【ポッドキャスト #03】 大谷翔平さんの人気から読み解く! 熱烈なファンが生まれる理由とは?
新年の初回なので、2024年を振り返っていきます!
2024年、大谷翔平さんは、その実力と人柄の両方が広く知られることで熱烈なファンが生まれています。
オリンピックやラグビーのワールドカップなど、アスリートの活躍も交え、ブランディングやファン心理の本質に迫ります。
企業も表舞台(実力)と舞台裏(人柄)を伝えることで熱心なファンが生まれる
荒木: おはようございます。
濱口: おはようございます。荒木さん。
荒木: あけましておめでとうございます。
濱口: おめでとうございます。2025年、始まりましたね。
荒木: はい、始まりましたね。ちょっと日が経っていますが、ラジオとしては、今年初回なので、「 おめでとうございます」ということでスタートします。今日が第3回ですね。
濱口: 第3回ですね。私も何回目だか分からなくなってきました。
荒木: 今日は新年なので、2024年を振り返ってみましょう。濱口さん、(2024年で)1番印象に残っていることはありますか。ニュースでも身近な自分のことでもいいけれど、なんかありますか。
濱口: 2024年を振り返った時に、印象に残っているのは、やっぱり1年前の元日に石川県で起こった地震ですね。
荒木: そうですね、元日でした。
濱口: あれは、すごくショックでしたね。1年の中で一番、みんなが喜んで「おめでとうございます」って言っているときに・・・。
荒木: あれは朝早くだったかな。
濱口: 夕方 4時ぐらいです。
荒木: そっか、夕方だ。あれは驚いたね。
濱口: あれはもう、今でも覚えています。そして、次の日(1月2日)には、JAL(日本航空)の機体が燃えましたね(旅客機と海上保安庁の航空機による衝突事故)。
荒木: そういう意味では波乱というか、大きな災害と事故で始まった2024年だったよね。
濱口: そうですね。石川のかたがたは今もまだ、復興の途中ですし、仮設住宅に住んでいらっしゃるかたも、多いじゃないですか。
荒木: そうですね・・・本当に亡くなったかたには哀悼の意をささげつつ、いまだ復興の道半ばで、従来の生活に戻っていないかたがたには心からお見舞い申し上げます。
濱口: そうですね。
荒木: 昨年は、そこから始まりましたからね。濱口さんは大きな地震に遭ったことはありますか?
濱口: 私は小学校の時に、鹿児島県の薩摩川内市(旧:川内市、川内原子力発電所がある町)に住んでいて、そこで震度6の地震を体験しているんですよ。
荒木: 震度6はかなり大きい。そんなに大きな地震に遭っているんだね。
濱口: (地震の揺れ)大きかったです。ビルは崩れていないけど、外壁にひびが入っていて、 町は閑散としていたことを覚えています。当時は小学校1年生だったので、事の重大さが分かっていなかったんですけどね。
私の記憶には、食器棚が倒れてきて、(中の食器)全部がぐちゃぐちゃになっていたことしか残っていません。
振り返ってみると周り(町全体)では、もっと大きな被害があったのかな、とも思います。津波は来なかったですけどね。
荒木: そうかもしれないね。日本は、どこにいても地震からは逃れられない感じがする。
濱口: そうですね。
荒木: 私は静岡県の下田市出身の昭和40年生まれ。小学校3年生と6年生の時に、大きな地震に遭って、かなり揺れたことが怖かったから、よく覚えている。
当時から東海大地震が起こると言われていて、(当時)人口3万人の下田市で、 6千人が亡くなるんじゃないか、と言われていた。
私は中学生の頃、朝起きて(朝練習で)1人で海岸線沿いを走っていたんだ。だから、「もしここで津波が来たら、どうしよう」と思っていた。地震は本当に怖いね。あと、東日本大震災のときも、ちょうど東京にいたから、かなり揺れた。
濱口: 東京も揺れましたもんね。
荒木: 震度5ぐらいだったかな。 2025年は、そういう災害がなければいいなと思いますね。
■大谷翔平選手は、その実力と人柄の両方が伝わって、熱烈なファンが生まれた
濱口: 2024年、荒木さんにとって印象に残っているニュースは、どんなことですか?
