初級講座 Ⅰ.理論・基礎知識 広報PRって何をするの? 伝わるをひもとく(1)
こんにちは、荒木洋二です。今回も「広報PRって何をするの?」についての解説を進めていきます。
前回は利害関係者と良好な関係を築く、共感に基づく信頼関係を築くためには組織としてのコミュニケーションが重要であると説明しました。個人や部署としてだけでなく、組織全体として、法人そのものがいかにしっかりとコミュニケーションを取るのかが問われるのです。
今回2番目の「伝わるをひもとく」について、これから解説します。今回から3回にわたって、「みる・きく・考える・伝える」というコミュニケーションの中で、「伝える」とは何かに焦点を当てて、詳しく説明します。
要点は二つです。
(1)どうすれば利害関係者にその組織の価値が伝わるのか。
(2)何が伝わると信頼関係は結ばれるのか
この二つの要点について詳しく見ていきましょう。
(1)どうすれば伝わるのか
今回は「どうすれば伝わるのか」について解説します。
企業・組織として、さまざまな情報を同じように伝えているのに、企業・組織によって明らかに差が出ます。意図や価値がちゃんと伝わっている場合と、全くそうでない場合という具合に差が出ます。では、なぜ差が出るのでしょうか。何が違うのでしょうか。なかなか「伝わらない」ということは、つまり相手、情報の受け手に「理解されていない」ということです。では、理解されない原因は一体どこにあるのでしょうか。
①原因1:内容が分かりづらい/「質」の問題
伝わらない原因の一つは、内容が分かりづらいので伝わらないのです。つまり「質」の問題です。具体的にいえば、文章の書き方や表現の仕方です。コンテンツ全体の見せ方です。それらが相手の「状態」」に適してないのです。だから伝わらないのです。
②原因2:伝える情報量が適切でない/「数量」の問題
二つ目の原因は「数量」の問題です。内容が多すぎるので伝わらないのか。あるいは少なくて不足しているので理解に至らない。つまり内容に関する「数量」の問題です。相手、利害関係者との接触回数はどうなのか、伝えている情報量はどうなのか。それらが相手を理解に至らせるために適切でないということです。相手の「状態」に適していないのです。適さないコミュニケーションをしてしまっているということです
③原因3:伝えるタイミングがずれている/「時間」の問題
続いて、原因の三つ目は「時間」の問題です。機会がずれている伝わらないのです。つまり伝えるタイミングが悪いのです。相手の「状況」に適してないから伝わらないということです。
④原因4:伝える機会を逃している/「空間」の問題
最後、四つ目の原因は「空間」の問題です。機会を逃しているので伝わらないのです。伝える「場」の問題です。伝える場があるのにそれを逃しているのです。つまり相手の「状況」に合致していない、適していないというのが原因です。
企業・組織が情報を伝える、価値を伝えようとする相手のことを理解できていないのです。相手の立場に立っていないから、相手がどんな状態なのか見えないし、どんな状況なのかも見えないのです。伝わるように伝えることができていない。それは相手のことがまるで見えていないということです。
伝えた情報が自分たちが意図したとおりに相手から理解されるためには、情報の「質」「量」「間」を調整しなければなりません。相手に合わせて、つまり相手の「状態」と置かれた「状況」に適するように工夫したり調整したりしなければなりません。
最後にもう一度今回の講座を振り返ってまとめます。
・利害関係者に価値が伝わらない原因は何なのか
①内容の「質」の問題:分かりづらいので伝わらない
②内容の「数量」の問題:情報量が多すぎて伝わらない 情報量が少なく不足していて伝わらない
③タイミングの問題:伝えるタイミングがずれているので伝わらない
④伝える「場」の問題:機会を逃しているので伝わらない
以上のことから
・利害関係者の「状態」と「状況」が見えていないから伝わらない