないものがあります。

その人の背景を知り、表情を見ながら、何を聞くのかを変えていく。

その部分は、広報にとって非常に大切です。

◆AIにも、自分の判断基準を伝える

濱口
荒木さんは、文章の書き方にもかなり基準がありますよね。

AIで文章を作る時はどうしていますか。

荒木
自分が何を大切にしているのかを、AIに伝えています。

ニュースリリースなら、企業を主語にすること。尊敬語や謙譲語を使わないこと。誰が発信している文章なのかを明確にすること。

出てきた文章が違えば、なぜ違うのかを伝える。

そのやり取りを続けると、自分の基準に合った文章が出やすくなります。

濱口
つまり、AIが勝手に荒木さんらしい文章を書くのではなく、荒木さん自身に判断基準があるから、それを反映できるということですね。

荒木
そうです。

最後に「これでいい」と判断しているのも人間です。

◆文章を書くハードルは、大きく下がった

荒木
一方で、AIが作る文章について、「特徴がない」と批判する声もあります。

そういう面はあると思います。

ただ、私は読みやすく、分かりやすい文章になること自体は悪いことだと思いません。

自分のこだわりが強すぎて、相手に伝わらなければ意味がありません。

濱口
文章を書くのが苦手な人にとっては、かなり助けになりますね。

荒木
そう思います。

これまで「書ける人がいない」という理由で情報発信を諦めていた中小企業にとっては、大きな変化です。

文章化の負担が減ることで、広報に取り組むハードルは間違いなく下がっています。

◆丸投げする相手が、外注先からAIに変わっただけでは意味がない

濱口
AIを批判するとしたら、AIそのものより、全部丸投げする使い方ですよね。

荒木
本当にそうです。

AIが作った文章を確認せず、そのまま企業の公式情報として発信する。

それでは、誰が主体なのか分かりません。

以前、広報を外部の会社に丸投げしてはいけないという話をしました。

AIも同じです。

AIに任せることと、責任まで任せることは違います。

◆AIが、人間に「あなたは何者か」と問い返す

荒木
むしろ、AIによって文章を作ること自体が簡単になればなるほど、別の問いが強くなると思います。

自分たちの会社は、何者なのか。

何を大切にしているのか。

本当に何を伝えたいのか。

そこがなければ、他社と同じような文章がいくらでも作れてしまいます。

濱口

AIがあるからこそ、人間の側に本質が求められるということですね。

荒木
そう思います。

AIを恐れすぎる必要はありません。

文章を整理し、分かりやすくし、仕事を速くする。広報にとって大きな助けになります。

ただし、誰を見るのか。誰の声を聞くのか。何を選ぶのか。そして、会社として何を発信するのかを最後に判断するのは人間です。

私自身、AIと対話していると、「それは本当に何なのか」と深く考えさせられることがあります。

人間の代わりというより、自分たち自身をさらに深く考えるための相棒。

そう捉えると、AIは企業広報にとって大きな可能性を持っているのだと思います。

前の記事へ TOPへ