Weekly Digest 先週を振り返る

マスメディアの報道が過熱し、一向に収まる気配がありません。何の報道が過熱しているかというと、政治と宗教の問題です。というより、自由民主党と世界平和統一家庭連動(旧統一教会)の関わりについてと言った方が正しいでしょう。その最前線をひた走るのは、テレビの報道番組であり、情報番組です。

マスメディアによる報道だけでなく、ネットニュースやネット番組でも盛んに取り上げられている「ホット」な話題であることは確かです。一定数の国民の関心事であることは間違いがありません。報道が過熱するまでの裏側で何があったのか。あくまでも個人的な肌感覚でいえば、ヤフーニュースの書き込み(通称「ヤフコメ」)やユーチューブのコメントなど、ソーシャルメディアの「大きな声」に寄り切られる流れで、後追いでマスメディアが徐々に過熱していったように受け止めています。
ポピュリズム(大衆迎合)の極みであり、日本特有の同調圧力の弊害ともいえるかもしれません。ユーチューブには地上波全国放送のテレビ局だけでなく、地方のテレビ局の報道番組や情報番組のニュースまで視聴できるため、そのことが視聴する側からも「過熱感」を助長させているのでしょう。

とにかく自民党と旧統一教会の間には「深い闇」があるに違いない、という憶測のもとに全てが編集され、報道され、評価されます。冷静な分析は影を潜め、論点のすり替えも横行しています。少しでも全体の論調と異なることを発言しようものなら、一斉に批判する始末です。テレビでおなじみのコメンテーターでもある弁護士の橋下徹さん、お笑い芸人・爆笑問題の太田光さん、社会学者の古市憲寿さんが最たる例ではないでしょうか。

そんな中、非常に興味深い報道番組がありました。それは地上波ではなくネットです。ネット広告最大手のサイバーエージェントとテレビ朝日の共同出資で設立された会社、「株式会社ABEMATV」が運営する動画配信サービスの「ABEMATV」(アベマ)です。先週8月12日(金)、旧統一教会の現役の祝福2世(合同結婚式で結ばれた両親から生まれた子ども)二人をスタジオに呼んだのです。番組進行の平石直之アナウンサー(テレビ朝日)、実業家のひろゆきさん、旧統一教会問題に詳しいとされるジャーナリストの鈴木エイトさんの3人がさまざまな疑問や質問を二人の祝福2世に投げかける、という番組で約70分間に及びました。3人は意地悪な質問をしたり、詰問したりするわけでもなく、極めて冷静に落ち着いて対応していました。今後、同様の動きが地上波にも波及するのでしょうか。マスメディアの報道を注視したいと思います。

最後に一言。旧統一教会の情報開示と説明責任があまりにもお粗末過ぎます。企業にしろどんな形態の組織・団体にしろ、社会的責任の一丁目一番地は情報開示と説明責任であることは言うまでもありません。責任者たちが猛省しなければ、日本社会で存続することは極めて困難でしょう。

先週、NewsRoomに投稿した記事をまとめてご紹介します。


8月8日(月) 荒木洋二のPRコラム
【過去の人気コラム】#9 広報とPRって何が違うの?(1)


8月10日(水) 聴くPRコラム
【過去の人気コラム】聴くコラム ブランディングの鍵は「舞台裏」にあり(1)


8月12日(金) 図解と文字で学ぶ! 超解説「広報人 eラーニング」
初級講座「Ⅲ.実務能力編」 プレスリリースの作り方 プレスリリースを作る準備③


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