荒木: 私は明るいニュースで言うと、大谷翔平選手が「50-50」(50本塁打-50盗塁)を達成したことだね。
濱口: 大活躍でしたね。
荒木: 打者に専念した1年で、目覚ましい記録を 残したので、それが一番印象に残っているね。大谷選手に励まされた日本人は多いと思う。
濱口: 多かったですよね。私は野球にあまり詳しくないんですけど、それでも大谷選手の活躍は目に入ってきますね。インターネットを見ていても、嫌でも(情報が勝手に目に)入ってきますからね。
荒木: うん、それはある。
濱口: 「こんなに活躍しているんだ」っていうことを、自然と知りますよね。
荒木: 大谷選手を見ていても思うし、オリンピックを見ていても思うけど、 熱烈なファンがいるじゃない。ファンって当然、アスリートたちの本番の試合や結果(成績)を見て、それに喜びを感じることでファンになる。でも実は、そういう実力面だけではなくて、人柄が伝わることで、より前のめりに、熱烈なファンになっていくんだと思う。
だから大谷選手って、そのフィールド以外での人間性だったり、本当に野球が好きなんだということが伝わってきたり、いろいろなことでも話題がある。
そして、見ていても嫌味がないし、チームメイトにもすぐに溶け込んでいるし「いい人なんだろうな」と。そう思うと、やっぱり実力と人柄、この二つがそろって初めて、揺るぎない熱烈な本当の意味でのファンが付くんじゃないかと思う。
濱口: それはすごく感じましたね。昨年、大谷選手の通訳をしていた人(元通訳者、水原一平氏)が大谷選手のお金を使い込こんだこと(銀行詐欺罪と虚偽申告罪の事件)で話題になりましたね。あれだけ巻き込まれていて、大谷選手自身の評判が落ちてもおかしくないぐらいのこと(事件)だったと思います。でも、全くと言っていいぐらい、影響を受けなかったですね。
荒木: そう。シーズンが終わってから大谷選手の関係者が、当時の状況を話したときに、大谷選手は「一切そういうことはない」と、堂々としていた。
多少は心が乱れてもおかしくない状況にもかかわらず、事件があったことを忘れるほどの活躍だった。やっぱり実力と人柄の両方が必要なんだと実感したね。
私がよくブランディングについて話をするとき、「表舞台と舞台裏の両方を伝えなきゃ駄目だよ」と伝える。表舞台だけではなくて、舞台裏を知ることで、ファンが増えるし、その両方が伝わっているから、本当のファンができる。
いろいろなスポーツの報道を見ていると、大きな大会の前後で、必ずマスメディアのかたがたは、これまでにどんな苦労があったのかとか、家族構成や人間性、チームワークなど、試合に臨む前(舞台裏)の姿をしっかりと報じる。
もちろん、試合結果に一喜一憂はするけど、人は、そのことを分かった上で試合を見るからこそ、余計に熱くなれるし、感動もする。なので、両面が必要なんだと強く思う。
少し古いけど、冬のオリンピック(2018年、平昌五輪)でのカーリング「もぐもぐタイム」(栄養補給と作戦会議のための7分間の休憩時間)やラグビーなんかも、そうだよね(舞台裏をしっかりと報じている)。
濱口: そうですね。
荒木: 企業も同じで、多くのファンがつくには、もちろん素晴らしい製品やサービス、 ビジネスモデルを作ることは大事だけど、それ以上に普段の姿(人柄)、「 この会社いいよね」とか「社員みんなワクワクしているし、真面目だしね」といった、会社の人柄の部分(組織文化)が伝わって、そこ(会社のいい人柄)にファンが付くんだろうなと思う。
濱口: そういうものって、理屈じゃないところで伝わっていきますもんね。
荒木: 伝わるね。そう思うと、(旧)ビッグモーター(現ウィーカーズ)の事件(保険金不正請求問題)を見ても、やっぱり普段の姿は見せられない。(自社の)コマーシャルやウェブサイトには、有名な俳優さんを使っていたから、相当(多くの資金を)コマーシャルに投下していた。(有名な)俳優さんを表に出して、とにかく商品を全面に出したウェブサイトだった。
そして、蓋を開けてみたら・・・。やっぱりブラック企業って普段の姿を見せられない。ブラック企業でない限りは、普段の姿を見せられるはずだから、舞台裏や人柄といった面も伝えていった方がいいなと思う。
「うちの製品・サービスは、こうだよ!」というのもいいけど、人間心理を考えると、そればっかりでは決して物を売れないし、いい人も集まらない。いい環境も築けない。
濱口: 間違いないですね。
■信頼とは、能力と動機の両方が相手に理解されて初めて築けるもの
荒木: オタク番組だから、難しい「社会心理学」の話もするね。人間がやっていることには、心理学が影響してくる。当然、人間関係だけじゃなくて、ビジネスの中でも大きく影響する。
これを話すと長くならないかな。大丈夫かな・・・。
濱口: ちょっと短めにお願いします。
荒木: 「信頼ってどうやったら結ばれるのか」とか「互いのことをよく分かっていない状況の中で、どうやって人は人のことを信頼していくのか」ということに触れるね。経済用語では、「情報の非対称性」という言葉がある。
お互いの情報が分からない状況なので、そこには情報を発信する( 情報を伝えていく)ことがない限り、信頼関係を結べない。そんなときに大事なのは能力と動機(前述の大谷選手の話にも通ずる)。
