初級講座「Ⅱ.組織能力編」 みる・きく③広く速く情報を集める

こんにちは。荒木洋二です。

初級講座「Ⅱ.組織能力編」は8回にわたる講座です。今回はその第4回です。「みる・きく」の講座を次のスライドに記載の3項目に分けて解説しています。

前回は「2、利害関係者と向き合う」でした。利害関係者としっかり向き合い、生活者(個人)や企業・組織の立場での利害関係者がどんな状態なのかを定期的に把握し続けることの重要性を説きました。

今回は「3、広く速く情報を集める」です。

「Ⅱ.組織能力編」は「みる・きく」と「仕組みをつくる」の二つで構成されています。今回が「みる・きく」の最後の講座です。

3、広く速く情報を集める

利害関係者のことを正しく深く理解するために必要なことがあります。

前回の講座では、利害関係者どんな状態なのか、という内面、内部環境をどう把握するかという内容でした。今回は、外部環境を明らかにすることがどれほど大切かを解説します。つまり、利害関係者がどんな環境で生きているのか、現在一体どんな状況に置かれているのか、ということです。
相手の状態と状況、その両方を知ることで相手のことを正しく深く理解できます。

利害関係者を取り巻く環境は主に次の三つに分けられます。

・経済環境

・社会環境

・自然環境

各領域において、どうやって情報を収集するのか。どんな情報を収集し、分析するのかということです。ここで初級講座「Ⅰ.理論・基礎知識編」の講座「生活者はどう情報を選ぶのか?」で解説した内容を改めて振り返りましょう。講座番号で言いますと「11017」「11018」の二つです。
生活者は自分なりの確かさで情報を選びます。では、自分なりの確かさをどうやって確保するのか。そのために四つの情報源を用います。詳しくは次のスライドをご覧ください。

生活者と組織人とは微妙に違う面もありますが、大差はないとみています。ですから利害関係者が今一体どんな環境に置かれているか、ということをこの四つの視点からひもとくのです。

では、実際にはどうやってこれらの情報を収集すればいいのでしょうか。まず、自社の現状を冷静に整理してみましょう。次の三つを問いかけてみるのです。

・(膨大な情報量の中から)どうやって集めるのか

・(組織の中で)誰が集めるのか

・費用と時間をかけられるのか

それぞれの利害関係者の窓口になっている部署があり、担当者がいた場合は、その状態を理解・把握することは難しくありません。日頃から利害関係者と接しているからです。しかし、それぞれの利害関係者を取り巻く外部環境を調べて明らかにしようとした場合、前述の三つが課題として浮かび上がります。ハードルを高く設定しすぎてしまうと、途中で挫折し続かなくなるでしょう。
自らの魅力を伝え続け、選ばれ続けるためには、利害関係者と向き合い続ける必要があります。途中で挫折してしまっては意味がありません。

では、どうすればいいのか。どうやって情報を集めればいいのか。
要点は次の二つです。

・お金をかけずに集める

・手間をかけずに集める

この2点を優先すれば、どんな規模やどんな状態の組織であっても実行できます。優先順位を明確にするのです。広く速く情報を集めるのに、お金や手間をかけずに実行できるのであれば、長く続けられます。利害関係者と長く向き合い続けられます。

■Google アラートを活用

では、具体的にどうするのか。

ここでみなさんに提案があります。Google アラートを活用しましょう。無料で利用できる非常に便利なツールです。関心のあるキーワードを設定することで、毎朝、定期的にネット上で発信されている情報を全てメールで送ってくれます。
Google アラートを使えば、先述の四つの情報源を面倒なく簡単な設定だけで集めることができます。
次のスライドに記載した、たった三つのステップで簡単に設定できるのです。

Googleアプリのアイコンをクリックすると、Googleのアプリがずらっと表示されます。スクロールしていくと「その他ソリューション」というボタンがあります。クリックすると「Googleプロダクト」のページに飛びます。下の方にスクロールしていくと、Google アラートがあります。このアイコンを選択すると別ウィンドウが開きますので、そこでキーワードを設します。

どんなキーワード設定するのか。代表者を含め数人の責任ある立場にある人たちとしっかりと検討することが大切です。組織としての情報収集ですから、担当者個人の感性や関心だけで決めるのは避けるべきです。

自らの組織を取り巻く利害関係者は誰なのか。社員、顧客、取引先・パートナー、株主、地域社会(役所・住民)がどんな環境で生きているのか。どんな外部環境に関する情報を集めるのか。全ての利害関係者に関する情報を集めるのか。対象や領域を絞って集めるのか。組織内でしっかりと議論し、検討を重ねた上でキーワードを決めてください。いきなり多数のキーワードを設定すると、かえって収拾がつかなくなることもあるので、段階的に増やしてもいいでしょう。もちろん運用する中で途中で変えても何ら問題ありません。

ただし、組織体制を整備しないと、ただ情報を集めただけでそれが組織にとって生きた有益な情報にならずに終わってしまいます。組織体制の整備が欠かせません。

今回で「Ⅱ.組織能力編」における「みる・きく」の講座は終了です。次回からは4回にわたり、「仕組みをつくる」を解説します。

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