中級講座 Ⅰ.理論・基礎知識 広報・PRの歴史 日本の広報・PR業界:専門職大学院・専門誌

こんにちは。荒木洋二です。

今回も広報・PRの歴史についての解説です。

前回から「3 日本の広報・PR業界」が始まりました。前回は「①主要広報3団体」の概要や活動内容を確認しました。
今回は「②専門職大学院」と「③専門誌」について説明します。

②専門職大学院

日本で唯一の広報・情報の専門職大学院として、「社会情報大学院大学」があります。つい最近、2017年4月に設立されました。

以下のURLに実際にアクセスしていただければ、より詳しい内容が確認できます。

https://www.mics.ac.jp/

関心のある人はぜひこのURLに直接アクセスして、閲覧してみてください。

日本で唯一。

このことは何を意味するのでしょうか。つまり、なかなか日本社会では広報・PRがまだ定着してない、普及していないということの証左であるともいえます。同大学院では、四つの専門領域と社会の分析力を横断的に養う社会情報系の科目を履修し、体系的に習得していきます。

四つの専門領域というのは、次のとおりです。※下図参照

補足説明します。

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。「エス・ディー・ジーズ」と読みます。2015年9月の「国連持続可能な開発サミット」で採択されました。国際連合加盟193カ国が、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。「貧困をなくそう」、「飢餓をゼロに」、「質の高い教育をみんなに」、「人や国の不平等をなくそう」など、17の目標が掲げられています。

大企業のウェブサイトにアクセスしてみてください。「アニュアルレポート」、あるいは「統合報告書」が掲載されています。これらに目を通してみますと、だいたいSDGsへの対応について言及しています。ほぼ同じ概念として、「CSR」があります。「Corporate Social Responsibility」の略です。日本語で「企業の社会的責任」と訳されます。CSRには国際標準もあります。

もう一つ、「ESG」も本質的には変わりません。

・E:Enviorment(環境)

・S:Social(社会)

・G:Governance(統治)

いずれも企業が環境や社会と調和しながら、事業を営むことの重要性を謳っています。欧米社会からの影響だともいえます。現在は、SDGsの目標達成として設定した2030年まで、10年切ったこともあり、より注目を浴びているのでしょう。

話を本題に戻します。

三つの科目で構成されています。※下図参照

大きくこのような三つの視点の科目群で全体のプログラム、学ぶ内容が構成されています。社会情報大学院大学は、日本で唯一の広報・情報に関する専門職大学院です。

③専門誌

出版社の宣伝会議から『広報会議』という専門誌が発行されています。(書店で販売されている)日本で唯一の広報実務者のための専門誌です。『月刊 経済広報』(一般社団法人経済広報センター刊)もありますが、書店では購入できず、同センターのウェブサイトで定期購読するしかありません。専門誌の現状を見ても、日本社会に広報・PR文化が定着してない現実に直面させられます。

以下のURLにアクセスしていただければ、より詳しい内容が確認できます。

https://www.sendenkaigi.com/books/kouhoukaigi/

関心のある人はぜひこのURLに直接アクセスして、閲覧してみてください。

月刊雑誌で毎月1日発売で、1,300円(税込)です。大きな書店では売っています。もちろん定期購読もできます。

読みどころとして、五つ掲げています。

1、他では知ることができない企業事例

2、広報担当者として身につけておくべき基礎

3、これからの仕事のヒントになる・すぐに活用できる3本特集

4、広報・PRの未来を予測

5、いざ!というときに活用できるリスクマネジメントの知識

月刊誌ですから、関心のある人は定期購読してみてください。

大企業が大半ではありますが、さまざまな企業の事例を記事として読むことができます。あるいは、先進的な取り組みをしている、中堅企業やスタートアップの事例もあります。しっかりと取材していますので、読み応えもあります。他社の取り組みを知ることで刺激も受けます。ぜひ一冊、書店で購入してみてください。

今回の講座では、「3 日本の広報・PR業界」の②専門職大学院③専門誌について紹介しました。

次回は「④PRプランナー資格認定制度」について紹介します。公益社団法人日本パブリック・リレーションズ協会が企画している資格制度です。業界で唯一の資格制度です。

その次の回が、最後で「⑤業界関連企業・組織」と続きます。残り2回ありますので、引き続き学習を進めてください。

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