初級講座 Ⅰ.理論・基礎知識「コミュニケーション4要素」
こんにちは。荒木洋二です。
今回は「そもそも広報PRとは」の2番目、「広報PRとは?」について、前回からの続きを解説します。
前回の講座をもう一度振り返ります。広報とPRは同義語です。PRとは、パブリック·リレーションズのことで、つまり意訳すると利害関係者と良好な関係を築く、ということです。良好な関係を築くためにはコミュニケーションが必要不可欠です。
コミュニケーションとは、「見る·聞く·考える·話す」ということです。利害関係者それぞれと「見る·聞く·考える·話す」、これがコミュニケーションの基本です。
今回の講座では「コミュニケーションの4要素」と題して、次の4項目に分けて解説します。
1.考える
2.相手のことを知る・理解する
3.存在を知らせる
4.価値を伝える
この四つの段階があるということです。
1.考える
まず、「考える」です。
利害関係者と一括りで言いますが、いったい誰から選ばれたいのか。彼らに選ばれ続けなければ存続できませんが、わが社は具体的に誰から選ばれたいのか。
そして、その利害関係者からいったいどう理解されたいと思っているのか。誰に何をどう伝えていけばいいのか。彼らとどんな関係を築いていきたいのか。
つまり、情報戦略、コミュニケーション戦略といえます。これは経営戦略にとって、非常に重要な役割を担っています。コミュニケーション戦略については「中級講座/理論·基礎知識編」の「戦略設計と活動計画」の講座で詳しく解説します。
2.相手のことを知る・理解する
次に「相手のことを知る·理解する」です。
誰から選ばれたいのか。どう理解されたいのか。どんな関係を築いていきたいのか。
これら情報戦略を設計し、整理したうえで、相手のことを知りましょう。知るためには「みる」こと、「きく」ことが欠かせません。つまり、情報を収集することです。
彼を知り己を知れば、百戦危うからず
古代中国の故事成語です。
まず相手のことを理解しましょう、知りましょう。相手のことを知るために、理解するために、ちゃんと「みましょう」、ちゃんと「ききましょう」。しっかり「みましょう」、しっかり「ききましょう」。
「みる」とは何かというと、漢字ではいろんな「みる」があります。
例えば、視察、観察、診断、見物など、さまざまです。。
観察で例を挙げますと、「行動観察」という分野があります。診断では企業の現状診断、つまりアセスメントです。
「きく」でいいますと、利害関係者の声に耳を傾ける、傾聴するということです。
あるいは調べること、直接取材することも「きく」ことに当たります。
「みる」「きく」なしには、相手のことを知ることも理解することもできません。「みる」「きく」の詳細については、初級講座·中級講座の「組織能力編」で詳しく解説します。
3.存在を知らせる
3番目は「存在を知らせる」です。
ちゃんと戦略を考えた上で、相手のことをよく知り、よく理解することです。ただ、選ばれたいならば、知らせなければなりません。
なぜなら、
知らない = 存在していない
ということだからです。知らないということは、相手にとって存在していないに等しいといえます。ということは選ぶ、選ばないではなく、選ばれる以前の話なんです。
相手のことはよく分かった、理解した。次は何らかの方法、何らかの形で、相手にまず自分の存在を知ってもらうことです。その存在自体を知らせることです。知らせないと選択肢にも入りません。ですので、情報発信、情報伝達は企業·組織にとって、絶対欠かせません。
選ばれたいと思っている利害関係者に、自らの存在自体を知らせましょう、ということです。「知らせる」ことが全ての起点、出発点となります。
ただ、ここで一つ疑問が湧きます。では、知らせるだけで、はたして選ばれるのだろうか、ということです。
4.価値を伝える
最後、4番目は「価値を伝える」です。
知らせるだけで選ばれるのか。そう簡単にはいきません。
では、何を伝えれば利害関係者に選ばれるのでしょうか。彼らに選ばれ続けるためには、何を伝え続ければいいのでしょうか。
選ばれ続けるためには、価値を伝える。
これが結論です。
詳しい説明は別の講座に譲りますが、価値とは何かというと「表舞台」と「舞台裏」です。「表舞台」と「舞台裏」を見える化して、伝えるのです。
そこで、問われるのが、その価値を伝え続ける能力が、その企業·組織に備わっているのかということです。価値を伝え続けることによって、利害関係者から選ばれ続けるのです。
つまり、広報は経営における重要な機能の一つだ、ということが分かります。
もう一度、今回の講座を振り返ります。
コミュニケーションの4要素とは次のとおりです。
コミュニケーションの4要素
1.考える
情報戦略&コミュニケーション戦略
誰に選ばれたいのか、どう理解されたいのかを考えること
2.相手を知る・理解する
視察·観察·診断·傾聴·調査·取材
「彼を知り己を知れば百戦危うからず」
利害関係者のことを知りましょう、理解しましょう
3.存在を知らせる
知らない=存在していない
「知らせる」ことが起点となる
4.価値を伝える
表舞台と舞台裏を伝え続ける
伝え続けることで、利害関係者から選ばれ続ける