中級講座 Ⅰ.理論・基礎知識 戦略設計と活動計画 広報戦略を設計する

こんにちは、荒木洋二です。

今回も「戦略設計と活動計画」についての解説です。前回同様、「広報戦略を設計する」を解説します。前回は「①広報戦略設計と広報活動計画」でした。今回は「②コンテンツを企画する」を解説します。

前回の「広報戦略設計と広報活動計画」を簡単に振り返ります。

まず、明確にすべきことがあります。会社・組織にとって誰が利害関係者なのか。これからどんな組織・個人に利害関係者になってほしいのか。どんな組織・個人に選ばれたいのか。同時にどんな会社だと理解されたいのか。これらも一つのビジョンだといえます。

次に、明らかにして整理すべきことがあります。自らの会社・組織にどんな事実があるのか、ということです。

その上で広報戦略を設計します。それは誰に向けてどんな広報媒体、どんなコンテンツを作り、どのように伝えるのか。これが広報戦略です。誰に、いつ、どこで、どのように伝えるのかを決めるのが、広報活動計画です。

では、「②コンテンツを企画する」を解説します。

コンテンツを企画するに当たり、重要な視点、視座があります。これを理解していなければ、コンテンツを企画できません。相手に伝わる、相手の心に響く魅力あるコンテンツは作れません。

その視点とは、企業・組織と(全ての利害関係者を含む)社会は、関心と課題を接点にして関係を築いている、ということです。

どういうことか。つまりコンテンツ企画の要点はこの二つだということです。第1に社会の関心を満たす、あるいは関心をより強めるコンテンツを企画するのです。第2に課題を解決することにつながるコンテンツを企画するのです。自らが保有する経営資源、資本により、関心を満たせる、課題を解決できることにつながるコンテンツです。

そもそも企業・組織の存在価値はどこにあるのでしょうか。社会全体を、構成する主体で分解してみます。すると、それらは全て(現在と未来の)利害関係者といえます。企業・組織は、さまざまな利害関係者たちの関心を満たすための事業を営んでいます。あるいは、利害関係者たちが直面している課題を解決するための事業を営んでいます。この二つのいずれかを事業として営んでいます。だからこそ、存在価値があるのです。

企業・組織は、利害関係者に対してこういう関心を満たす、こういう課題を解決する、という約束をします。その約束を守り、関心を満たすから、あるいは課題を解決するから、社会・利害関係者から信頼されます。存在価値を認められます。そういう事業を営んでいるからこそ、その企業・組織は社会を構成する一員として、存在意義があるわけです。

そもそも事業とは価値を生み出すための営みです。価値は相手に受容され、認められてこそ、価値といえます。当然、企業・組織が伝える、発信する内容においても同じことがいえます。事業を営み、価値を生み出すことと関係がないコンテンツを発信しても意味がありません。企業・組織の事実(ファクト)として関心を満たし、課題を解決する事業を営んでいます。これらの事実につながるコンテンツを企画します。

コンテンツを考えるとき、この視点を失ってはなりません。詳しくは初級講座「組織能力編」の「事実情報を整える」の講座をご覧ください。本講座では簡単に振り返ります。

広報担当者はコンテンツを企画するために、具体的には何から始めればいいのでしょうか。どんな取り組みをすべきなのでしょうか。

まず、組織内の全ての部署から事実を洗い出します。各部署の先には利害関係者がいます。各部署を窓口として、利害関係者とつながっています。利害関係者は価値を共に生み出す仲間たちといえます。

各部署から事実情報を洗い出すことから始めるのです。事実情報を洗い出し、それらが自分たちの資本の中でどこに位置づけられるのかを振り分けします。棚卸しするのです。詳しくは次のスライドをご参照ください。

次に棚卸しをした事実を「表舞台」と「舞台裏」の二つの情報に分類します。「表舞台」の情報はプレスリリースとして発信します。「舞台裏」の情報はニュースレター、広報誌として発信します。広報媒体にまとめて伝えていくのです。

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コンテンツを企画する際に、決定的に重要なことがあります。洗い出し棚卸しをした事実を深掘りしなければなりません。深掘りするとは、すなわちその「舞台裏」に光を当てる、ということです。「舞台裏」には事実の奥にある本質が現れるからです。だから「舞台裏」に光を当てます。「舞台裏」こそ、価値の源泉であり、魅力の宝庫です。

同時にそのコンテンツを伝える利害関係者が、今どんな状況に置かれているのか、今どんな状態なのか、しっかりと向き合い、知ることです。利害関係者の状態と状況をよく知った上で、自らの組織の事実を深掘りし、「舞台裏」に光を当てていくのです。そこには価値が隠れています。それを引き出すコンテンツを企画します。

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「舞台裏」の情報を掲載する媒体がニュースレターです。さらに突っ込んだ具体的なコンテンツの企画については、初級講座「実務能力編」の「ニュースレターの作り方」の講座をご参照ください。この講座で詳しく細かく説明しています。

今回は「②コンテンツを企画する」を解説しました。

次回は「③広報媒体戦略を設計する」を解説します。

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