例えば、自分が課題を持っているとして、相手が(自分の)課題を解決できる能力を持っているとする。自分自身が相手に対して、そう(自分の課題を相手が解決できる)思い、理解することが信頼につながる。いくら能力があっても、こちら(自分)が、そう受け止めていなかったら信頼を結べない。だから、「自分が持っている課題をちゃんと解決できる能力があるな」と、まず思うことが1番目だね。
濱口: うん、なるほど。
荒木: 2番目が動機。これは、「この人は誠実で嘘つかないし、相談しやすい。だから何でも言えそうだ」とか「ちゃんと本当の事を話してくれるだろうな」と、こちらが(いい人だと)思わないと駄目なんだ。
見た目で勝手に判断して、(本当は、いい人かもしれないけど)いい人と思っていないこともある。
だから、(信頼には)どちらも必要で、相手から「(この人は課題を解決できる)能力を持っているし、うそもつかない」と思ってもらうことで、「信頼できる」となるんだよね。それが、「ファン」につながっていくと思う。
濱口: なるほど、確かに「いい人に、仕事を頼もう」って思いますね。
なんか分からないけど、「この人は嫌だな」と感じる人っているじゃないですか。そういう人には、お願いしたくないですもんね。
荒木: そう、だから両方必要だという話だよね。いくら能力があっても、人が悪かったらだますかもしれない。そうなると、お願いできないよね。だからといって、すごく人はいいけど、実力不足かなと思ったら、信頼しないわけではないけど、課題解決においては、頼もうとは思えない。
濱口: そうですね、(頼もうとは)思わないですね。
荒木: 両方そろっていることが大事だね。私の1冊目の著書『選ばれるブランディング・選ばれないブランディング〜企業ブランド力向上の鍵を握る「舞台裏」』(2024年2月出版、発行:セルバ出版)を読んでくれた元大手電機メーカー(早期退職)の(同い年の)営業マンだった人が「自分に当てはまることがあった」と話してくれた。
大手電気メーカーの製品は、(他社も含めて) ほとんど(実力伯仲で)性能が変わらない。彼は飛び込み営業で、「自分の人間性(何でもオープンに話す性格)を出して関係を結んでいく中で、(営業先の)社長と仲良くなったり、信頼を得たり、できたから(製品を)買ってもらえた。製品がいいのは大前提で、当たり前。それだけでは選ばれない」と言うんだ。
昨年1年間、大谷選手の活躍を見ながら、やっぱり両方必要だ、と実感する。(大谷選手は)人柄もいいから、こんなにも人気が出て、こんなにもスポンサーが付くんだろうなと、まざまざと感じるね。
濱口: そうですね、異常ですもんね。なかなか、あそこまで(人気やスポンサー契約の多さ)いく人っていないですよね。
荒木: やっぱり、両方そろうとファンが付くんだな。
濱口: 荒木さん、大谷選手が大好きなんですね。
荒木: 大好きで、ずっと追いかけていたからね。オリンピックやワールドカップ(視聴)も好きだね。(ワールドカップ)ラグビーの報道で分かるように、メディアは、選手のこれまでの苦労とか、チームの葛藤を報道してくれる。そこで、知らず知らずのうちに心を動かされて、それを知った上で見ると、普通の試合が熱く(あんなに苦労した彼が頑張っていると)、感情が動く。
どうしても、企業は製品名やビジネスモデル、サービスの他との違いや、すごさを伝えたがるけど、企業も、その辺の情報(これまでの苦労や葛藤)や自分たちの普段の姿を積極的に見せていった方がいいと思う。
濱口: そう思いますね。私は、スポーツではないんですけど、将棋界で同じようなことを思っています。今、将棋界では藤井聡太棋士が一番注目されていますよね。
うちの母が藤井聡太棋士のファンなんです。それも、やっぱり(彼の)人柄をメディアが報じていたなと思いました。お菓子(おやつ)何を食べたか、ということも報道していましたよね。
荒木: 確かに、彼の人間性もあるよね。
濱口: うん、ありますね。
荒木: 私の妻も、(藤井棋士の)あの純粋な雰囲気がいいみたい。なんか(私の)長男の普段の雰囲気と似通っているようでね。そんな雰囲気がいいと言っていたよ。
濱口: そうですね、荒木さんの純粋な感じも似ているかもしれないですね。
荒木: 単純なんですよね・・・。
濱口: いえいえ、もう、「広報が好きで一生懸命追いかけている」。荒木さんのそういう ところが、奥さまも藤井棋士と重なって見えているんでしょうね。
荒木: 私の長男もね、そんな感じの雰囲気を持っていて、「鎌倉時代オタク」なんだよね。彼は、大学院の博士課程の3年目(今年3月で丸3年)で、まだ博士号を取るには時間がかかりそう。
濱口: しっかり、血を継いでいるじゃないですか!
荒木: そうなんだよね、彼もめちゃめちゃ「オタク」。「なんでそんな詳しいこと知っているの?」って、親から見ても面白いなと思う。
濱口: 長男さんの話も、1回聞いてみたいですね。
荒木: また今度、話そうかな。
そんなところで、2025年も毎週 、濱口さんと一緒に「オタク」度を発揮しながら進めていければいいな、と思います。
濱口: そうですね、私はそれを、学ばせていただきながら、進めていきたいです。
大谷選手みたいな人も、なかなかいないですけど、荒木さんみたいな人も、なかなかいないですからね! こんな「広報オタク」は、なかなかいないですね。
荒木: そうそう、(広報のオタク話は)「やめとけ」って言われるけどね。
濱口: いえ、いいんですよ。荒木さんは、そこがいいんですよ。
荒木: 濱口さん、今年1年も(毎週)一緒に頑張りましょう。
濱口: はい、よろしくお願いします。