【ポッドキャスト #90】会社の魅力は、説明しすぎない方が伝わる

前回に続き、二宮翔平さんを迎えます。
社員に届く番組に共通していたのは、会社の良さを説明することではなく、経営者が日常を飾らず語ることでした。
社内ラジオの実例から、雑談が生む透明性と、社員ファーストの情報発信を考えます。
音声(番組)は以下より聴取できます。
・ポッドキャスト:#90
・Spotify:#90
以下、テキスト版です。ぜひご一読ください。
以下、テキスト版です。ぜひご一読ください。
前回に続き、リクライブ編集長の二宮翔平さんを迎えました。
採用広報を「求職者ファースト」から「社員ファースト」へ切り替えた二宮さん。
今回は、その考えを企業側へどう伝えているのか。そして実際に社員へ届く発信とはどのようなものなのかを聞きました。
◆「会社の良さ」を説明するほど、届かなくなる
濱口
前回、「社員が面白いと思えるものをまず作る」という話がありました。
採用担当者はもともと外向けの情報発信を考えているわけですよね。
そこから社員向けへ変えていくのは、かなり難しかったのではないですか。
二宮
難しかったですね。
採用担当者は、応募数や採用数といった目標を持っています。
だから「間違えたくない」「ちゃんと会社の魅力を説明しなければ」という気持ちが強くなる。
その結果、
「福利厚生を紹介します」
「社員インタビューをします」
「うちの会社の強みはこれです」
という発信になりやすい。
でも私は、外から見ていると「これ、誰が喜ぶんだろう」と感じることがあります。
荒木
発信することそのものが目的になってしまうわけですね。
二宮
そうです。
求職者も、「いいことだけ言っているな」というのは分かります。
それよりも、「うちの会社には、こういう課題があります」と正直に出している会社の方が、誠実さを感じることもある。
◆人気の番組ほど、「説明していない」
二宮
企業のポッドキャストをいくつも続けてきて、最近はっきり分かったことがあります。
人気のある番組は、あまり説明していないんです。
一生懸命何かを伝えようとしている番組より、ただ雑談しているような番組の方が、社員からの反応もいい。
採用で応募してきた人からも、「面白かった」と言われます。
荒木
どんな雑談をするんですか。
二宮
本当に普通です。
「この前、富士山に登ったんだけど大変だった」とか。
ある会社では、お酒を飲みながら、昔の苦労や最近あったことを話しているだけです。
それがすごく聞かれるんです。
濱口
「会社の魅力を説明しよう」と考えて作ったものより、普段の会話の方が伝わるということですね。
◆雑談から、経営者の透明性が見える
二宮
ある企業では、経営者と私が雑談する社内向けポッドキャストを継続していました。
終了する時に社員アンケートを取ったところ、一度以上聞いたことがある人は100%でした。
全184回をすべて聞いた人もいました。
「このラジオに意味があった」と答えた人も97.3%でした。
荒木
それはすごいですね。
二宮
社員に「経営者がポッドキャストで話す意味は何か」と聞くと、最も多かったのが「透明性」でした。
採用だけでなく、経営方針が分かる、経営者との距離が近くなるといった反応もありました。
荒木
そこは広報の本質にも近いですね。
経営者が飾らずに話し続ける。
それを社員が継続して聞く。
一対一ですべての社員と話すことはできなくても、音声なら日常的に経営者の考えや人柄に触れることができる。
結果として「この社長はこういう人だったのか」と理解が深まる。
◆飾らないことから、採用広報も始まる
荒木
採用動画になると、どうしても少しかしこまりますよね。
二宮
なります。
企業は情報発信に慣れていないので、ありのままを出すことに自信がないんです。
「そんな普通の話を誰が聞くんだ」と言われます。
でも実際には、そこが聞かれています。
荒木
私はクライアントにも「美談だけにしない方がいい」とよく話します。
きれいに整えすぎると、社員自身が白けてしまう。
むしろ普段着の会社や、舞台裏まで見せることが、会社を理解してもらうことにつながる。
二宮
そうなんです。
今のところ、私が一番大切だと思っているのは「社員ファースト」です。
情報発信は、まずそこからです。
荒木
「インナーブランディング」と難しく言うと、大きな施策をしなければならないように感じます。
でも、経営者と社員が聞けるラジオを始める。
日常のことを飾らずに話す。
そのくらいからでもいい。
まず、遠くの誰かではなく、目の前にいる社員へ。
そこから採用にも、会社の透明性にも、外部との関係にもつながっていくのだと思います。

