初級講座「Ⅲ.実務能力編」 プレスリリースの作り方 プレスリリースを構成する各項目の作り方①

こんにちは、荒木洋二です。

今回は「プレスリリースの作り方」第9回です。今回から「プレスリリースを構成する各項目の作り方」を5回にわたり、解説します。

プレスリリースには基本の形があります。「プレスリリースの作り方」第3回(プレスリリースの基本構成)で説明したとおり、プレスリリースは12項目から構成されています(次のスライド参照)。

基本の形12項目の中で、1〜5までについては同講座第5回(プレスリリースを作る準備②)「(3)ひな形を作る」で説明しました。

今回は6〜8にあたるタイトル、サブタイトル、リード文について説明します。

プレスリリースに欠かせない基本要素は「5W3H・YTT」です。文章の基本構造は結論を先に述べる、「結起承転」の流れです。

プレスリリースにおけるヘッダー部分は「(3)ひな形を作る」で説明したとおりです。次のスライドをご参照ください。

今回説明するタイトル、サブタイトル、リード文の三つはプレスリリースの肝です。報道関係者の目に留まるのか、注意を引けるのか、読んでもらえるのか。何をどう書くのか。とても重要な部分です。

まず、何と言ってもタイトルとサブタイトルです。このタイトルとサブタイトルで、報道関係者の目に留まり、注意を引くことができたならば、次に報道関係者はリード文を読みます。そして、このリード文をしっかりと読んで関心を持てば、本文へと読み進むわけです。

■タイトル

まず、タイトルについて解説しましょう。

発表するプレスリリースには必ずテーマ(主題)があります。そのテーマにおいて、最も際立つ点を中心に短くまとめることです。その際、最も重要な点は、記事の見出しになることを想定しながら、短くまとめていくことです。50字前後でまとめてください。

少々長めですが、報道関係者であれば、誰でも知っている大企業・有名企業、日頃から報道関係者と関係を築いている大企業・有名企業であれば、もう少し短くても関心を持ってもらえますが、中小・中堅企業、スタートアップの場合はそう簡単ではありません。
大企業・有名企業と比べますと、伝えるべきことが増えざるを得ません。短ずぎると素通りされるだけです。

■サブタイトル

次にサブタイトルです。タイトルでは十分伝え切れなかった部分を補足します。目安としては30字前後でまとめましょう。先ほどと同じ理由で大企業・有名企業と比べますと、やや長くならざるを得ません。

報道関係者の目に留まるような、注意を引けるようなタイトルやサブタイトルを書けるようになるためには、どうしたらいいでしょうか。

最も推奨する方法は、新聞・雑誌の記事タイトルを研究することです。一つの企業の新たな取り組みを扱ったニュース・記事に多く目を通し、研究するのです。報道関係者は文章を書く専門家、プロフェッショナルです。専門家がどう見出しを書いているのか、表現しているのか。プロから学ぶのです。
日本経済新聞では見出しを書いているのは、現場の記者ではなく、ベテランの記者たちで構成される「整理部」だといいます。現場記者が書いた記事を読み、その上で見出しを付けています。
ただ、何となく記事を読むのではなく、自分が書くことを意識して、自分だったらどう書くだろうか、ということを意識して記事を読むことです。意識するかしないかだけでかなりの差があります。平日平均3本、自分が関心の持てる、企業の(1社を扱った)記事を選べば、1週間で15本の記事を研究できるではないですか。この地道な取り組みがタイトル、サブタイトルをしっかりと書ける訓練につながります。感性を高めることにつながります。

ぜひ挑戦してみてください。

■リード文

続いて、リード文ついて説明します。

リード文は別名「前文」とも言います。発表するプレスリリースのテーマの結論をリード文で短くまとめます。「結起承転の結論」、「結=結論」に当たります。

ただ、どんなに長くても文は三つ以内に収めてください。文字数の目安は250文字以内をメドにしましょう。
「5W3H」 のうち「 WHY=なぜ」以外の4Wを記載します。テーマ設定によっては、「HOW MANY」「HOW MUCH」、つまり目標などの数量を入れても構いません。

文章の出だしは、必ずプレスリリースの発信主体となる会社名・組織名を主語として始めます。例えば、「株式会社KOHOgeneは」のようにです。

ここでプレスリリースの特徴の一つとして、会社名・組織名の前に、主要事業をひと言で説明する文を入れる必要があります。例えば、「広報PR教育の株式会社KOHOgeneは」のようにです。
ただ、誰でも知っている大企業・有名企業の場合は必要ありません。報道関係者としっかりと関係を築いていますので、大企業・有名企業のプレスリリースには、主要事業を説明するひと言を入れていません。「トヨタ自動車」「三菱電機」と書けば、すぐに分かりますから、必要ありません。
しかし、中小・中堅企業、スタートアップには必ず必要です。社名を見ただけではどんな事業を行なっている企業なのか、分からないからです。

プレスリリースのもう一つの特徴として、会社名・組織名に続けて、かっこで括り、本社の所在地域、代表者の役職と氏名を記載します。例えば、「広報PR教育の株式会社KOHOgene(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:荒木洋二は」のようにです。

リード文は長くても三つ以内の文でまとめる、と先ほど述べました。
分かりやすい、誤解されない文を書くための基本は「短単文」です。長文より短文です。短い方が何を伝えたいのか、その主旨がはっきりします。複文より単文です。主語と述語で構成される文で、述語が複数あるものを複文といいます。この「短単文」を基本として三つ以内にまとめるということです。一文を60字前後でまとめると分かりやすい、といわれています。三つの文で250文字だと、多めというか長くなります。プレスリリースの場合、主要事業の説明や所在地、代表者名などを書く必要があるためです。

今回は基本の形、6〜8のタイトル、サブタイトル、リード文について解説しました。まとめると、次のスライドのとおりです。

次回から本文の書き方を解説します。

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