広報PRコラム#105 新年のあいさつ 〜広報を当たり前にする

こんにちは、荒木洋二です。

2024年、新たな年が幕を開けました。

まず、1月1日に発生した能登半島地震により命を落とされたかたがたに、衷心より哀悼の意を捧げます。また、安否が不明なかたがたのご無事を祈念するとともに、被災された全てのかたがたとそのご家族にお見舞いを申し上げます。

新年を迎え、最初のコラムでは本年の抱負を述べたいと思います。

その前に昨年(2023年)の当社における主な歩みを振り返ってみます。

◾️「みんなのHome Room」を平日毎朝開催

新たな取り組みとして、6月19日より当社主催のオンライン朝会(Zoom)を始めました。平日毎日9時から30分間、誰でも参加できるイベントです。しかも無料です。ちなみに主催は表立っては社名にせず、あえて「広報人倶楽部」としました。「広報人倶楽部」とは、2022年11月に本格稼働させた広報・ブランディングの内製化を支援するサービスの名称です。

学校に見立てて、朝会のことを「みんなのHome Room」と銘打ち、遅刻も早退も自由、申し込みも不要としました。非常にゆるい会です。適当な会ともいえます。担任が私「ヨウジ先生」、日直が「じんちゃん」(=当社創業期からの私の相棒)です。こんなところも学校に見立てています。開始時間の9時ちょうどには、誰にとっても聞き覚えのある懐かしい「始業チャイム」を鳴らします。

では30分間をどんなプログラムにしたのか。概ね、次のとおりです。

・今月はどんな月(例えば、1月は睦月)、きょうは何の日(記念日など)
・AGENCY ONEとはどんな会社なのか
・情報発信のエッセンス :私が担当
  当社ニュースルーム掲載のコラムやeラーニングテキストのリンク先を共有
  エッセンスのみを解説
・日直からのお知らせ:「じんちゃん」担当
  当社企画のイベントを紹介
・みんなの情報共有:共有したい情報がある参加者が挙手形式で口頭発表し、共有
・みんなの1to1タイム:毎日1回(約10分間)のみブレイクアウトルーム形式で実施

開始当初、参加者は5人前後の日が多く、主催者の二人だけの日も1日だけありました。しかし、継続は力なりとは言ったものです。参加者が当会を気に入ってくれ、自分の知人に声を掛けてくれることが徐々に増えました。

そんな現象も起こり、開始6カ月後の12月中旬には個別利用者数で100人を超えました。参加者は首都圏だけでなく、沖縄、福岡、徳島、大阪、新潟、名古屋、北海道などに広がっています。参加者が最も多かった日は18人でした。常連メンバーも増え続けています。

◾️弱いつながりの強さ

なぜ、朝会を始めたのか。

最も主な理由は「弱いつながりの強さ」を実践したかったからです。「弱いつながりの強さ」とは、広報やPR(=パブリック・リレーションズ)に非常に近しい領域の経営理論だ、と私は認識しています。「ソーシャル・キャピタル(=社会関係資本)理論」の一角を成すものです。

つながりが弱い関係とは脆いし、ビジネスでは役に立たないと思い込んでいる人が大半かもしれません。しかし実はそうではありません。弱いつながりの方が強いつながりより情報の伝達範囲が広く、伝達速度が速いというのです。よってビジネスにとっても十分役立つというわけです。

朝会の参加者はそれぞれが週に何度か、たった30分の時間を共有するだけの間柄です。どう見ても弱いつながりです。どう考えてもゆるい関係です。ただ、こんな関係を1カ月、2カ月と続けていくと、何ともいえない信頼、好意、愛着の感情がお互いに芽生えてきました。

すると、朝会終了後、別途1to1を自主的に行ったり主催側に要望したりする人が増えていくではありませんか。その成果として朝会メンバーの中でビジネスが生まれ始めました。この流れはこれからさらに加速するとみています。弱いつながりは強い、ということの証左といえるのではないでしょうか。

朝会は今年も変わらず継続して実施します。

ところで、朝会と同じ時期に始めたのが毎週木曜日開催の「居酒屋広報人」です。朝会はオンラインですが、こちらはリアルな交流会です。東急田園都市線三軒茶屋駅から徒歩2分程度の居酒屋で18時から始まり、21時前後まで続く「飲み会」です。私と「じんちゃん」がホストでゲストは原則4人まで、合計6人の少人数というのが特徴です。

なぜ、6人なのか。経験上、それ以上増えてしまうと、せっかく同席したのに話があまりできなかった人がいた、という状況になることが分かっていたからです。

「居酒屋広報人」はそもそもの狙い通り、それぞれと深い会話ができたことで概ね好評でした。経営者でないビジネスパーソンなど朝会への参加が難しい人たち、地方から上京した人たちも集い、さまざまな話題に花が咲きました。

当交流会も今年も変わらず継続して実施します。

◾️企業社会で広報を当たり前にする

当社は、企業社会で広報を当たり前にすることを目指しています。当社のビジョンということです。

少々補足すると「本来」の広報を当たり前にしたいのです。現在、企業社会で「広報」という言葉は誤解・曲解されて使われています。当コラムで何度も繰り返し伝えてきたことです。

「当たり前」とはどういう意味でしょうか。ウェブで検索すると、「一般的に認識され、疑問を持たれることの少ない事象や状態を指す言葉」(『実用日本語表現辞典』より)としています。「社会的な常識やルール、自然の法則など、特別な説明を必要とせず、多くの人々が共有する認識や価値観を表す」(同)ということです。

現状は疑問を持たれることが多いですし、特別な説明が必要です。多くの人々が共有する認識や価値観ではありません。

本来の広報を当たり前にするためには、次の三つが決定的に重要だ、と私は捉えています。

1)経営者(をはじめとするビジネスパーソン)の価値観を変える

2)(本来の)広報を実践できる人材を育成する

3)ニュースルーム導入を推進する

年末から事業計画書を策定するためのセッションが始まりました。朝会で出会った専門家から指導を受けています。4月中をめどに10年後に実現する目標を明らかにします。そして、その目標を達成するための計画を練り上げます。

1月下旬には人生初となる出版も控えています。新しい10年を始めるための起点となる年が今年です。

皆さま、本年も当社を、「広報人倶楽部」をどうぞよろしくお願い申し上げます。

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